妻の留守中にはいりこんだ愛人の窃盗
親族相盗例の限界
インターネット上でもりあがっていた話題をすこし変えた設例です。
夫甲、妻乙夫婦はふたりでマンションの一室で暮らしていたが妻乙が出産で実家に帰っていたところ、夫甲は隣家の丙女を自宅によびよせて不倫をした。
その後妻乙が帰ったところ自分の宝石類がなくなっていることがわかった。乙所有の宝石は乙が気づいた2日のちに丙宅で見つかった。丙は一人暮らしである。
1 丙が乙の宝石類を盗みとった場合の丙の罪責いかん。
2 甲が乙の宝石類を盗みとった場合の甲の罪責いかん。
3 2の場合で甲が乙からぬすんだものだといって丙にわたして丙が受け取った場合の丙の罪責いかん。
4 甲と丙が共謀のうえ乙の宝石類を盗み取った場合の甲丙の罪責いかん。
設問1について
丙は他人の占有する物体を盗んでいるので、丙の行為は窃盗罪(刑法235条)となる。
乙と丙は親族関係にないので刑法244条の親族間の特例は問題にならない。
設問2について
乙は他人の占有する物体を盗んでいるので、乙の行為は窃盗罪(刑法235条)となる。ただし刑法244条1項により同居の親族間の犯罪として刑が免除される。また、直接の規定はないが244条2項の同居でない親族間が親告罪(告訴をまって処罰される罪)であることから、均衡上親告罪となっている。
占有は事実上の支配であるが主観と客観の総合により判断し、自宅の自己の管理するところにあるところから占有は乙にある。
同居の点についても長期的にみるものであり、一時的な里帰りの場合は同居として扱われる。
設問3について
丙は盗品を無償で譲り受けているので、丙の行為は盗品等無償譲受罪(刑法256条1項)となる。
設問4について
甲丙は窃盗罪(刑法235条)の共同正犯(刑法60条)である。甲に対してのみ刑法244条1項の適用がある。
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