NO803 朝鮮に対し日・清協同の件 その3 辛号、壬号
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駐韓日本公使館記錄 3巻 参. 東学乱と 清日関係 二 (2) 朝鮮に対し日・清協同の件に関する来復電信、並びに口演書、その他対話筆記を添えてご連絡の件
[別紙 辛号]
文書題目 [ 六月二十日付、小村公使と総理大臣 孫毓汶・徐用儀・張蔭桓・崇禮などとの面談内容 ]
＊「三ヶ条」についての回答は李中堂（李鴻章）を通してではなく、在東京・貴国公使を通して日本外務大臣につたえられるべきではないか
在東京清国公使・汪鳳藻を経て外務大臣より申し入れられた三ヶ条の提案に対する清国政府からの回答に関し、明治二十七年六月二十日午後三時、総理衙門において実施した面談の筆記は次の通り。
列席総署大臣 孫毓汶 徐用儀 張蔭桓 崇禮
臨時代理公使 小村寿太�� 参等書記官 鄭永昌 訳述
小村 本日御面談致したいことは我が政府より提出した「三ヶ条」（＊1.反乱を鎮圧して秩序を回復すること。2.日•清両国は合同委員を任命して行政と財政を改革すること。3.朝鮮の自衛のため充分な陸軍を組織すること。）に対する貴国政府よりの御回答の件で、なお一応伺いたいことがあります。
即ち昨日の貴大臣等のお話によればこの「三ヶ条」に対する御回答は在東京・貴国公使を経て我が国の外務大臣へ転達せよと李中堂へ御発電なされたかと了解していますが、全くそれに相違ありませんか。
徐 そうです。本大臣等は貴国政府より提出された「三ヶ条」に対する我が政府の意見(即ち昨日述べた通り)は在東京・汪公使を経て貴国外務大臣へ回答すべき旨を李中堂へ電達しておきました。
小村 ところが、本日我が外務大臣の来電に接してみると、汪公使はまだなんらの回答も致していないとのこと、即ち昨日お聞きした事実と食い違っているので、もう一度御尋ね致すわけです。
孫 昨日も申し上げたように、最初よりこの「三ヶ条」は在天津・貴国領事より李中堂（＊李鴻章）へ提出したものなので、李中堂はこれに基づきその回答について本衙門へ尋ねてきました。そこで本衙門は我が政府の意見を在東京・汪公使経由で貴国外務大臣へ回答すべき旨を李中堂へ電達したのです。
小村 この「三ヶ条」の提案は、我が外務大臣より在東京・貴国公使を通して貴政府へ申入れたことは事実に相違ありません。だとするならば、貴国政府よりこれに対する回答は是非とも汪公使を経て我が外務大臣へ転達されるべきはずと考えます。
徐 李中堂の来電には「在天津・日本領事より申し入れてきた」とあり、汪公使を経て貴国外務大臣より提出されたとはいっこうに通知されていない。
多分在天津・貴国領事は、外務大臣の訓令によって汪公使よりの電報に先き立ち李中堂へ申入れている事と推察する。
また李中堂は同領事の申し入れに対し我が政府の意見を口頭にて回答したのであろう。
小村 たとえ在天津・我領事よりこの「三ヶ条」を李中堂へ申し入れたにせよ、我が外務大臣は公然と在東京・貴国公使の手を経て提出したことに相違ないので、李中堂も公然汪公使を経て回答されるのが当然の事と思います。実際、在天津・日本領事を経て回答されるのは公然の回答と認め難い。
徐 貴国領事も外務大臣の電訓によって李中堂へ申し入れたのであるから、これを私用の取扱いとはいえない。
但し本大臣などは我が政府の回答を在天津・貴国領事を経て転達せよと李中堂へ電達したことはない。公然と在東京・汪公使をして貴国外務大臣へ回答させるべき旨を申し遣わしている。
小村 在天津・日本領事か外務大臣の訓令に基づき「三ヶ条」の申し入れをした事はまだ承知していない。
この度の事件は早急に貴国政府よりの回答を要する場合であるので、願くは昨日御陳述になった貴国政府の御意見を、汪公使を経て直接に我が外務大臣へ御回答いただきたい。
孫 本衙門より直接に汪公使を経て回答致すのも、李中堂を経て転達するのも、その出る所は同じで、更に等差のあることはない。殊に従来の行き掛かりもあり、すでにその回答伝達方法を李中堂へ電達して置いた上に、またさらに本衙門より汪公使へ電令するのは穏当を欠くやり方かと思う。
小村 そうであるなら、貴大臣などより李中堂へ急いで在東京・汪公使を経て回答されるよう至急電達があることを希望する。
孫 委細承知した。なぜ汪公使に外務大臣へ回答しないのか電報で李中堂へ尋ねよう。
小村 李中堂よりの回答を受けられた上は、本官の心得のため書面で御通知頂きたい。
張 返電の来着次第、御通知致しましょう。
以上
[別紙 壬号]
文書題目 [六月 二十日字 北京・小村臨時代理公使の陸奥外務大臣宛電信]
Komura
to mutsu
王大臣 promised to telegraph 李鴻章 to answer through 在日本清国公使 as previously instructed, though I urged them to telegraph 在日本清公使 direct to secure quietness.
Peking, June 20, '94. 6.30 p.m.
（私訳）
本官が秘密を保証するためには、直接在日本・清国公使に電報を送らなければならないと彼らに強調しておきました。王大臣は以前に指示したように、日本駐在・清国公使を通して回答をするよう李鴻章に電報送る事を約束しました。
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