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2016年12月10日01:50

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i(アイ)

特にファンという訳でもないんですが、作家の西加奈子さんの新作 i(アイ)を買って
来ました。

僕の日記やつぶやきに度々登場する吉祥寺のブックスルーエという本屋さんでサイン本が
売ってたので勢いで買ってしまいました。表紙の帯の紹介文には友人の又吉直樹さんと
中村文則さんの絶賛の言葉が並んでいたので、それも購入のきっかけにはなりました。

以前AKBの渡辺麻友さんが稲森いずみさんと主演したドラマ「戦う!書店ガール」でも
ほぼ一瞬だけですがこのお店も画面に映りました。


特にサイン会に並んで西さんにサインをしてもらった訳ではなく、この本屋さんはサイン会が
行われるようなスペースがあるような場所ではないので、サイン会は僕が知っている限り
行われているようなことはないと思いますが、何故か色々な作家先生のサイン入りの本が
時々売っています。

サイン入りと言っても西さんみたいな超有名人の直木賞作家先生の作品のサインなどは
見かけた記憶がなく本好きの人なら知ってるぐらいの世間の認知度の先生のサイン入りの
本なら何かしら売ってるようです。しかしこんな有名人のサイン入りは過去見た記憶が
ないので特にサイン入りだけが通常の値段より高い訳でもないので買って来たんです。
なんでこんな大作家先生のサイン入り本までが売っていたのか詳細まではわかりません?
この本自体先日発売したばかりの新刊なので、サイン入りの分もまだ残っているかも
しれません。


西さんはカバーのデザインもご自分で手掛け多彩な方のようで、サインも気取ってなくて
可愛らしいし人柄がよく出てると感じられます。
マジックで書いた文字が少し擦れているのが妙にリアルでした。

中村さんや又吉さんと親しいだけあって類友ってヤツで自意識過剰でそれほど明るい題材の
小説ではないのですが僕にはグッとくるモノがありました。柔らかい女性らしさが文章の随所に
表現された素晴らしい本だったと思います。


主人公は裕福な家庭に養子にもらわれて来た女の子なんですが、世界中で起こるテロや
人災に事故などに遭って死亡しなかったのが何故自分ではなく他人なのか常に疑問に
思うことに囚われ続けている一風変わった女の子でそういう考え方自体がある意味偽善的
ではあるのですが裕福な家庭で何不自由なく暮らせることも相まって苦悩する優しく繊細な
女の子の心情を描いた物語でした。

東日本大震災が起きた時だって住む家も何もかもを無くし絶望して途方に暮れた人達が
大勢いたと思います。僕みたいなボンクラでも震災に巻き込まれず生き長らえ普通に
生活していける自分がどうして震災が起きて死んだのは自分じゃなかったのだろう?
と少しぐらいは罪悪感に苛まれることだってあります。

自分は不治の病に効果のある薬を開発する偉い研究者でもないですし、多くの人に感動を
与えられるようなトップアスリートや芸術家でも何でもないので、大して世の為人の為に貢献も
している訳でもない自分が生き残ってても良いのかな?と無い頭を使って考えてしまう
こともあります。


しかしこの本の主人公は毎日のように自分ではない誰かが死んでいく現実に苦悩し胸を
痛め続けるというナイーブな子の物語なのである意味読む人を選ぶ物語なのかもしれません?

人の気持ちの奥深い所は所詮他人には理解出来ません。しかし不幸にして予期せず命を
落とす人々のことを考え自分にはその人達に代わって何が出来るのか僕なんかよりも
もっと真剣に考える人達が増えれば世界は少しだけ見える景色が変わるのかしれないと
僕はそんなことを考えながら読んでいました。


そういえば直木賞を受賞した西先生のサラバ!は上下巻あるので長いお話ですが読んだ
ことがないので、今度読んでみようかなと思いました。西先生の作品を読んだことがある方は
何かお勧めの作品はありますか?
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