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2016年07月30日22:07

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責めようとは思わない

 昔、ファミリー・レストランで食事をしていた。その途中、突然、奥のほうに団体のお客さんがおられるのに気づいて、驚いたことがある。全然存在に気づかなかったからだが、それもそのはずで、彼等、彼女等は手話で話していたのである。
 実のところ、その当時、もう30年も前のことだが、障碍者が出歩いたり、まして、団体で食事などという時代だったから、余計に印象に残ったのである。しかし、この間、芝居を見に行った際に、前のほうの席で幕間に手話で楽しそうに話している男の子達がいた。聴覚障碍者が芝居を楽しめるのかと思われるかもしれないが、読唇術で科白を読み取ることは可能なのである。
 なぜ、そのようなことを知っているかというと、知人の娘さんが聾学校に勤めたからである。そして、勤めるに当たって、聴覚障碍について何か知らんかと聞いてきたのである。もっとも、視覚障碍者の知り合いはいるが、聴覚障碍者をどう教えるのかなどは知るわけがない。それでも、その知り合いを通じて、聞いてはみた。実は、私自身、若干、難聴の傾向があるので、余計に興味深かったのである。
 その結果、聾学校では手話を教えていないと聞いて驚いた。健常者で手話を知っている人はほとんどいない。それよりも、読唇術で相手の言っていることを読み取ることを覚えたほうが、ずっと日常生活には役立つからだそうだ。
 聞くほうは分かった、では、どうやって答えるのかと聞くと、自分の声でと言われて、また、驚いた。昔、聴覚障碍者は聾唖者と呼ばれた。聾は耳が聞こえない、唖はしゃべれないである。したがって、当然、そういう人はしゃべれないのだと思っていたのである。
 しかし、音を聞いたことがないので、それを再生しようとしたことがなかっただけであって、発声能力はあるのだそうだ。したがって、口の中に手を突っ込んで、「あ」はこういう形に口を開けてと教えるのだそうだ。ただ、自分の声を聞くことはできないので、どれくらいの音量で自分がしゃべっているのか分からない。したがって、かなり不自然なものにはなるが、話すことはできるのだそうだ。
 すべては、健常者の中で生活するためである。視覚障碍者も、コンピューターを駆使してメイルを読み(機械が読み上げてくれる)、きちんと漢字かな混じり文のメイルを送る(漢字変換は音声で指定できる)。また、定規を当てて健常者と同じように文字を書く。点字だと、読み書きできる人がほとんどいないからである。
 今回、兵庫県の飲食店で、聴覚障碍者ばかり7人で予約を取ろうとしたところ、手話ができる人もいないので、遠慮してほしいといわれたという報道があった。しかし、その店を責めようとは思わない。ほとんどの人は、聴覚障碍者は意思の疎通ができないと思うからである。そして、そのような人に対して、どのように対応していいか分からないので、つい、入店拒否という安易な方法に流れてしまう。実際、今までにもそのようなことはたくさんあった。しかし、これからもそれでいいのかというと、それは違う。
 したがって、聴覚障碍者が、健常者と同じ方法で意思の疎通ができるということをもっと知ってもらうということ、それが大切である。そして、拒否されたとか、抗議したとかいう報道よりも、このことを伝えていただければと思う。
 
 障碍の碍は常用漢字ではない。したがって、害という文字を代わりに使っている。しかし、害する者というのは、どうもいただけないので、(行動を)妨げるという意味の本来の文字を使用した。もちろん、障がい者というふうに仮名を混ぜるというやり方もあるのだが、そういう書き方は好きではない。また、常用漢字は基準ではあっても、個人の共用されるものではないと思っているので、馴染みの少ない字を使用した。不思議に思われる方もおられるかと思うが、そういう理由なので、寛恕してほしい。
 
■聴覚障害者を入店拒否 兵庫・尼崎の飲食店が抗議に謝罪
(産経新聞 - 07月30日 13:42)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=3&from=diary&id=4119405
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