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2016年07月21日02:11

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『だって、ポケモンが居たから……』

すっかり日も落ちた頃。
明るい時間が長い時期だから、もう結構遅い時間だろう。

にもかかわらず、年端も行かない子供たちがちらほらと歩いているのだ。
警官などという、ともすると胡散臭がられる身ではあるが、とりあえず職務上声を掛けておかねばならないだろう。

『こんな時間に何をしているんだい?もう暗いから、家にお帰り?』

すると子供たちは私を振り仰いで言った。

『だって、夜にしか出てこないポケモンがいるから』

夜は危ないから、と説得はしたものの。一組や二組じゃないのだから始末が悪い。
声を掛ければ一応は素直に従ってくれるのはありがたい。
……本当に帰宅してくれているかどうかまでは、判らないのだけれど。



深夜に近い時間帯。住宅街を警邏していると……
ある民家の塀の内部を覗き込むような、怪しい動きをする人物を発見した。

何者かわからないので余計な刺激をしないよう、同時に十分に用心しながら声を掛けた。

『もしもし。こんな時間にこんなところで、何をしているんです?』

それは若い男性のようだった。ああ、しまった、というような素振りでこちらを向いた。

『ポケモンが居るんですけどね……。この家の中らしいんですよ。泥棒とかするつもり全然ないんで、ちょっと入らせてもらってポケモンゲットしたらすぐ出てくるつもりだったんですけど……』

当然、アウトな行為である。
それは不法侵入にあたること。100%罪になること。ポケモンのために前科がつくのは嫌だろう?と諭してみるものの。

『ほんの数分なのに…。入らせてもらう以外、何もしないのに……』と不満げだ。

入るだけで罪だと言っているんだが。しかも真夜中に見知らぬ人間が侵入してきたら、何をされても文句は言えないんだよ、と言い聞かせて帰らせる。

『社会人が仕事を終えて帰ってきたらこんな時間になるんだからしょうがないだろ……。せっかくポケモン見つけたのに……』

ぶつぶつ言いながら帰る彼を見送る。見つからなければ、確実に彼は塀を乗り越えてあの家の敷地に入っていただろう。
今このときも、別の場所で彼のような人間がうろついているのかもしれない。



署に帰ると、なにやら内部が騒がしい。
どうやら若い女性が性犯罪の被害に遭ったらしい。
明かりの乏しい山際の細い道を独りで歩いていて、茂みに引きずり込まれたようだ。

彼女は今もしゃくりあげながら状況説明をしている。

どうしてあんな場所に独りでいたのか、との問いに、さんざん泣き叫んだのだろう、掠れきった涙声が途切れ途切れに聞こえてきた。


『だって……ポケモンが……居たから……』

…………………………………………………………

この駄文が皮肉で終わることを心から祈るわ。


Pokemon GO日本公開、21日以降に延期か マック社内メール流出も一因に?
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=32&from=diary&id=4102065
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