救急車をよんで！
彼の心臓を 灰色の手がつかんでいたのがみえたら
彼の左半身が冷たくなっていったんだ
だから その瞬間 救急車をよんで！と 他の人にさけんでいた
その時 彼の右半身は 発作で暴れつづけていて
その時 彼の頭は動こうとしていて
その時 舌で窒息しないように スプーンを口にいれていて
頭をうごかないように固定して 息ができるように上半身をささえて
彼に 左をうごかして 右じゃなくて 左をうごかすんだ！て
でも 左はうごかなくて でも 彼の心臓をつかんでた 灰色の手は
自分の心臓の方にはいずってきたんだ
救急車がついて 救急隊員に その場をあずけて 説明をおえた
自分の心臓に その灰色の手が うつったまま そこから もどって
施設長に電話する その手が 自分の心臓に吸い込まれるのを確認して
彼は とりあえず 死なないのがわかっていたけど
自分の寿命も かなり失ったことを知っている
だけど だれも しらない なぜ 救急車をよんでくれと さわいだのかの
わけも 彼はいま 無事だけど てんかんもちなので 精密検査で一週間入院
なんとか 自分もいきのびたけど 昨日も 疲れたにゃ
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