18940610としておく NO845 大鳥公使、韓廷の帯兵入京不可の通告を無視し、六月十日に四百二十名の兵士、二十名の巡査を率いて京城に入る
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駐韓日本公使館記録 3巻 四. 東学の乱と日清関係 参 (3) 駐韓大鳥特命全権公使が護衛兵を率いて京城へ帰任の事
文書題目 (3) 駐韓大鳥特命全権公使が護衛兵を率いて京城へ帰任の事
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(3) 駐韓大鳥特命全権公使が護衛兵を率いて京城へ帰任の事
これより先、朝鮮の内乱は次第に激しくなり韓廷の力ではこれを鎮定することができず、清国に助けを請い清国はまたその申し入れを容れて大兵を発したとの報告が我が国に達すると、帝国政府は朝鮮における我が国の利益を保護するため出兵の議決をなすときに、我が朝鮮駐箚大鳥公使は帰朝して大磯にいた。我が政府は緊急に電報で帰京を命じ、六月四日次の訓令を与えて朝鮮に出発を命じた。
一. 目下朝鮮国内に起っている変乱がこの上一層その区域を広め、帝国公使館・領事館及び居留帝国臣民に危険を及ぼす恐れがあると認められるときはその旨直ちに電報される事
一. 変乱の状況がどうなっていても、清国政府より兵員を朝鮮国に派遣する状況が確かだと認められるときはその旨直ちに電報される事
前記二項の場合においては、帝国政府は直ちに兵員を派遣する。ただし日韓の関係は明治十五年済物浦条約第五款及び明治十八年七月十八日高平臨時代理公使の知照に基因し、また日清の関係は明治十八年天津条約第参款の手続きを経て出兵したものと心得られるべきこと。但し閣下の着任前といえども帝国政府は在京城杉村臨時代理公使の報告によって出兵することもあるだろう。
一. 帝国政府の出兵の目的は、帝国公使館、領事館を護衛し、また居留帝国臣民を保護するたであるとはいえ、もし朝鮮政府が変乱鎮定のために帝国兵力の援助を乞うときは、該地出張の帝国陸軍総指揮官と協議の上朝鮮政府の請求に応じられる事
一. 帝国兵員を容れる営舍は、済物浦条約第五款によって朝鮮政府にこの設置・修繕に責任を持たせ、ただしもし朝鮮政府が適当な設備を準備できない時は兵員駐屯に便宜な場所なりとも貸与させる事
一. 帝国兵員でもし清国兵員と同じ場所に駐屯するか、あるいは双方ともに朝鮮政府の請求によって戦地に出陣する場合があるときは、日清の衝突を引き起こさないよう十分注視する事
一. もし清国官吏より日本の出兵の理由を尋ねて来た時は、天津条約第参款に照らし朝鮮国内に変乱があり、帝国公使館領事館および居留帝国臣民の生命、財産に危険を及ぼす恐れがあることによって出兵したもので、この条約の定める所にしたがいすでに清国政府へ行文知照したと答える事。またもしなおその上に詳しく質問しようとするような時は、直ちに日本帝国政府に向って詳問されるべきだと答える事
一. もしまた京城駐在の外国官吏より日本の出兵の理由を尋ねるものがあるときは、日本帝国政府は済物浦条約第五款および天津条約第参款によって出兵したもので決して他意があるわけではないことを保障する事
一. 乱民が京城に乱入する時には、朝鮮政府で京城にある各外国公使館、領事館および外国人民を保護する力がないということで各国使臣あるいは領事から我が国の衛護を請うことがある場合は京城に出張している陸軍総指揮官と協議して出来るだけの衛護を与えられる事
一. このほかここに列記しない事項で至急の解決を要し電訓を請ういとまがない時には、閣下において臨機応変に処分されるべきこと。もっともこの場合には後で電信又は書信で速やかに事情を具報される事
以上の訓令を受けて大鳥公使は直ちに命令にしたがい、本野外務省参事官を従へ、警視庁臨時派遣の巡査二十名を率い、六月五日�埒棆豬街舛茲蠶觜餬慨枠�重山に搭乗して急航し、同月九日仁川に着き、在港艦隊司令長官・伊東中将と協議の末その夜伝令して、帝国軍艦五艘で砲隊 (砲四門)、 銃隊合わせて四百二十名を上陸させ、公使一行は銃隊三百余名に前後を警衛させ、翌十日、陸路大雨を冒して進み、砲隊には小汽船にて水路漢江を溯り龍山より上陸させ、水陸の二道共に夕刻ようやく南大門に達することができた。
初め公使の一行が兵と共に京城に進んでいるとの報に接するや、韓廷は大いに恐懼しなんとかこれを防止しようと考え、急に政府顧問・李仙得、外務参議・閔商鎬の二人を仁川に下らせたが、公使等は既に出発の後であったのでその目的を果たす事が出来なかった。
そこで韓廷は更に外務協辦・李容植に命じ、公使一行を龍登浦 (ヨンドンポ 麻浦からおよそ二十町程隔たった小村落) に待ち伏せをし、しきりに兵を率いて京城に入る事は許されないことを述べこれを防止しようと試みたが、使は一々反論し、さらに日本が兵を派遣して京城に入る理由を述べて韓廷の意志に応じず、直ちに京城に入った。
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