18940628 NO829 李鴻章とロシア国特命全権公使カウント・カシニー氏との動向
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駐韓日本公使館記録 3巻 参. 東学乱と清日関係 二 (27) 暗号電信解訳（写）の提出、並びにロシア政府申し入れ云々に関しご連絡申し上げる件
文書題目 (27) 暗号電信解訳（写）の提出、並びにロシア政府申し入れ云々に関しご連絡申し上げる件
文書番号 機密第二八号信
発信日 明治二十七年六月二十八日 ( 1894年 06월 28日 )
発信者 臨時代理公使 小村寿太��
受信者 外務大臣 陸奧宗光
(27) 暗号電信解訳（写）の提出、並びにロシア政府申し入れ云々に関しご連絡申し上げる件
機密第二八号信
去る二十五日以来、暗号電信が都合四通、別紙解訳の通り発着しましたので例のごとくこの写しを提出します。
なかんずく丁号電文の中に触れたロシア政府からの申し入れの件は、北京政府にしたものにではなく、天津において李鴻章とロシア国特命全権公使カウント・カシニー氏との面談の結果と信ずる旨申し上げました次第は（＊次の通りです。）
・・・・・
ロシア国代理公使・ウエバー氏は先日当地に到着以後、就任披露等のためであろうか、一二度ほどしか総理衙門を訪問していない。ところがロシア公使カシニー氏は去る十七日当地を出発、天津を経て芝罘（しふう）で来たる三十日出航予定の肥後丸便で本邦を経過帰国の予定と初めは決まっていたのだが、実際は今日まで天津に滞在、また在天津ドイツ領事セッケンドルフ氏よりの報告だとして当地のドイツ国特命全権公使・バロンホンシェンク氏の内話でお聞きしたところでは、李鴻章はロシア公使（＊カシニー氏）を招待し盛んな宴席上で同公使を称揚する演説をしたとのこと、
そもそも李鴻章は帰去来（＊官職をやめてその地を去り故郷に帰ること）の各国公使を饗応しそれ相応の世辞を申し述べることはいつもの事とは申しながら、それにしてもカシニー公使の隨行員パブロー氏はその後度々李鴻章氏の官邸に出入しているというおはなぜなのか。
またロシア公使は実際病気であるにもかかわらず、帰国途中天津に滞在しております意味はこれまたなぜなのか。
去る二十二日にある席でフランス国特命全権公使ジェラルド氏とロシア国代理公使ウエバー氏は本官に向って、「近頃英公使オコノル氏は度々総理衙門に出向している様子があるがきっと貴官がなにかお聞き込みのことがあるのだろう」と密かに尋ねてきたので、「なにもない」と答えましたところ、「貴官はよく衙門を御探訪なさると聞いておりましたので委細承知しました。なお御聞込のことでもありましたら御通知いただきたい」と語り、それよりウエバ−氏は他坐に移ろうとした時に、ジェラルド氏はウエバー氏に向って「天津におられる貴公使カシニー氏に御発信のおりはよろしくお伝えください」との一言を申し伝えたようなので、ロシア公使カシニー氏よりウエバー氏になにか通信があって、ジェラルド氏と共に本官からイギリス公使の動静を探ろうとしていたのではないか、
・・・・・
と推察され、あれこれ参照の上本官は前述の通りロシア政府からの申入れは李鴻章氏とロシア公使と面談の結果と信じた次第です。
以上御報告します。
明治二十七年六月二十八日
臨時代理公使 小村寿太��印
外務大臣 陸奧宗光 殿
[甲号(写)]
文書題目 [甲号(写)]
Komura
to Mutsu.
It appears that arrival of 3,000 Japanese soldiers at 仁川 was decisive in changing attitude of 李鴻章 and convinced him of the necessity of war in resisting Japanese action in Corea. Most of Foreign Representatives have not yet grasped exact situation at this moment. In the meantime Japan's vigorous and decisive action is necessary in order to give no time for European intervention and Chinese warlike preparations. British Minister suggests that 王大臣 will be disposed to consider proposals if they are approached on a basis of the integrity of Corean territory and prevention of disturbances. Telegraph your views regarding this suggestion.
Komura.
Peking, 25/6 '94. 7.00 p.m.
（私訳）
北京・小村臨時代理公使
陸奥宗光・外務大臣 宛
三千名の日本軍の仁川上陸は、李鴻章の態度を変化させるのに決定的だったようで、また朝鮮での日本の行動に抵抗する時には戦争が起きるという必然性を彼に確信させたようです。
大部分の外国代表たちはまだこの瞬間の正確な状況を把握できませんでした。
そのような間に日本の強力で決定的な行動がヨーロッパの干渉と清国の戦争準備のための時間を与えないために必要です。
英国公使は、もし中国が朝鮮の領土保全と東学派の騒乱防止という土台の上で交渉するということになるのであれば、王（ワン）大臣は我々の提案を考慮する意向があるようになるだろうと示唆しています。
この提議に対する貴官の見解を電信に送ってください。
北京・小村臨時代理公使a.
北京, 1894年六月二十五日 7.00 p.m.
[乙号(写)]
文書題目 [乙号(写)]
Mutsu
to Komura.
The following telegram has been sent to 在露聖波得堡公使 and 在英倫敦府公使:
Russian Minister called on me 六月二十五日 regarding Corea.
He informed me that Chinese Government had asked good offices of Russian Government and that in consequence Russian Government had instructed him to suggest to Japanese Government that they should endeavor to avoid collision with China which owing to presence of troops of both countries in Corea seemed imminent(?)
I assured Russian Minister that our sole objects was to ameliorate condition of Corea and place independence upon firm and enduring foundation and that in fulfillment of that object, we had proposed to Chinese Government creation of Joint Commission devoted to labor? of formulating measures looking to improvement in Corean administration.
That scheme, I added, had been rejected by China, I these called Russian Minister's attention to inconsistence of Chinese Government in demanding withdrawal of Japanese troops from Corea, while actually engaged in dispatching reinforcements to Corea and making preparations for sending thither additional forces amounting in all to 5,500 soldiers besides 2,500 already there.
Japanese Government, I continued, were familiar with the history of methods pursued by China in Corea and consequently that they unfortunately could not regard mere verbal assurances of China as sufficient guarantee upon which to withdraw their forces, since withdrawal of their army with that of China might occasion renewal of revolt and serve as pretext(for) reintroduction of Chinese troops into Corea.
In short, I said that Japanese Government were convinced that continued independence of Corea depended upon introduction of radical reforms in the administration.
I also told Russian Minister that present situation had been forced upon us by circumstances beyond our initiative or control.
Under these circumstances, I said that Japanese Government did not feel at liberty to withdraw their troops, unless one of the following Courses was adopted:
first that Japan and China join in arrangement to examine and devise measures having for their object perpetuation of Corean independence and amelioration of the contition of the kingdom;
or second if China finds insuperable objection to taking part in such work, that she shall……? engage neither directly nor indirectly to interfere with Japan in prosecution of the undertaking.
Finally, I declared to Russian Minister that our Mission(?) in Corea was one of peace and civilization and has so far as China was concerned we are in defensive attitude(?) You are hereby instructed to make declaration to Russian Government in the above sense.
Tokio, 26/6, '94. 4. 45 p.m.
Peking, 27/7, '94. 5. 00 p.m.
（私訳）
陸奥宗光・外務大臣
北京・小村臨時代理公使へ
次の電信がロシア駐在・聖ペテルブルク公使と英国駐在ロンドン府公使に送られました。
「ロシア公使が朝鮮に関し協議するために6月25日に本官を訪問した。
ロシア公使は、「清国政府がロシア政府の良い助けを要請したので、ロシア政府が朝鮮での両国軍隊の存在のためにまもなく起きそうな清国との衝突を避けるために努力しなければならないということを日本政府に提案するように彼に訓令をおろした」と本官に伝達した。
本官は、私たちの唯一の目的が朝鮮の条件を改善することで、独立を確固とした持続的な土台の上に置かれるようにするということをロシア公使に確信させた。
また、そういう目的を遂行するにあたって私たちは朝鮮の行政にあっての改善を期待する制度を公式化しようとするのに寄与する合同委員会の創設を清国政府に提案したとのことをロシア公使にはっきり伝えた。
本官が付言したその計画は清国によって拒否された。
中国は朝鮮からの日本軍の撤収を要求しておきながら、一方では実際に朝鮮に増員部隊を派遣して、すでにいる二千五百人以外に全部で五千人に達する追加的な部隊を朝鮮に送るために準備をしていた。
本官はこのような清国政府の矛盾した行為に対してロシア公使の注意を促した。
本官は続いて、日本政府は朝鮮で清国が追求した方法の歴史をよく知っているので、清国は残念ながら彼らの軍隊を撤収させることに対する十分な保障として、単に清国の口頭の約束だけでは考慮できないという点を強調した。
なぜなら清国軍と共に日本の軍隊を撤収することは、反乱再発の原因になるかも知れず、そして朝鮮での清国軍の再投入のための口実として利用されるかも知れないためだ。
要するに本官は、日本政府が「朝鮮の持続的な独立は行政においての根本的な改革の採択に依存する」という点を確信していると話した。
本官はまた、現在の状況が、私たちの能力と統制を越えた事情によって私たちに押し付けられていることをロシア公使に伝えた。
本官がこのような環境では次の三つの方針の中の一つが採択されない限り、日本政府は自由にその軍隊を撤収しなければならないと感じることができないと伝えた。
第一は、日本と清国は、朝鮮の独立の実際的な永続とこの王国の性格の改善のために持たなければならない制度を調査し考案する準備において協力すること、
第二に、清国はその用件に参加するときに克服できない反対に直面した時は、清国は日本と共にその事業の遂行する上で、直接的にでもあるいは間接的にでも妨害しないことを約束すること。
最後に本官は、朝鮮における私たちの任務は平和と開化の任務であり、清国が関係する限り私たちは守勢的な姿勢にある
とロシア公使に断言した。
これによって貴下は上の意味に従ってロシア政府に言明するように訓令受けた。」
東京 一八九四年六月二十六日 '94. 4. 45 p.m.
Peking, 27/7, '94. 5. 00 p.m.
[丙号(写)]
文書題目 [丙号(写)]
Mutsu
to Komura.
You may tell British Minister as your own opinion that in spite of late Chinese rejection of our proposal. Japanese Government may be disposed to entertain Chinese proposal if they are approached on a basis of mutually respecting the integrity of Corean territory and preventing disturbances.
Mutsu.
Tokio, 27/6, '94. 5. 40 p.m.
Peking, 28/6, '94. 8. 30 a.m.
（私訳）
陸奥宗光・外務大臣
北京・小村臨時代理公使へ
貴下は最近の私たちの提案に対する清国の拒否にもかかわらず、貴下自身の見解で次の内容を英国公使に伝達しなければならない。
「日本政府は、もし清国政府が相互に朝鮮の領土の保存を尊重し、騒乱を防止するという基準の上から接近するならば、清国の提案を考慮することになるかも知れない。」
陸奥宗光・外務大臣.
東京、六月二十七日 '94. 5. 40 p.m.
北京,六月二十八日 '94. 8. 30 a.m.
[丁号(写)]
文書題目 [丁号(写)]
Mutsu, Tokio.
Your telegram of 六月二十六日 received. There is every reason to believe that the suggestion of the Russian Government was made as the result of interview between 李鴻章 and Russian Minister at 天津 without the Government in Peking being made aware of the fact.
（私訳）
陸奥宗光・外務大臣（宛）
貴官の六月二十六日付電信を受け取り拝見しました。
ロシア政府からの提案は北京政府もその事実を知らず、天津での李鴻章とロシア公使の間の会談の結果で成り立ったと信じるに十分な理由があります。
北京・小村臨時代理公使
1894年六月二十八日 7.15 p.m.
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