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2016年07月20日22:41

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不朽の名作

アニメ「To Heart」は、個人的に普及の名作としている作品の一つ

……2期?そんなものは無い

ちょっと読み物感覚で長めの日記になります

内容が素晴らしい作品であると同時に、日本のアニメ史に大きな業績を残した作品でもある
単刀直入に言うと、原作が18歳未満プレイ禁止の、いわゆる「アダルトゲーム」なのだ

今ではアダルトゲームがアニメ化する事は珍しい事ではない
今もってスマホで人気の「Fate」シリーズも、今現在放送している「Rewrite」もアダルトゲームであり、昨今、ある程度の人気が出た作品であればアダルトゲームがアニメ化するのは全く珍しくない。
(「Rewrite」は元は15禁でアダルトはその後だけど、まあ細かいことはおいとこう)
女性向けのいわゆるBLゲームやネオロマンス系、乙女ゲーもアニメ化される

そういった文化の礎を作り上げたのがこの「To Heart」

何事にも最初の一歩はあるのだから、それが偶然この作品であったというだけで、そこまで騒ぎ立てるのはおかしいかもしれない
ただ、個人的には、「To Heart」でなければ、男性向けゲーム、引いては女性向けを含めて、性的な内容のゲームがアニメ化される事が一般化するのは、もっと遅れていたのではないかと思う程の理由がこの作品にはある

この作品、元はアダルトゲームだが、アニメ化の前にプレイステーションへの移植が行われている
その際、テーマソングが中司雅美の「Feeling Heart」にリニューアルされ、OP映像も新しく作られた
一枚目の画像ね

このアニメ「To Heart」は、元はアダルトゲームであり、OPソングはPS版の「Feeling Heart」を使用しつつも

ゲームのストーリーを全く踏襲せずにつくられている

というめちゃくちゃ斬新な作りになっている
簡単に言うと、ゲームの内容とアニメの内容は、設定は同じでも物語が全く別物ということ

少し古いけど、純粋な恋愛ゲームがアニメ化したものとして、個人的に記憶に新しいのが「アマガミ」というタイトル
恋愛ゲームはヒロイン全員が主人公と恋人関係になれる為、アニメ化に伴って、主人公に対し最終的に誰を恋人にするかはかなり難しい問題だが、この作品は、1人のヒロインに4話程使って、並行世界感覚で全員とくっつけるという斬新な演出だったが、それでも、そのストリーの進み方はゲームの内容に沿って作られている

前述した「Fate」シリーズのアニメも、基本的にはゲームの内容をそのまま再現している
未だ放送中で全容は分からないけど、「Rewrite」も、今の所ゲームの内容に沿っている

しかし、これらエロゲー、ギャルゲーがアニメ化する文化を作り上げた最初の第一歩は、それと真逆の事をしていた

オリジナルのゲームでは、主人公の藤田浩之、通称「浩之ちゃん」の視点でゲームが進み、幼馴染である神岸あかりの、ふとした雰囲気の変化から物語が始まり、物語の中で出会う美少女キャラ達の誰かと恋をしていく。という極々有り触れた内容
まあ、有り触れた内容ながらも、各ヒロインのシナリオはどれも固定ファンが付くほどに秀逸なものである訳ですがね

しかして、アニメの方はと言うと、物語の主観が浩之ちゃんだったり、ヒロインのあかりだったりと定まっていない
第一話はほぼあかり視点の話と言って良い
しかもその中で、アニメ一話の冒頭の方で「浩之ちゃんは私の夫」的な独白をしていて、一話にしてほぼ人間関係が出来上がっている
画像2枚目はアニメの中間くらいの話のワンシーンだが、ほぼ夫婦状態

そんな恋愛ゲーアニメあるかい?
恋愛作品って、誰と誰がくっつくのか?物語の進行に伴ってそれがどう進んでいくのかを楽しむもんだと思うの
主人公視点から「こいつはあかり、昔からの腐れ縁だ」みたいな感じに始まって他のヒロイン達も一杯登場してきて、最終的にあかりとくっつくのか、他のヒロインとくっつくのか……
が、この作品は既にその辺がバッサリ決着がついているという大胆さ
そういう意味では、これは恋愛作品とは言えんかもしれんけどね

そもそも、隠しヒロインを含め、ヒロインが10人いる作品を、1クール13話でキレイに再現しようというのがどだい無理な話
であれば、一度全部バラバラに崩して上手く構築するしかない

1話目はあかり視点で、同学年キャラ達を上手くお披露目するような感じで話が進み、2話目以降は浩之ちゃん視点になり、各ヒロインと恋をするでもなく、なんとなくお近づきになる。知らない者どうしから、ただの友達程度の関係になる物語が繰り広げられ、時々あかり視点の話が混じる

この物語の構成で、各ヒロインの扱われ方が原作通りに近いキャラがいれば、ほぼオリジナルの話が進むキャラもいる
第6話「憧れ」で出てくるヒロインは、めちゃくちゃ普通にアニメに出てくるが、実は特定の条件を満たさないと出てこない隠しキャラで、そんなキャラを中盤でサクっと出してくるのも驚くべき大胆さだと思う

各ヒロイン自体も、地味にアニメ化に伴ってキャラクターを少しいじられている
自分がこの作品で一番好きなキャラ、委員長こと保科智子は、普段は物静かなメガネの委員長なのだが、その実、中身は明るく元気な少女、しかし関西出身で、関西に戻る時の事を考えて周りとは打ち解けないようにしている
というのが、オリジナルのゲームのキャラなのだけど、アニメ版では本当に無口で物静かなキャラにされていて、とにかく必要な事以外喋らない
アニメの見どころは、そんな委員長に子供らしいところがある。と言ったオチのある話で終わる

この程度の性格改変なら可愛い物で、姫川琴音という超能力少女がいる
超能力少女や、人型アンドロイドメイドなど、恋愛ゲームやアニメにこの手のぶっとんだ設定がさらりと入っているのもこの作品のすごいとこだと思う
この姫川琴音、ゲームでの設定では手を使わずに物を動かす「念動力」なのだが、アニメでは「予知能力」となっている
超能力キャラとして、その背骨となっている超能力の中身すら、アニメ化で変えてしまっている
もうやりたい放題
この子の話、視点があかりだし、思慕を向ける相手も主人公の浩之ちゃんじゃないというね……
しかし面白い

とにかくやりたい放題やっているアニメなのだが、しかしそれでもきちんと面白いのだからスゴイ

このアニメの面白さを支えている大きな要素の一つが「千羽由利子」さんという作画監督さんによって作られる映像クオリティの高さ
この当時には珍しく、全13話の中で、作画の乱れがほとんどないという優れっぷり
別に自分は作画監督に詳しくは無く、作画監督さんで名前を知っているのはこの千羽さんのみ
それくらいこの人の作画が好き

千羽さんの関わった作品でメジャータイトルつったら、コードギアス辺りになると思うけど、あの辺は千羽さん本来のデザインとはかけ離れたものになってるから、千羽さんと言われないと分からない
この人のキャラの特徴は、丸みを持った目の輪郭を持つキャラがいることかな……
「鋼鉄天使くるみ」と「フィギュア17」の絵をぐぐって少し見てもらえれば分かると思う


全体的な設定をそのままに、ゲームの内容を一度全てバラバラにして、全体的な齟齬が無い物語へ再構築
物語を恋愛主体の物から、どちらかと言うと日常系へと変更する事で、各ヒロインの物語を簡略化
それを支えるのは千羽由利子氏の作画クオリティ

この大胆な試みが大成功し、ファンの支持を得て、「エロゲーをアニメ化しても大丈夫!」というイメージを当時のアニメ業界に植え付けた
アニメ版「To Heart」とはそういう作品である

冒頭にもあるように、これ以後、数多くのギャルゲー、エロゲーがアニメ化されるようになるが、ゲームの内容を踏襲せず、ここまでのクオリティを発揮できた作品は無いと思う
「はじまりにしてハイエンド」と、適当にカッコよく言えちゃうアニメだと思う



ここからは番外となるが、もう一つのこの作品の面白さが「神岸あかり」の存在だる

画像の3枚目は、あるヒロインに呼ばれた浩之ちゃんがヒロインの元に駆け寄り、ちょっとした相談をするというシーン
元々その場にあかりはいたのだけど、浩之ちゃんが誰かヒロインとなんとなく二人きりになる時、こういう表情をする。そしてそれが映像として映し出される

ちょっと怖い

実際、ネタであかりがヤンデレ扱いされることが多い。デレというより独占欲と狂気のといった感じ
アニメを見ていると「なんか怖っ」と思えるシーンがちょこちょこある
画像3枚目もそういうシーンと言えばそういうシーン

まあ一応本人は作中「別に浩之ちゃんの彼女じゃないけど……」と否定するシーンはある
が、アニメの流れはもう完全に夫婦かしてる感じはある

後は、今で言うベテラン声優の多さ

当然と言えば当然だけど、新人声優さんも仕事をして時が経てばベテランさんになる
そういう意味でのベテラン声優さん
と言っても、当時は今現在よりも、女性声優はきちんと顔より演技で評価される時代だったから、キャラの演技レベルは高い

メインヒロインのあかり役である川澄綾子、岩男潤子、堀江由衣、飯塚真弓等々……昨今では主役級のベテランさんばかり。もちろん一部例外もいますけどね
浩之ちゃんの親友であり、最強の幼馴染である雅史は、女性ファンの多さには定評のある保志総一郎さん
今ほど人気ではなかったにしろ、本当にすごい顔ぶれだと思う
大概昔の作品はそうなんだけどね……


男性でも女性でも、このアニメは一見の価値ある内容だと思うので、機会があれば是非見てみて欲しい
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