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2016年08月19日00:04

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『その10文字を、僕は忘れない』

『モノノケグラデーション』でデビューした 持崎湯葉 先生が贈る新作は恋愛小説。一日に
10文字しかしゃべることのできない少女と出会った少年の粗削りで繊細な機微を描きます。
(イラスト:はねこと 先生)

http://dash.shueisha.co.jp/bookDetail/index/978-4-08-631131-1


高校二年生の春。学校へ向かう遅刻常習犯の“蒼”を襲う急な豪雨。雨宿りのため寄った
公園で偶然出会った同級生の少女“菫”。彼女が掲げてきたスケッチブックに書かれた
問いかけを契機に懸命に会話を試みる彼女とのやりとりも悪くないと思う自分がいた──。

“蒼”が通う学校の教員であり“菫”のいとこでもある“小花衣”先生から彼女の事情に
ついて聞かされた彼が自然と距離を近づけていく中、彼が抱く想いは思慕か或いは同情か
を問いかけられる場面があります。揺らぐ気持ちに読んでいる側も切なくなってきます。

やがて恋仲になる“蒼”が気づく、“菫”が抱える深い心の傷跡とそこからくる行動原理。
彼女の夢が叶う瞬間とともに訪れる別れの気配、好きなのに衝突してしまう互いの気持ち。
2人でいることの意味を問いかけ続けた結末は必見です。実に良い恋愛小説でありました。


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