大学時代の悪友に誘われて、
難波のTOHOシネマで大竹しのぶ主演の映画を見る。
功成り名を遂げたものの連れ合いをなくした金持ちの年寄りを狙って、
後妻に入り込み、密かに殺しては全財産を奪い取る悪女の役。
大竹しのぶ(小夜子)の、
恥知らずで世の中の公序良俗をせせら笑う迫真の演技に
ひょっとして大竹しのぶの本性がそんなモンスターなのかと
一瞬疑わせるほどのはまり役。
本来なら後妻業の女たちを操って、
元締めを演ずるはずの豊川悦司が大竹しのぶの手玉に取られ、
次第に追い詰められていくストーリーはまさに抱腹絶倒。
助平なヒヒ爺で元大学教授津川雅彦、その娘小野真知子、
いつまでも大企業重役を未練がましく引きずっている伊武雅刀、
中小企業社長の六平直政など哀れで寂しい男たちは、
小夜子の毒牙に掛かって全員財産を奪われた挙句、不可解な死を遂げる。
しかし上には上がいて、
そんなアバズレたちを巨根で狂わせては貢がせる「竿師」の役どころに
「通天閣」の持ち物を誇る笑福亭鶴瓶。
いやはや、その人間模様の猥雑さ泥臭さどす黒さ罪深さを、
コテコテの大阪弁で展開する異様なまでの臨場感、
加えて悪党までをペーソスに巻き込んで笑い飛ばす
勧善懲悪をせせら笑うかの如き骨太なプロットの逞しさに
むしろ爽やかささえ覚えて時折場内爆笑、
更に焼肉屋で、衆人環視のもと大竹しのぶと小野真知子の
女同士のオドロなつかみ合いの喧嘩は手に汗握る圧巻、
是非一見の価値がある映画だと感心する。
映画を見終わり場内が明るくなって初めて気付いたが、
周囲は殆どが我々と同年代の客ばかり。
身につまされているんだろう、なるほどと納得した次第。
ログインしてコメントを確認・投稿する