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2016年09月11日23:14

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ウルトラマンのトラウマ話。

ウルトラマン、バラバラ…うっ、頭が…!歴代ウルトラ戦士たちとキッズを苦しめた“トラウマ怪獣”ベスト10
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=132&from=diary&id=4188178


最初つぶやきだけで止しとくつもりでしたが、やっぱり書かざるを得ませんなー。
全部書くときりがないので、一つだけ。


ウルトラマン 第23話 「故郷は地球」

今回脚本を担当された佐々木守さんは、かの大島渚監督のパートナーとして「忍者武芸帳」「絞死刑」など数々の話題作を世に送り出した、当時既にシナリオ界の大御所と呼ばれた人。
実相寺昭雄さんの推薦で書く気になったとのことですが、子供番組にこのような大物ライターが関わるってのは、当時大変なインパクトがあったと思います。
上原正三さんは彼が円谷プロを訪ねてきた時のことをこう書いてます。「俺はこの世に怖いものは何もない。そんな顔である。」

彼は徹底した反権力思想の持ち主で、後の「アイアンキング」など敵は大和民族に恨みを持つ政治的集団だったなどそのこだわりは相当のもので、それはこのお話でも遺憾なく発揮されています。


敵の設定からして凄い。元人間で地球に恨みを持つ怪獣。
地球人から存在を抹消された男が復讐鬼と化し、彼らの主催する国際平和会議を妨害する。
悪いのは一体どっちだ!?
まーその一方で、全く関係の無い一般人を殺害したり村を襲ったりと、被害者が加害者に転じるというものすごい不条理もきちんと描いていて、お話の内容はすごく深いんです。

ここでジャミラに同情する立場をとるのは、怪獣の代弁者たるイデ隊員。
他のキャラが与えられた役割からはみ出さなかったのに対し、感情に走りやすい彼はしばし怪獣の立場を強調するかのような発言を行う。これは彼にしかない特色でもありました。
ジャミラの正体を秘密にしたまま葬れという非情な命令に対して「バッカヤロー!!」と叫んだり、近隣の村で破壊活動を行うジャミラに「人間らしい心はもう無くなっちまったのかよー!!!」と悲痛な呼びかけを投じたりと(この時ジャミラは一瞬、破壊活動を止めて一瞬我に帰るんですよね。なんと上手い演出なんでしょう)こんな役は彼にしか出来ません。

水のない星で育ったジャミラは火には強くても、水には弱かった。
ジャミラと対峙したウルトラマン、水を大量にかけてジャミラを下します。
この時のジャミラ、泥の中でもがき苦しむ。自分をこんなにした世界の象徴たる旗に手をかけようとする、しかしその直前で力尽きる・・・
ひたすら哀れです。ここでカメラはジャミラしか映してません。
ヘタにウルトラマン出したら、彼のイメージが落ちてしまうもんね。


ラストシーン、科学特捜隊の手によって作られた墓にはこうありました。

「人類の平和と科学の発展の為に死んだ英雄の魂、ここに眠る」

「犠牲者はいつもこうだ・・・文句ばかりは美しいけれど・・・」
イデ隊員の悲痛な呟きで物語は幕を閉じます。なんと救いのない話か。
ちなみにこの台詞、イデ隊員役の二瓶さんが自ら考えたものだそうで・・・



怪獣を一方的に悪者にしていいものか?シリーズ構成を担当した金城哲夫さんはそういう視点を持っておられたそうです。
それでこんなシナリオにもOKが出た。
そこに佐々木守さん独自の反権力思想が重なって、このようなウルトラマンでもトップクラスの名編は生まれました。
なんか印象に残るんですよね。何かを守るのに何かを犠牲にする、そこに正義とされるもののエゴが介在する・・・これは実社会でも散々経験することで、あえて子供番組でそれを書くことで佐々木さんは子ども達に伝えたかったんですね。人間とは単純な生き物ではない、自分の頭で考えることが大事なんだと。
直ぐには分からなくてもいい、大人になって思い返した時必ず納得いくんだぞと。

フジ隊員役の桜井浩子さんが一番印象に残ってる怪獣が、このジャミラなんだそうです。(因みにハヤタ役の黒部進さんはウーとピグモンだったと聞きました。)
この後佐々木さんと実相寺さんのコンビは、シーボーズという印象的な怪獣の登場する「怪獣墓場」という名編を世に送り出すことになります。



子供の頃、肩までTシャツかぶってジャミラの真似した人ようけおったやろなー。
おふざけの話で〆、申し訳ない(笑)


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