新国立劇場バレエ ロミオとジュリエット
音楽
Music
セルゲイ・プロコフィエフ
Sergei Prokofiev
演出・振付
Choreography
ケネス・マクミラン
SIR Kenneth Macmillan
装置・衣裳
Designs
ポール・アンドリュース
Paul Andrews
指揮
Conductor
マーティン・イェーツ
Martin Yates
管弦楽
Orchestra
東京フィルハーモニー交響楽団
Tokyo Philharmonic Orchestra
2016/10/29土 14:00- 新国立劇場オペラパレス
ジュリエット: 小野絢子
ロメオ: 福岡雄大
マキューシオ: 福田圭吾
ティボルト: 菅野英男
ベンヴォーリオ: 奥村康祐
パリス: 渡邊峻郁
キャピュレット卿: 貝川鐵夫
キャピュレット夫人: 本島美和
2016/11/5土 14:00- 新国立劇場オペラパレス
ジュリエット: 米沢唯
ロメオ: ワディム・ムンタギロフ
マキューシオ: 木下嘉人
ティボルト: 中家正博
ベンヴォーリオ: 奥村康祐
パリス: 渡邊峻郁
キャピュレット卿: 貝川鐵夫
キャピュレット夫人: 本島美和
新国立劇場バレエ2016-17シーズン開幕のマクミラン版ロミオとジュリエット(バレエ団の正式な呼び方はロメオとジュリエットですが、ここは使い慣れた表現で書かせていただきます)、初日と楽で異なるキャストを観てきました。
両方とも素晴らしい公演でした!
日本人だけでここまでマクミランのロミジュリを踊れるバレエ団があるって凄い。そして東フィルの演奏も安心して聴けてロミジュリに浸ることができました・・・英国ロイヤルバレエのロミジュリの伴奏がさんざんだっただけに涙が出るほどありがたかった。東フィルさんに感謝です!
初日は我らが絢子姫!絢子ちゃんはジュリエットを3回踊るけど残り2回は平日マチネということでこの日のチケットは争奪戦、涙を呑んだ人も多かったようです。私はシーズンセット券を購入していたので前方中央の特等席で観てきました。
絢子姫のジュリエットは素敵に違いないと思っていましたが、福岡君とのパドドゥは期待のはるか上をいくものでした。1幕のバルコニーのパドドゥ、寝室のパドドゥ、どちらも二人の息がぴったりで難しいリフトに入るときもパの継ぎ目を感じることなく流れるよう。お互いを想い合う気持ちも痛いほど伝わってきて、この部分だけ切り出して世界のトップダンサー出演のガラに出てほしい!ってくらい。特に福岡君は、ソロよりも絢子ちゃんとのパドドゥの方が役を生きているように見えました。彼はロミオというほど優男ではないけど、絢子ちゃんをあそこまで美しく安心して踊らせられるパートナーは彼だけなんだろうなあと思う。マクミランのパドドゥは特にパートナーシップがとても大切だなと実感した公演でした。
絢子ちゃんは他の部分も素晴らしくて、本当に女優だなぁと。役作りとしては結構気の強い現代的なジュリエットだったように思いました。墓地で目を覚ましロミオの死を発見するところ、彼女の演技が余りに真に迫っていて思わず涙。
カーテンコール、最後は多くの人がスタオベしていて、絢子ちゃんもちょっとうるっとしているように見えました。彼女にとってもこの役は思い入れのある役なのでしょうね。あと2回の公演を観られる方が羨ましいです、サラリーマンには平日マチネはキビシイ・・・。
楽は唯ちゃん&ワディムのペア。6月のロイヤル来日公演でワディムのロミオにハートを射抜かれたのでこれは見逃せないと早めに前方席を確保して大正解!髪を短くして少し垢抜けた感じになったワディム、相変わらず若くて甘くてキラキラ弾けるようなロミオでした。素敵過ぎてため息。バルコニーのPDDで、難しい振付の合間に、絶えず唯ちゃんジュリエットの方を見て幸せそうににっこり微笑むんです!もうその笑顔に萌え死にました。
この2人が一緒に踊っているのを観るのは初めてなのですが(去年くらいまで新国バレエはちょっと頻度落としていた)、唯ちゃんはワディムのこと大好きなんですね。彼と見つめ合うときとか、目がハートになっているような熱視線。彼女は割と熱くならずに踊るタイプだと思っていたのでこの変化は意外でした。相手が井澤君でもここまで出来たら女優だと思うけど、これはワディム効果なんじゃないかしら。ワディム相手に乙女の唯ちゃん、可愛かったです♪ジュリエットという役柄としてもいい効果を出していました。
絢子&雄大ペアは踊りも演技もよく練り込まれた大人のロミジュリ。そして唯&ワディムは若いペアのフレッシュなロミジュリという印象で、それぞれのペアなりの味があってどちらもよかったと思います。寝室のPDDはどうしても大人ペアの方が評価が高くなるけどね。唯ちゃんは清潔感があるところはとてもいいのだけど、色気みたいなものが出せるようになると表現者としてもう一段上に行くのじゃないかしら(上から目線すみませぬ)。
主役以外では、ベンヴォーリオの奥村君の美しくて正確な踊りが印象的でした。三バカが踊るところでワディムと奥村君がユニゾンで踊ってるのが超気持ちよかった!これで演技がもっとできるようになって押し出しが強くなれば奥村君はド真ん中の人って感じになるなと期待が高まりました。
あまり踊るシーンはなかったけど存在感という意味ではパリス役の渡邊さんがよかった。難しい役を抑え気味の演技でしたが好演していたと思います。彼は踊りも上手いはずなんだよなあ。パリスはよかったけどちょっと勿体ない。
ティボルトは菅野さんがよかったな。あの方は今後、こういう演じる役にシフトしていかれるのかしら、でも数少ない大人の男の役ができるあの団では貴重なダンサーだと思います。
欲を言えばマキューシオがもっとガンガンに踊れる人だったらなあ・・・福田さんも木下さんも悪くはないけど、八幡さんくらいの高スペックで観たかったです。
新国、今年からプログラムを無料で配布する形になったのですね。ストーリーがしっかり書かれていたり意欲的な取り組みで嬉しい部分もありますが、キャスト表だけは最新のもの、しかも端役まで入ったものを配布してほしいと思いました。ファンはそうやってダンサーの顔を覚えていくのですから。2日目以降は、会場内に貼りだされてはいたようですが。
開幕にふさわしい熱のこもった舞台をありがとう。また新国でドラマチックバレエを見たいなと思わせてくれる公演でした!
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