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2016年09月14日20:08

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【創作】超攻鬼装オーガイン  第三話:それぞれの居場所【その3】

【創作まとめ】
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【前回】
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スタッフルームに戻ると珍しい二人がソファに座っており、エミールがその相手をしていた。

「その時、園咲博士がこう言ったんですよ。『そのモンブランは生きているんだぜ!』って」
「がっはっはっ、なんやそりゃ園咲は相変わらずやのう」
「ワタシなら、そのモンブランをバイオ増殖させて無限モンブランにしてやるデス」

いったい何の話をしているの? 意味不明すぎて逆に気になるわ。
豪快に笑っているのがコマンダー部隊の総隊長である御雷荒矢(みかづちあらや)。
シャドールに入る以前は世界各地の紛争地帯で傭兵として活躍していたと聞く。
どんな戦地にも赴く傭兵は、高額な報酬を約束される代わりに過酷な任務が多い。
簡単に言うと、正規軍では派遣しにくい囮役として捨て駒にされるわけだ。
軍にしても、囮として役立った上に戦死してくれると報酬を支払う必要が無くなり一石二鳥というわけね。
だがその分、生還した際の報酬は莫大なものとなっている。
御雷荒矢は生き地獄のような戦場を駆け巡り、幾度となく捨て駒として利用されながらも全て生還した猛者である。
実際に戦っている姿を見たこと無いが、彼が関わった作戦はどんなに困難な任務でも生還率はダントツで高いと聞く。
容姿の特徴としては、右腕に機械の義手を取り付けている。
これは戦場で右腕を失い、その時に知り合った博士に機械の義手を取り付けてもらったらしい。
もう一人の客人では第二開発室室長のミカエラ・アンダーソンである。
彼はアメリカでバイオ化学の研究を専攻していたが、周りの静止も気に留めず、幾度となく人体実験を繰り返し学会を追われた人物である。
機械科学に園咲顕将ありと言われるのと同じように、バイオ化学にミカエラ・アンダーソンありと言われている天才化学者だ。
ってシャドールの開発室室長って学会を追放された人ばっかりだな。

「お二人で来られるなんて珍しいですね」
「部屋の前でバッタリ会うてな!」

基本的に御雷さんは、任務に応じて第一開発室と第二開発室の兵器を使い分けるので、両方の室長と仲がよく、私にもよくしてくれる人だ。

「それよりも聞いたデスよ。試作機が逃げ出したッテ?」
「それなんやけどな、うちの新人の小部が出撃してコテンパンに負けて帰ってきたわ」

既にオーガイン逃走の話は組織の中でも話題になっているようね。
コマンダー・オベロンって小部さんって言うんだ。

「コマンダーが負けるってことは、そうとう強いデスか? ワタシも負けてられねーデス!」
「うーん、どないなんやろな。なんせ新人やさかい、強さを計るには微妙な感じやわ」

二人は思いおもいに感想を述べるが、さして重要に感じていないようでもある。

「おいおい、僕の最高傑作が新人ごときに倒されるわけないじゃないか。てっきり風間君あたりが出てくれると期待したんだけどね」

風間というのはコマンダー部隊に所属する空戦部隊隊長の風間敏則さんのことだろう。
噂ではギアラプターズと連携した空中戦を得意としているらしい。
パイルバンカーのオミットを解除しただけの昨日のオーガインだと、空中戦を展開されると手も足も出なかった可能性はあるわね。
それを考えると、新人の小部さんでよかったわ。

「で、わざわざ愚痴を言うためにここに来たわけじゃないんだろ?」
「ああ」
「ワタシはユーに呼ばれたから来たデスよ」

博士が本題を促すと、御雷さんは神妙な顔つきになる。

「そのオーガイン・・・・・・やったっけ? それに負けた小部がやな、シャドール抜けたいとか言い出してんねん」
「それで?」
「小部はこの施設のことも知っとるし、除隊はでけへん。かといって始末するのも後味悪いから・・・・・・園咲、お前に任せたいねん」

まぁトラウマになりそうな負け方だったもんね。
逃げるときは『覚えとけよー』とか言ってたけど、再度オーガインと戦うことを考えれば怖気づくのも仕方のないことね。
でもコマンダーを開発室に異動させても役に立たないと思うんだけどな。

「それって改造しちゃってもいいってことかい?」
「ああ」

え? 今サラッと凄い会話が聞こえたんだけど。
小部さんを改造ってことは、オーガインみたいにするってことよね?
同僚を改造素体として差し出すってどういうことなの?

「解雇したら情報を漏らす可能性もあるから消すしかあらへん。でもさすがにそれは酷な話や。改造されてでも生き残る方がええやろ」

そりゃ殺されるよりはマシかもしれないけど。

「でも脳改造で記憶消されますよ?」
「しゃーないやん、入隊する時に簡単に抜けられへんことは説明したんやで? それでも抜けたい言うんやったら、始末するか改造してやり直させるかしかないやん」

私の疑問に、さも当たり前のように答える御雷さん。
記憶を消された時点で、人生は終わってるような気もしないでもないが、組織のことを考えると野放しに出来ないこともわかる。
これも戦士としての実力、心ともに弱い小部さんが悪いのだろうか。

「じゃあ、数日中にちゃちゃっと改造するから、それまでは適当に監禁しておいてね」
「了解や」

小部さんの知らないところで、小部さんの人生が終了する打ち合わせがサラッと決まる。
酷い内容とは思うが、ここは悪の秘密組織シャドール、仕方ないのかもしれないわね。
小部さん、南無参!
納得いかない内容があったとしても、仕事として割り切るしかないのよ。私を恨まないでね。
私は気持ちを切り替えると、今後の予定に改造手術の日程を組み込んでいく。
さすがに小部さんまで私に押し付けられることはないよね?

「次はワタシを呼びつけた要件デス」

小部さんには悪いけど、研究者としてはこっちの要件の方が興味をそそられる。

「新しいAIの構想があってだね、ミカエラ君にも意見を聞きたいんだよ」

あの園咲顕将が他人に意見を求める?
こんなこと私が助手を務めてはじめてじゃないかしら。

「キミが研究のことでワタシに意見を求めるのデスか?」
「新しい高みへ上るための共同開発だよ」
「ファンタスティック!」

機械工学の天才・園咲顕将とバイオ化学の天才・ミカエラ・アンダーソンの共同開発。
博士の意図はまだ図りかねるが、一つだけ確実なことがある。
これはとんでもない開発になると。

「仕様書は後で第二開発室へ送るとしよう」
「OH、待ってるネ」

ってここで内容話さないんか!
話がひと段落したところで、新たな客が来訪する。

「園咲はいるか・・・・・・って四大長がそろってこんなところでサボりか?」
「なに言うてんねん。お前かて四大長の一人やんけ」

来訪者の名はスミス・マクガーレン、シャドールの情報管理局の局長を務めている男である。
様々な組織に諜報員を潜入させ、その情報を操る姿はオーケストラの指揮者を訪仏させコンダクターとも呼ばれている。
また彼自身の情報は全て削除されており、謎の多い人物でもある。
園咲顕将、ミカエラ・アンダーソン、御雷荒矢、スミス・マクガーレンは四大長と呼ばれるシャドールの幹部である。
シャドールは頂点に大総統が君臨し、その下に三聖者、さらにその下に四大長が存在する。
ちなみに私は大総統にも三聖者にも会ったことはない。
会ったことはないけど、そんな役職を付けるくらいだから、どうせ中二病患者なのだろう。
幹部である四大長全員が狭いスタッフルームに集結しているわけだが、一体なにが起こるのだろうか。

「どうしたんだい、スミス君」
「逃走したOnI001・・・・・・いや、オーガインが警察で確保できたぞ」

え? 石動君、何でそんなところに居るの?
頭冷やして反省したら、私の実家に帰ってくるんじゃなかったの?

「警察に潜入させている諜報員からの情報だ、間違いない」

噂には聞いていたけど、やっぱり警察にもスパイを送り込んでるのね。
でも困ったわ。このままオーガインを回収されたら、色々とマズいことになりそうね。

「仕方ないね。御雷君、回収を頼んでもいいかい?」
「そりゃ構わんけど、俺は別の用事があるさかい、風間にでも行かせるわ」

言い終わると御雷さんは立ち上がりドアへ向かう。

「そうそう、オーガインには何やべっぴんの協力者がおるらしいけど、園崎は心当たりあらへんか?」

その言葉にドキリと心臓が高鳴る。
まさかとは思うが、私を売ったりはしないよね?

「残念ながら誰だかわからないね」
「こちらもだ。少し調べてみようか?」

博士とスミスさんが答えるものの背中に嫌な汗が流れる。

「別にええわ。調べんでも回収した後、吐かせりゃええだけやしな。ほなな」

そう言い残すと御雷さんは部屋を出ていく。
マズい、オーガインが回収されると色々バレる。
そうなると彼を匿った私は組織に処分されるかもしれない。
いや、私だけじゃなく家族にも危険が及ぶ可能性が高い。
こうなったらシャドールよりも先にオーガインを回収するしかないわね。

「ではワタシたちも失礼するデス!」

ミカエラさんとスミスさんも退出していく。
時は一刻を争う。
あのコマンダー空戦部隊隊長の風間さんよりも先に警察へ行き、オーガインを回収する。
風間さんには私の顔はバレているので接触はできない。
この困難な作戦を完遂しなければ、明日は私が小部さんのように改造されるかもしれないわけだ。

「博士!」
「警察へ向かうんだね? ならこれを持っていくがいい」

何があるのかはわからないが、博士の差し出した腕時計を受け取ると私は部屋を後にする。
まったく石動君は次から次へと問題を起こしてくれるものね。
これが終わったら鎖で繋いでおこうかしら。
私は荷物をまとめ、シャドール本部を後にした。


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警察の前まで来たもののどうしたものかと思案を巡らしていた。
問題はいくつかある。
まずは堂々と警察に入って石動君の話をしたところで取り合ってもらえない可能性がある。
さらには警察に潜入しているシャドールの諜報員に気づかれる可能性が高いということだ。
特に後者は非常にマズい。
組織に石動君と私の関係がバレてしまう。
そうなっては私も家族もシャドールに消される可能性が高いのである。
だからといって放っておいても、風間さんにオーガインを回収されると、これまた私と石動君の関係がバレてしまう。

「小鳥遊桜子さんですか?」
「ふえ?」

突然呼ばれた声に振り替えると、そこには年の頃は27、8の男性がこちらを窺うように立っていた。
知らない男性だ、いったい私に何の用なのだろうか。
私が不審な顔をしていると、慌てた態度で自己紹介をはじめる。

「あ、失礼しました。私は氷室忠司(ひむろただし)、石動の同僚です。あなたのことは石動から聞いていましたので、声をかけさせていただきました」

石動君の同僚ということは警察の人間ね。
この人も特殊部隊の人間なのだろうか。
博士の忠告を思い出し、思わず身構えてしまう。
私をシャドールの人間と知って声をかけたのか、石動君の協力者として声をかけたのか、内容によって私の取るべき行動が180度変わってくる。

「石動君の同僚ってことは、同じ部隊の方ということでよろしいのかしら」

氷室の真意を確かめるべく、言葉を選びながら答える。
もし私がシャド−ル知っての行動なら、もはや石動君に構っている場合ではない。
今すぐここを離脱しなければならないもの。

「ええ、私も石動と同じ部隊の人間です。今の石動の状況を説明したいので、少しお話をしてもよろしいでしょうか」

石動君の状況ということは、彼が警察に捕まっているのと何か関係があるのだろうか。

「誰かに聴かれると危険な内容ですので、歩きながらお話ししましょう」

誰にも聴かれたくない話をする場合、雑踏に紛れて話すのが一番安全だと聞いたことがある。
移動しながらだと、たとえ尾行されていたとしても尾行者から一定の距離を取りつつ、なおかつ雑踏が会話内容をかき消してくれる。
私や彼に盗聴器が仕込まれていない限り、その会話を盗み聞くことは不可能なのだという。

「石動からはあなたが協力者で、ある程度の事情をご存知だと聞いております」
「ええ」

協力者として近づいてきたと観ていいのだろうか。
まだ結論を出すのは早い、私は慎重に話を進める。

「先日、彼がある組織に潜入していた際、何者かに拉致されたのはご存知ですよね」
「ええ」
「本来なら我々の部隊が潜入していることは誰も知りえない情報です。それでも正体を見破られ、拉致されたのは理由があると見ています」
「どういうことですか?」
「警察内部に情報をリークした裏切者がいるということです」

彼の言葉にドキリとする。
警察内部にシャドールの諜報員は存在している。
つい先ほど情報局のスミス局長から石動君の情報を聞いたところなのだから。

「用意周到に拉致した人間が無事に戻ってくる。すると裏切者は慌てて組織の人間に確認を取るでしょう」
「彼を囮にして裏切者を炙り出す作戦ですか?」
「そうです。そのために彼にはわざと警察に捕まってもらいました」

そして裏切者は読み通りスミス局長に連絡したってわけね。
ということは、石動君を回収に来るコマンダー部隊の風間さんも危険ということになる。
これは組織に連絡を入れたほうがいいのかしら。
ただその場合、実行部隊でも情報局員でもない私がどうやってこの情報を知りえたか説明しなければならなくなる。
そうなると私が石動君をサポートしていたことも知れ渡り、ただでは済まないだろう。
ここは急いで行動に移すより、もう少し様子を窺った方がよさそうね。

「ところで小鳥遊さん、あなたはどうして警察に来られたのですか?」
「それは石動君が警察に捕まっているから・・・・・・」
「おかしいですね。あなたが心配するかもしれないと、石動に言われて連絡しないようにしていたのですが」

しまった、彼の言葉に私は先ほどの発言を後悔する。
石動君本人からも警察からも連絡があったわけではない。
第三者的に見て、私が彼の情報を知りえるはずがないのだ。

「裏切者を炙り出すのは我々の任務です。決して一般市民に協力を仰いだりはしません。それなのにあなたはここに来た。おかしくないですかね」
「それは・・・・・・」

私が言いよどんでいると、畳みかけるように話してくる。
ここまで来れば、彼にとっては詰将棋を手順通りに進めるようなものだ。
最悪の場合、私がシャドールの人間であることがバレてしまうかもしれない。

「それは・・・・・・私が彼のメンテナンスを請け負っているからです」
「どういうことですか?」

咄嗟に口に出たのは石動君との関係だった。
何かいい案があって出た言葉ではないが、出てしまったものは仕方がない。
ここはこの切り口でなんとか切り抜けるしかないわ。

「昨日、石動君が私に協力を求めに来てから、すぐに事件に巻き込まれました」
「・・・・・・石動から聞いています」
「その経験から彼が何か事件に巻き込まれた時、すぐにわかるようにGPSを仕込んでおきました。」
「それで?」
「本来なら彼は警察の人間なので、警察に居ること自体はおかしくありません。しかし、そこから全く、一歩も動かず微動だにしないのはおかしい。普通なら建物内を移動するだけでもマーカーは動くのに。何か事件に巻き込まれているかもしれないと判断して駆けつけたわけです」

いかに特殊部隊の人間だとしても、オーガインのメカに関する部分までは把握していないはず。
相手にとって未知の部分を活かしてこの場を乗り切るしかないわ。

「ここに来るまで私は彼に氷室さんのような協力者がいるとは思っていませんでした。だから、もし彼に何かあったのなら、私が何とかするしかないと思って・・・・・・その一心でここに来たんです」

私はポケットからスマホを取り出し、石動君の位置情報を見せる。
スミス局長からは警察に捕まったとしか聞いていなかったので、どの警察署か確認するために彼の位置情報を確認したものである。
彼は真偽を確かめるべく、私の瞳をじっと見つめている。
それは蛇ににらまれた蛙の如く、背筋まで凍り付きそうなほど鋭く冷たい視線だった。
それでも私は動揺を見せまいと、緊張で高鳴る心臓を心でギュッと抑え込み見つめ返す。
ここで真実を見抜かれると、私の体力では特殊部隊の氷室さんから逃げ切ることは不可能であろう。
数秒のようでいて、数十分のように感じる不思議な時間が流れる。

「・・・・・・わかりました。あなたの言葉を信じましょう」
「ありがとうございます」

彼の言葉にほっと胸を撫で下ろす。
今のやり取りだけでかなり寿命が縮んだような気がするわ。

「石動からはあなたと喧嘩をしたので、絶対に来ることはないと聞いていたので少し驚き巻いたよ」
「ああ今朝のことですね。確かに喧嘩はしましたけど、何か事件に巻き込まれたのなら人の命に関わるんですから、そんな小さなことなんて気にしたりしませんよ」

私の言葉に氷室さんはハトが豆鉄砲を食らったような目をする。
私、何かおかしなことを言ったかしら。

「小鳥遊さんはその・・・・・・石動のあの・・・・・・改造された姿をご覧になられたんですよね?」
「ええ、簡単にですがメンテナンスをしましたので」
「あの姿を見て、彼を人間と?」

今度は私が目を丸くする番だ。
彼は何を言っているのだろうか。

「体は機械になっても心は石動君のままじゃないですか。いや以前の彼を知っているわけではありませんが、姿かたちが変わっても彼の本質は変わってないと思いますよ」
「それはそうですが・・・・・・あの体ですよ?」
「機械の体かどうかなんて関係ないでしょう。もし人が人であると証明するなら、それは機械の体か生身かではなく、そこに心と魂が宿っているかどうかだと私は思います。そして彼は機械の体になっても心と魂が宿っています。どんな状況に置かれても自分を見失わず貫ける。彼は間違いなく人間ですよ」

思ったことをそのまま伝えた素朴な言葉に、彼は何かを感じたようだ。

「私は今、自分を恥じています。石動のあの姿を見たとき、私は彼に恐怖を感じ、心に距離を置いて彼の本質を見ようとしなかった。同じ警察官、同じ部隊の人間でありながら」

前情報無しでオーガインの姿を見れば、多少なりとも恐怖を感じるのは仕方ないのかもしれない。
彼を普通に人間と認識できたのは、ある意味彼を改造した人間の一人であり、科学者としての視点を持っているからかもしれないわね。

「石動は本当にいい協力者に巡り合えたようですね。小鳥遊さん、先ほどは失礼しました」
「いえいえ、わかってもらえたならいいんですよ。そんな事より早く石動君を助けに行きましょうよ」

実際問題として、石動君が人間かどうかよりも、今は風間さんより先に彼を回収する方が優先なのよ。
いくらオーガインが強いといっても、空中戦を得意とする風間さんが相手だと分が悪いかもしれない。
それに私としては風間さんと鉢合わせだけは避けたいわけで。

「いえ、彼は作戦行動中ですので手出しは無用です。一般人を巻き込むわけにはいきませんし」

いやいやいや、そんなことを言われても、石動君を警察に置いておくわけにはいかないわ。
何とかして彼を回収する方法を考えなきゃいけないわね。

「おそらく警察の裏切者は石動を改造した組織の人間と接触します。小鳥遊さんをそんな危険な場に連れていくことなどできません」
「違うわ、逆に考えるのよ。組織の人間が出てくると、昨日のような機械の化け物を連れてくるはずよ。今度は昨日と違って十分な戦力を揃えて。そうなってくると、ほとんどの武装がオミットされている今の石動君では勝てないかもしれないの。だから私も連れて行って。私なら彼の100%の力を引き出せるわ!」

ふふふ、いくら特殊部隊といえど機械分野においては私に敵う筈もない。
この状況で石動君の、オーガインの力を引き出すには私を連れていくしかないのよ。
ていうか、そこしか突破口がないから、これで押し切るしかない。
我ながら頭の悪い作戦ね。

「そこまでいうのなら分かりました。ただし、私から絶対に離れないでくださいね」
「わかったわ!」

特殊部隊も案外チョロイもんね。
私は氷室さんと一緒に警察内部に乗り込むことにした。

【その4へ続く】
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