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2016年11月19日11:52

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新国立劇場バレエ Dance to the Future 2016 Autumn

2016/11/18金 19:00- 新国立劇場 小ホール

新国立劇場バレエ団の、ダンサー自身が振付けた作品を集めたガラ公演に行ってきました。アドバイザーに中村恩恵さんのお名前がありますが、作品の選択などにも関わられたようで、全体の構成もよく考えられたものになっていました。面白かったです!

公演終わって特に印象的だったのは、小野絢子ちゃんと宝満くん。この2人の舞台上の存在感は抜群でした。宝満君はつくる作品にも幅があり、振付家としての非凡な才能も感じました。以下、作品ごとに感じたことを。

◆第一部

ロマンス
【振付】貝川鐵夫
【音楽】F.ショパン ピアノ協奏曲第1番 ホ短調Op11より第2楽章
【出演】小野絢子、玉井るい、益田裕子、木村優子、中沢恵理子

椿姫の白のパドドゥの音楽に載せたネオクラシックのしっとりした作品。新国女性陣の体の美しさ、テクニックの確かさを活かした作品で素敵でした。絢子ちゃん、登場の歩いているだけの部分でも他のダンサーと全く別格で鳥肌が立ちました。何だろう、緊張感というか、集中力が凄い。あと、やはり彼女も視線が強いと思います。コンテンポラリーは古典よりもダンサーの内面から発するメッセージが必要なんだなと、観ながら思いました。

angel passes
【振付】貝川鐵夫
【音楽】G.F.ヘンデル オラトリオ「メサイア」HWV56よりPart I "Aria"
【出演】小野寺 雄

メサイアに載せた男性のソロ。コンテはどうしても暗い作品になりがちななか、これは明るい作品。貝川さんの振付は、男性を踊らせると凄く活き活きしますね!男PDDとかも作ってほしいんだけど。小野寺君、上手でとてもよかったと思いますが、ちょっと遠慮がちだったかなと思いました。ステージから観客を支配してやる、というくらいに意気込みでやっちゃっていいのにな!

ブリッツェン
【振付】木下嘉人
【音楽】M.リヒター Infra5
【出演】米沢 唯、池田武志、宇賀大将

リヒターの音楽に乗せたクールな作品。宇賀君というダンサーを初めて認識したのですが、重心低いし粘りはあるしで、コンテ上手いですねー!池田君も安定の上手さだし、唯ちゃんは古典よりもこういうクールなコンテを踊っている方が私は好きかも。3人のハイレベルなダンスに見惚れた作品でした。

◆第二部

Disconnect
【振付】宝満直也(「DANCE to the Future 2016」上演作品)
【音楽】M.リヒター On the nature of Daylight
【出演】五月女 遥、宝満直也 

五月女さんと宝満君の素晴らしいパートナーシップが光った作品。彼ら、リアルカップルなのかな。日本人のダンサー同士でこういう大人な感情を表現できるカップルって余りいないし、二人とも本当に動きも表現力もあるので、もっといろいろなところで観たいと思いました。
それにしても、リヒターの音楽を、休憩挟んででも2つ続けるのはどうなんでしょう。彼の音楽はそれ自身が強いので、音楽自身の持つ力をこえる振付をするのって難しいのじゃないか。ペルトなんかも同じですが。

福田紘也
【振付】福田紘也
【音楽】三浦康嗣、Carsten Nicolai、福田紘也
【出演】福田紘也

演出が入ったストーリー仕立ての小品。テーマは「依存」だそうで、コーラ依存ってことなのかな。ステージ上でコーラを立て続けに飲んで踊るって苦しそう^^ でも、コミカルだし音楽の使い方も上手いし、面白かったです!作品自体はまだ粗削りなところもあるけど、シンプルなダンスだけじゃなくてこういう小技の利いた作品を創れる人は貴重だと思うので、今後もどんどんユニークな作品を創っていってほしいな!

3匹の子ぶた
【振付】宝満直也
【音楽】D.ショスタコーヴィチ ピアノ三重奏第2番ホ短調Op.67より第4楽章
【出演】小野絢子、八幡顕光、福田圭吾、池田武志

ショスタコのこの曲を使って3匹の子豚って作品を創ろうと思った宝満君すごい。音楽はこの作品のために創られたの?ってくらいぴったり。第二部最初のしっとりした作品とは違い、舞台装置や衣装も可愛いコミカルな作品。ダンサーのセレクションも上手いし、宝満君の才能を感じました。ダンサー、みんなよかったし、楽しそうに演じてましたね〜。絢子ちゃんがもう可愛くて可愛くて!彼女はコメディも上手いところが本当に女優だなと思います。八幡さん、福田さん、この手の笑いを取る役大好きでしょ。そして池田君の狼がすっごいかっこよかった!

◆第三部

生演奏によるImprovisation即興
【音楽監修】笠松泰洋
【演 奏】 中川俊郎(pf.)、  木ノ脇 道元(fl.)
【出演】米沢 唯、貝川鐵夫、福田圭吾、木下嘉人、福田紘也、宝満直也 

ミュージシャンとダンサーによる即興作品。こういうのを観るの自体が初めてだし、新国のダンサーさん達も慣れてるわけじゃないだろうし、最後に持ってくるなんてチャレンジングだなーと多少心配していたのですが、いや、なかなか楽しかった。
とにかく、宝満君がピカイチ。立っているだけで存在感あるし、踊ってもとても雰囲気があるし、なんか目が惹きつけられる。また、彼がダンサーの影の司令塔となっていたように思います。他のダンサーがちょっと行き詰ってくると、宝満君が出てきてふっと新しい動きを出す。他のダンサーがそれを受けて動き始めると彼はすっと端に下がっていく。かーっこいー!第2部といい、この公演では本当に彼に惚れこみました!
そしてミュージシャンの方々も凄かった。ダンサーの動きを観ながら、曲を静かにしたりアップテンポにしたり、彼らの方が全体の雰囲気をコントロールしていましたね。
なるほどimprovisationってこういうものなのか。緊張感あって面白い。でも、ダンサーは体だけじゃなくて頭も使わなきゃいけないから、すごく大変そう。

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平日の夜にも関わらず小ホールはほぼ満席。座席数の少ないホールだと出演者と観客の関係性もとても親密で、観客の反応も公演をつくっている構成要素になってくるのも面白いです。普段のクラシックの公演では目立たないけど別の部分に光る才能を持っているダンサーさんが見られてよかったな。こういう公演、もっとやってほしいなーと思いました!

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