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2016年10月11日16:18

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【創作】超攻鬼装オーガイン  第四話:特機、出撃!【その3】

【創作まとめ】
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【前回】
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「まずは氷室君と石動君の調査結果から報告してくれる?」

ボスの言葉に石動君が立ち上がる。
部隊としては立ち上げたばかりだが、色々体制を整えつつも調査は進めているわけだ。

「では自分から報告します。自分と氷室さんの二人で、以前自分が改造手術を受けた研究所の調査に向かったのですが、研究所があった敷地には何もなく、更地と化していました」

そんな調査してたんだ。
石動君の言う研究所というのは、彼に改造手術を施した第三研究所のことね。
あの研究所はオーガインが逃走後、施設を破棄して、翌日には更地へと均したと聞いている。
その辺は博士が手配してくれたから、シャドール本部に繋がる手掛かりは残してないはずよ。
案の定、石動君は何も手掛かりが掴めなかったようね。
そもそも、今回のミーティングではシャドールに対しての手掛かりと必要物資の確認といった、今後の方針を決めるものである。
オーガインのメンテナンスに必要な機材は、博士が送ってくれた第三研究所にあった機材をそのまま使うことにしたわけだけど、出どころとしては私が事前にフューチャーアイズに発注しておいたことにしておいた。
石動君と氷室さんからの厚い信頼のお陰で岡田教授以外には怪しまれることはなかったが、彼が勘ぐってきたところで、事あるごとに噛み付いてくるのを周りも知っているので、またか、という対応になったのはありがたかったわ。
深く突っ込まれると、足がつかないように海外を数か所経由して送られてきているので、誤魔化し切れたか分からないもの。

「今後の我々の活動としては、石動君が誘拐される前に潜入していた組織をターゲットとします」
「山田元捜査一課課長が手回ししていたとはいえ、誘拐したのはその組織ですからね」

ボスと酒本さんは私にも分かるように丁寧に説明してくれる。
こういうさり気ない気遣いの出来るところが出世のポイントなのかもしれないわね。

「たしか石動君が潜入していた組織って、武器密輸組織『ブラックサタデー』だったよね?」
「ええ、そうです」

ブラックサタデー。
映画などでも題材にされるほど有名でありながら、その実態は世に知らされていない謎の秘密組織。
有名でありながら秘密組織という矛盾は、世界中で様々な都市伝説を生んでいる。
曰く、世界中の武器密売を取り仕切っている。
曰く、世界中の紛争を裏で操作している。
曰く、人類増減の管理を彼らが操作している。
どこまで本当で、どこから嘘なのか、あるいは全て本当なのか、全て嘘なのか、存在自体も謎に包まれていた組織である。
そのブラックサタデーに石動君が潜入していたとは、私も知らされてなかった。
武器の密輸と言うと、武器の手に入りにくい日本では輸入のイメージが強いが、シャドールとの関係を考えると輸出の可能性もありえるわね。
園咲顕将やミカエラ・アンダーソンの兵器を紛争地域へ輸出する、これは世界の勢力図が書き換えられる可能性さえ秘めているわ。

「ブラックサタデーってアレでしょ? 週末と世界の終末を掛けてるっていう」
「はい、そうです」

ダジャレかよ!
あれ? 組織名がダジャレっていうことは、私のイメージしていた内容と少し違うみたいで、どうやら日本の組織のようね。
日本支部みたいなのがあるのかしら?

「自分が調べた内容ですと、都内の埠頭に取り扱っている武器を隠しておく倉庫を数棟所有している程度の組織ですね」

どうやら私が思っているよりも規模が小さい組織のようね。
世界を股にかける組織って、フットワークを軽くするために、あえて組織を大きくしないものなのかもしれないわね。

「さすが世界的武器密輸組織『ブラックマンデー』の名前をパクっただけのセコい組織なだけはあるわね、ショボいわ」

違ったー!!
私が思ってたのはブラックマンデーの方だ!
知ったかぶりで色々口走らなくてよかったわ。
危うく赤っ恥をかくところだったじゃない。
どこの誰が作った組織か知らないけれど、紛らわしい名前を付けるんじゃないわよ。

「規模は小さくても手掛かりには違いないわ。令状が下り次第突入作戦を決行するので、各自準備を整えておいてちょうだい」

特機が結成されて初の作戦である。
ブラックサタデーがどれほどの組織かはわからないけど、やれることは全てやっておいた方がよさそうね。

「ちょっと待ってくれ、その突入作戦に我々民間協力組は含まれてないんだろうな」

今まで沈黙を守っていた岡田教授がボスに食って掛かるように問い詰める。
質問するにしても、もっとスマートに出来ないものかしら。

「いえ、ここに居るメンバーには一緒に来てもらうつもりで話していましたが」
「いやいやおかしいだろ? 装備技術顧問としてアドバイスや助言は惜しみなく協力する。しかし我々素人まで現場に出る必要はないだろう」

岡田教授、アンタ全然協力的じゃないでしょ。あとアドバイスと助言は同じ意味よ。
突入した際、オーガインに何かしらの不備が起きてメンテナンスが必要になった時を想定して、私は一緒に行く心づもりだったのだけれど、岡田教授は違ったらしい。
どうも私は前回、前々回の戦いの経験で現場に行くことに抵抗を感じなかったみたいね。
普通に考えたら大学で教鞭を取っている一般人が、犯罪組織への突入作戦に参加するのに抵抗を感じるのは当然と言えば当然かもしれない。
しかし私たちは岡田教授を含めてもたった九人しか居ない部隊であり、その中でも実際に突入する実動部隊は石動君と氷室さんの二人しかいない。
猫の手も借りたい心情であるのは理解できる。

「私は絶対に同行せんからな!」

岡田教授は頑なに拒否を示す。
考え方次第かもしれないけど、何かと否定的な意見ばかり言う岡田教授が居ない方が作戦はスムーズに進みそうな気もしないではないのだけど。

「岡田教授の意見はもっともで、民間協力者の二人には作戦への参加は強要できないのは理解しています。ただ岡田教授の場合、特機が結成されてから桜子ちゃんが提案した装備開発を全て却下されてきましたよね」
「そりゃそうだ、警察にあんな重装備は必要ないからな」
「通常の警察官の装備でしたら、必要ないでしょう。しかし我々が相手をするのは特殊犯罪組織シャドールです」
「だから何だと言うのだ」
「岡田教授にはシャドールという組織がどのようなものか、一度その目で確かめていただきたいんです。今の装備だけで本当に十分なのか、それとも今以上の装備が必要なのかを」

特機が結成されてからまだ一週間しか経っていないが、私は既にいくつかオーガインの強化プランを提案した。
特機のメンバーのほとんどはその内容に納得してくれていたのだけれど、岡田教授だけは決して首を縦に振らなかった。
宗像副総監との約束もある以上、最終決定権は装備開発技術顧問である岡田教授に一任されており、彼の許可が下りない限りどんな強化プランも通らない。

「特殊犯罪組織と言えど中東やヨーロッパの武装集団とは規模が違うんだ。日本の武装集団程度に小鳥遊さんが提案するような重武装は必要ない」

シャドールの立場から考えると、警察の対シャドール部隊が力を慢心し侮ってくれると非常に行動しやすいのだが、その侮った装備で一緒に突入するのは勘弁願いたいのよね。
シャドールの一員だからこそ、今の警察装備で対抗するには無謀だということが確信できる。

「民間協力の二人は我々が全力で、警察の威信にかけて守り抜きます。ですから今回に限り同行をお願いします。それとも・・・・・・」
「な、なんだね」
「日本の武装集団程度なら今の装備でも十分なんですよね? なら問題無いんじゃないでしょうか?」
「そ、それは・・・・・・」

ボスの鋭い眼光に岡田教授はたじろぐ。
この人、基本的に圧力かけた言葉に弱いのよね。

「ええいッ、今回だけだ。次からは絶対に現場に出んからな!」
「ありがとうございます♪」

苦虫を噛み潰したような顔で答える岡田教授に、ボスは満面の笑顔で返答した。
可愛い。
そして恐るべし二十八歳。


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午前2時。
都内にある某埠頭近くに指揮車両を停車させ、ブラックサタデーの様子を窺っていた。
オーガインの通信と連動させたドローンを使用して、上空から例の倉庫を監視しているのである。
特機として初の突入作戦ということもあり、私は少し緊張していた。
今までオーガインと一緒に何度か戦闘を経験してきたが、それはあくまでも行き当たりばったりというか、巻き込まれての参戦だったので、こうやってきっちり準備をしての作戦は初めてだからかもしれない。
今はドローンの情報を元に突入のタイミングを図っているわけだが、オーガインのメンテナンスを終えた今は手持無沙汰になっていた。
今までと違い、今回は突入作戦のプロが味方に付いている。
作戦に関しては素人の私に出る幕は無いかもしれない。
願わくばオーガインが大きな損傷を受けることもなく、平穏に終わってほしいと思う。
そうすれば私は作戦を見ているだけで終わるのだから。
しかし、そんな事は絶対にあり得ないと確信している。
何故ならブラックサタデーの倉庫にはシャドールのコマンダー部隊が出動しているのだから。
初任務にして総力戦、この突入作戦の難しさを特機の誰よりも知っている。
ミーティングのあと、各々が突入作戦の準備を終えてから、作戦開始時刻まで少し時間があった。
その際に私は一度シャドールに戻り、博士に突入作戦について相談したのだ。
シャドールの一員として作戦を見過ごしたままでいいのか、それとも作戦を妨害して特機の壊滅を手引きした方がいいのか。
博士からはオーガインのメンテナンスを秘密裏に遂行する任務を受けていたが、シャドールにとって痛手になるようであれば看過できない。
相談の結果、私は特機の一員として作戦に参加し、小細工は一切しない。
そしてシャドールは警察に付け入る隙を与えないためにも可能な限り抵抗を試みることとなった。
つまり私は私で好きにやれ、と。
このオーダーを鑑みると、ブラックサタデー自体はシャドールにとってさほど重要な拠点ではないのかもしれないわね。
だが今後の方針を考えるにあたって、特機の実力を把握しておきたいということなんだと思われる。
だからコマンダー部隊にも連絡は通っているし、迎撃準備も可能な範囲で敷かれているに違いない。
何より博士自身が喜々としてこう言っていた。

「いい機会だからオーガインとオベロンを戦わせよう! だから僕も現場に行くよ!」

まるで夏休みに友達同士で、捕まえたカブトムシで虫相撲をさせるような軽いノリで目をキラキラと輝かせていた。
あの人は一体どこまで本気なのか、長年の付き合いになるがいまだに掴み兼ねるわ。
オーガインは特機に来てから、メンテナンス機材が揃ったこともあり、今までオミットされていた全武装が解放されている。
それに対してオーガノイド・オベロンは予算の都合で内蔵武器は全て外されている。
これで勝負になるのだろうか?
あの博士のことだから何かしら企んでいるのだろうけど、この差はなかなか埋まらないと思うのだが。
実際に博士とオーガインがどのタイミングで出てくるのかは分からないけど、私としてはなんとかこの作戦を無事に終わらせたいという思いの方が強かった。
とにかく指揮車両が狙われませんように。
そんなフラグめいた事を考えていると、それまでドローンで撮影していた画像が突如途切れた。

『オーガインより指揮車両へ、偵察に出していたドローンが何者かによって破壊されました』
「こちらでも確認しました。ボス、指示をお願いします」

オペレーターの水無さんの声が指揮車両に響き渡る。
これは事実上、偵察が敵に見つかったことを意味し、作戦の強制開始を意味する。
ちなみにオーガインはラジコン操縦のドローンを操るために指揮車両の上で待機していた。

「直前までの映像から判断すると、倉庫の外には誰もいなかったわ。ということは遠方からの射撃か、もしくは先日の警察での戦闘のように飛行ユニットの可能性が考えられるわ。オーガイン、ドローンの被弾角度から射撃ポイントは割り出せる?」
「計算した結果、敵はドローンの直上です」

直上・・・・・・つまり真上からの攻撃ということは・・・・・・飛行ユニットね。

『待っていたぞオーガイン! 今度こそ決着をつけてやる!』
「レーダーに反応あり! 敵、上空より来ます!」

外部マイクの音声と同時に、索敵をしていた音無さんの声がこだまする。
オーガインの視覚センサーと連動したモニタには猛然と迫りくるギアラプターズと、その背に乗ったコマンダー・ウインドが映し出される。あの機体は夜間行動に適したフクロウを模したフォースストリクスね。
ドローンで状況を確認して先手をとる作戦が、慎重になりすぎたせいで奇襲を受ける形となってしまった。

『決着か、望むところだ!』

オーガインは両脇腹のアンカーをウインドに向けて打ち出す。

『同じ手が何度も通用するか!』

ウインドは一瞬だけフォースストリクスをホバリングさせると、手にした槍を旋回させると穂先で一撃、遠心力を使って柄でもう一撃、最小限の行動でアンカーを弾き返す。
しかしその一瞬の間にオーガインはエアスラスターを使って上空へと迫りよりパイルバンカーを撃ち出していた。

「くらえ、鬼衝撃ッ!」

しかしそれはフォースストリクスの鋭い鈎爪で阻まれる。
空砲に終わったパイルバンカーの衝撃と前部のエアスラスターで後方へ飛びのきながら、先ほど弾かれたアンカーのワイヤーを右手で掴み、鞭のように撓らせフォースストリクスを絡めとる。

『うおおおおおおッ!』

着地すると同時に撃ち出して伸びたバンカーを地面に打ち立て、力まかせにワイヤーを引き寄せると、想定以上の負荷をかけられたフォースストリクスはオーガインへと迫りくる。
それを確認すると地面に打ち込まれたバンカーを素早く収納し引き抜くと、交差する瞬間に再びパイルバンカーを炸裂させる。

『させるか! 薙ぎ払え、石切丸!』

フォースストリクスが墜落する寸前にウインドがオーガインに飛びかかり槍を一閃、穂先とバンカーが激突し激しい金属音が響き渡る。
空中でパイルバンカーを受けたこともあり、後方へ大きく飛びずさる形で、ウインドはオーガインと距離をとる。
一度戦ったことにより、お互いの手の内を知っている二人は、一瞬で激しい攻防を繰り広げている。

「なにあの攻防、人間業じゃないんですけど」

二人の戦いを見ていた特機のメンバーは、想像を超える戦闘に気圧されているようにも見える。
無理もない、コマンダー部隊の隊長クラスと言えば、戦闘力は人外レベル。
そしてオーガインもまた、機体スペックは人間を陵駕している。

「で、実動部隊の氷室さんは、あの戦いに参加するんですか?」
「いやいやいや、さすがにアレに割って入るなんて無理ですよ」

ゆづきちゃんの言葉に、顔を引きつらせながら即答する氷室さん。
さすがに今のを見ると、生身での参戦なんてしたくないわよね。
でも前回はアレに参加してたのよ?

「オーガインが敵を引き付けている間に、我々は安全なところに避難するんだ。早くしろ!」

さっそく戦闘に怖気づいた岡田教授は狭い車内でがなり立てる。
戦闘経験の無い民間人としては逃げ出したい心理は理解できないでもないが、さすがに仲間が戦っている最中に逃げる提案は無いんでないかい?
元々岡田教授には作戦中の決定権は無いわけで、だれもその言葉には従わないんだけどね。

「このまま私たちがここに居ても戦闘の邪魔になりそうね。今のうちに倉庫に近づいて中の確認をするわ。車田さん、倉庫へ移動してくれる?」
「合点承知の助よ!」
「やめろ、これ以上敵陣に突っ込まないでくれー!」

岡田教授の叫びをスルーして、ボスの指示で指揮車両は倉庫へ向けて走り出す。
オーガインの戦闘を直接見れないのは残念ではあるが、作戦を優先すると仕方ないわね。

『仲間に見捨てられたようだな』
『違う、俺たちはチームだ。一番厄介な貴様を足止めできるならそれでいい』

スピーカーからは今も外で戦っている二人の声が聞こえる。
戦闘はオーガインに任せて、それぞれが今出来ることを全力で取り組む。
その考え自体は間違いではないが、状況を考えるとマズいわね。
外にウインドが居るということは、倉庫の中には博士とオベロンが待ち構えているということになる。
いくら内蔵武器が無いとはいえ、生身の氷室さんでオベロンを倒すのは無理があるだろう。
それをボスに伝えるべきか否か迷うが、何故そのような情報を知っているのかと疑われると言い訳のしようがない。

『足止め? 足止めされているのはお前の方だよオーガイン』
『なに?』
『今だ、ギアラプターズ・ブレイズコンドル!』

ブラックサタデーの本部と思われる倉庫の隣の棟から深紅の猛禽が屋根を突き破り飛翔してくる。
車と飛行ユニット、そのスピードの差は歴然で、瞬く間に距離を詰めてくる。

『しまった!』
『行かせるか! フォースストリクス、来い!』

通信内容から推測するに、オーガインの助けはすぐには期待できそうにないわね。
ギアラプターズ・ギアコンドル。
大鷲を象った鋼鉄の猛禽は、爆撃型飛行ユニットである。

「だから逃げろと言ったんだ!」
「うるさい! 今はそんなこと言ってる場合じゃないのよ!」

ボスの言う通り、今さら何を言ってもしょうがない。
今はこの状況をどう切り抜けるかが最優先なのよ。
そうこう言っているうちに、ブレイズコンドルは腹部を展開して爆雷の雨を降らしてくる。

「ぬぁにいいいい! ふっざけんなああああッ!」
「うわああああああッ!」
「キャアアアアアアッ!」
「死にたくないいいいいいッ!」

容赦なく降り注ぐ爆撃を回避するために、車田さんは指揮車両を右へ左へとドリフトさせながら蛇行する。
それと同時に右へ左はと重力が容赦なく私たちに襲いかかり、そのたびにシートベルトが腹部を圧迫する。
うえっぷ、作戦前に夜食で食べたカップラーメンが逆流してきそうで気持ち悪い。
駄目よ桜子、こんな密閉された空間で乙女がゲロを吐くなんて!
そんなこと死んでも出来ないわ!

「何か方法はないんですかああああ?」
「反撃するにしてもこう揺れちゃああああどうにもできないわああああ!」

なんの手立ても無いまま走行する私たちは、次第に一発、二発と直撃を受ける。
その度に激しい衝撃に見舞われるが、さすが装甲車というべきか、まだ走行していた。
こうなったら腹を括るしかないわね。

「車田さん、こうなったらああああ、相手の爆雷が尽きるまで回避し続けてくださいいいいいい!」
「あたぼうよ! みんなの命、預かったぜ!」

くそう、運転席とトレーラー部では襲い来る揺れと重力が違うのか、普通にしゃべってやがる。
でもこうなったら、私たちの運命は車田さんの運転テクニックに賭けるしかないようね。
碁盤の目のように区画分けされた倉庫街を右へ左へと疾走する。

『ふはははははっ! そんなに仲間のことが心配か?』
『黙れ、一分以内に貴様を倒す!』

倉庫街をぐるぐると走行していたら再びオーガインとウインドの戦闘圏内に入ったのか、スピーカーから彼らの声が聞こえてくる。
オーガイン・・・・・・私たちの事を心配してくれるのはいいのだけど、相手は空戦部隊隊長のコマンダー・ウインドよ。
甘く見ていてはいけないわ。

『やれ! フォースストリクス!』
『うおおおおおッ、貫け鬼衝げフゴッ・・・・・・』

オーガインの不思議な雄たけびと同時に車体が大きく揺れる。

「あの・・・・・・ボスすまねえ。オーガイン撥ねちまいました」
「えええええええええええええ!?」

咄嗟にモニターを確認すると、指揮車両に跳ねられたオーガインは錐揉み回転しながら空中に弧を描き後方へ飛んでいく。
そこへ私たちを追っていたブレイズコンドルが猛スピードで突っ込んできて・・・・・・一人と一体は示し合わせたかのように接触、縺れ合うように二転三転とバウンドを繰り返しながら地面に叩きつけられる。
地面に接触した際に火花か何かが爆雷に引火のか、着地地点からは轟音とともに火柱が盛大に巻き起こり、夜空を照らし出していた。
なにこれ? 何のコントなの?
ウインドもあまりの超展開に状況把握が付いていかないのか呆然と火柱を眺めている。

『なんじゃこりゃあ!?』

スピーカーからウインドの声が聞こえる。
うん、私たちも同じ意見だよ。


【その4へ続く】
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