「秋は物を考えるとき」

　食欲の秋、スポーツの秋、読書の秋、そして物思いの秋ですね。旅愁とか哀愁とか秋はセンチメンタルな風情が漂い、もの悲しささえ溢れて、何年か前に会った友や親せきを懐かしく思い出したりします。でも、メールやスカイプでたちどころに呼び出されると、そんな気分も吹っ飛んで、物思いから目覚めさせられます。

　相見ての　のちの心に比べれば　むかしはものを　思はざりけり

こんな和歌を思い出しましたが、自由に人々が会えなかったり、人知れず恋したりして初めて「もの思い」にふけり、会えないからこそ相手を思う気持ちや時間がより鮮明になります。それを和歌に詠むためにより濃厚な思いが形作られていきます。

　そうです。情報化の時代にはモノを深く考えない。うわっ滑りの情報だけで判断して、パッと行動に移し、ダメもとで軽率な行為をやらかして、恥をかく。街コンで一回逢っただけで意気投合して肉体関係を結び、つまらない意見の食い違いで喧嘩してわかれる。後から後悔するより、次の出会いを求めて同じ失敗を犯す。それは我々庶民だけではありません。

　https://www.youtube.com/watch?v=9rgFK0OZjpA

　ここに中国人や韓国人が日本に旅行に来ていろんな日本人の「お・も・て・な・し」に感動したことが書かれています。他にも同じようなＹＯＵ　ＴＵＢＥの動画が枚挙にいとまがありません。でも、よく考えてみてください。この「情報」に、日本人は満足したり、喜んだり、誇らしく思ったりするだけで、これを使って何かをしてやろうと考える方は殆どいらっしゃいません。でも、此処にはわれわれ日本人と外国人の考え方の違いがハッキリ描き出されているのです。

・日本人にとっては安全であることは当たり前なのだ⇔彼らの国はいつも危険だらけだ。
・自動販売機がこじ開けられない国⇔自動販売機がいつも壊されて当たり前の国
・タダでティッシュ・ペーパーを配る国⇔モノをタダで配れば奪い合いになる国
・店頭にナイキやリーボックを陳列する国⇔陳列したら持っていかれてしまう国
・電車に並んで乗る国⇔みんなが割り込むので並んでも意味がない国
・交差点で信号を護る国⇔信号があっても誰も守らずわたってしまう国

　日本人は「自分たちが正しく守って居れば、相手も守るはず」と思うが、中国や韓国人は「そんな間抜けは放っておいて、自分たちだけ好きなようにするのが当たり前」と言う社会ですから、いくら日本から「しつこく抗議」されようが、「国際仲裁裁判所の判決」で負けようが、「赤信号でも突破したもんが勝ち」と言う社会通念の国には「ルールは相手に守らせても、自分は守らない」国であるという前提でこちらは対応を考えなければならないのであって、相手も日本と同等の国であるなんて考えていたら「正直者が馬鹿を見る」事なのだという見方をすべきなのです。

　セブンイレブンの鈴木元会長の記事を読んでいたら、「成功の秘訣」がよくわかりました。「今売れているものを並べる」のではなく、直感と客観によって、「こんなものが売れるのではないか」と言う仮説を立てて、ＰＯＳデータによって結果を検証し「発想力を強化する」。つまり「明日のお客様は何を求めているか」と言う事に自分で仮説を立てて「商品開発」し、「私はこれが欲しかったんだ」と言わせる「攻めの経営」こそが、セブンイレブンの神髄だと言います。その「仮説」と「検証」の繰り返しこそ、ips細胞でノーベル賞をもらわれた山中伸弥教授のお仕事そのものであって、見事な科学的アプローチで成功された鈴木会長にもノーベル賞をお願いしたいと思います。
中国の尖閣侵略の進め方をよく見ると見事に「仮説」と「検証」も繰り返しです。

　「相手のことを考える」と言う事がすっかり苦手になり、何でも「成功事例」のマネをして、安直に仕事をするようになって日本はダメになりました。５０年前の日本経済が夜明け前だったころは「コンサルタントの言うような完璧なデータに裏付けられた企画書」は会社のトップが目の前で投げ捨てたものです。「そこには誰が見ても当たり前のこと」しか書かれていなかったからです。そうではなくて、誰も思いつかない分野で、「エッそれは！と驚いたり感動する切り口のワクワクする企画を考えてこい」と言うのです。挙句「血のしょんべん出たか？」と追い打ちをかけられます。そんな議題ばかりが溢れると、会議に出るのが楽しくなります。

　その頃はやった言葉に「やわらか頭　してますか？」と言うのがあったことを思い出しました。