mixiユーザー(id:58112960)

2016年07月17日02:45

232 view

あの花は良い作品だった

あの花レビュー

アニメ「あの花」が放送されたのは2011年の春で、この時期は良作の作品が本当に多かったと思う

「あの花」「シュタゲ」は良作、「まりあホリック」は笑作と言ったところでしょうか
「花咲くいろは」も評価は高いとおもいますが、自分は最後まで見ていません

「シュタゲ」「まりあホリック」は既存の原作付きである事を考えると、そのアニメが面白かったというより、そのタイトルが面白かったという言い方をすべきですかね
「シュタゲ」なんかはゲームをそのまま映像化していますし、アニメで評価すべきところは、その物語の魅力を失わせずに表現できたところだと思います

その中で「あの花」は、オリジナル作品として良く出来ていたと思います
1クール11話のアニメで内容の薄さもなく、きちんとまとまっていて、最後まで楽しめました


幼少期に事故で無くなった少女の「めんま」
かつては活発な少年で、仲良しな少年少女達のチーム「超平和バスターズ」のリーダーというポジションだったが、めんまの死をきっかけに落ちこぼれ始めた「じんたん」
いつの頃から、じんたんには死んだはずのめんまがまるで生きているかのように動いて話すようになった
この二人を中心に繰り広げられる、壊れてしまった仲間の輪を修復する物語


宿海 仁太(やどみ じんた)| じんたん

元「超平和バスターズ」のリーダー的ポジションだったにも関わらず、めんまの死という事件をきっかけに落ちこぼれ始め、高校受験に失敗し、地元の公立校に通うも不登校になり、物語りのスタートでは奇抜なデザインのシャツを着た引き篭もりという酷い扱いの主人公
ご近所の方々の視線に怯えたり、一度登校しようとしたにも関わらずクラスメイトの馬鹿されたような言動に耐え切れず、負け惜しみのような言葉を残して逃げ出したり

無駄にプライドばかりが高いダメ人間というキャラが良く表現されていると思う
父親はじんたんが引き篭もっている事に対して寛容な事に違和感を覚えるかもしれないけど、案外引き篭もりの家ってそういうもんなんだよね……
小さい頃に母親を失ってしまい、その母親の分まできちんと面倒を見てやれなかったという引け目のような物もあったのかもしれないけど


本間 芽衣子(ほんま めいこ)| めんま

白いワンピースを着た白髪ロングの幽霊少女
じんたんが、幽霊だけど外見は成長している。ような事を言っていて、幼少期にも関わらず、その背格好は十代半ばのソレらしい
しかし、言動はほとんど亡くなった少女のままで、小学生のような言動をする

死んじゃっているのか、可哀想だなと思う反面、あまりにも普通に動き回るので時々「そういえばこいつ死んでるだっけ」と思わせられる
言動が幼稚で、稚拙な正論でじんたんを時々苛立たせるが、中身が小学生のままなんだから仕方ない


安城 鳴子(あんじょう なるこ)| あなる

元「超平和バスターズ」の一人。名前の音を少しずつとって人の排泄器官の俗称と同じあだ名で呼ばれるというとんでもねぇ女の子
今も昔もじんたんが好き
ツインテールで、おっぱいが大きく、少し軽薄な友人と一緒にいる事が多いが、実は真面目な女の子。あまり要領は良くないらしい

あだ名酷いのはともかくとして、じんたんに「ラブホ顔」扱いされ、追い討ちをかけられている不遇な女の子
こういう露骨に「幼馴染大好きオーラ」を放っているキャラは結構好きです


松雪 集(まつゆき あつむ)| ゆきあつ

元「超平和バスターズ」の一人。戦隊モノで言えば、ブルー、ないしブラック的なクールな立ち居地の男の子
じんたんが行けなかった有名私立高校に通っていて、努力家で頭が良い
めんまが大好き。めんまが事故で死んでしまった事に責任もあり、若干精神が歪んでしまっている

めんまルイージ


鶴見 知利子(つるみ ちりこ)| つるこ

元「超平和バスターズ」の一人。ゆきあつと同じ高校に通う。ゆきあつ大好き
黒髪ロングのメガネっ子と、結構な地味少女だが、ある種ゆきあつ以上の努力家

多分作品内で一番空気が読める女、物語の進展のキッカケになっている事が多い



久川 鉄道(ひさかわ てつどう)| ぽっぽ

元「超平和バスターズ」の一人。幼少期、現在、共にじんたんをリスペクトしている
めんまの死でトラウマを抱え、高校に行かず、世界を放浪して帰ってきた
めんまの霊が見えるというじんたんを否定せず共に行動してやる良い奴

じんたんのサポート要因で、つるこの次に空気が読める存在


総評

突飛な部分はあるけど、エンターテインメントとしては良く出来ていたと思う
第一話で、昔は出来る子だったじんたんが徹底的にこけおろされるのは、その後活躍していく事を考えれば、良い演出だと思う
人間は、「有能な人間」と「無能だと思っていたが実は有能な人間」と、有能具合が一緒なら一度マイナスイメージを持たれていたほうが印象が良くなるというデータがある
そういう意味では、あなるもゆきあつもつるこも良い仕事をしていた
作画も特に崩れる事無く最後まで維持されていたし、アニメーションとしても出来は良かった

明るい雰囲気の作品でありながら、人間の心には少なからず暗い部分、黒い部分、歪んだ部分があるという重い要素の妙なリアリティのある表現が上手かった
明確にそれらの演出に使われたのはゆきあつ、ぽっぽ、めんまの母イレーヌの3名
ゆきあつは、めんまが亡くなった事故の責任や、じんたんへの嫉妬でおかしな倒錯を始めてしまうし、ぽっぽは中間達の為に行動しているようなそぶりの裏に後ろめたい願いを抱いていた
人間は清濁を併せ持っている生き物だけど、どの世代にもそれを理解していない人はいる。まだそれらを理解できない十代の人がそれを知る為の良いキッカケになると思う
まあ、「ゆきあつは変態」の一言で片付けてしまう人もいるとは思う
「事実は小説より奇なり」と言うように、現実にも理解し難い珍事を巻き起こす人間はいる。そう考えれば、ゆきあつの取った行動は理解されずとも、完全に否定されるようなものでもない
イレーヌ母さんの言動も、娘を亡くした母親という観点で考えると、決しておかしなものではないし、じんたん達一行の前での態度と、帰った後の態度の豹変ぶりとか、良く出来ていた

作品への違和感を敢えて述べるとすると、めんまという存在の描写の仕方が曖昧だったと思う
じんたんにしか見えない幽霊でありながら、物理的な干渉が当然のように行われている。そこに違和感を感じた
地面に立てなかったら存在として成立しないからとか、そこまで生真面目な話ではなく、手帳や電話という無機物には普通と同じように干渉できるのに、じんたん以外の人間に関しては、何故かその干渉を感知させることができない
作中、めんまがじんたん以外の人間に抱きついたりするシーンがちょこちょこある。その度、アクションを受けたキャラは「ん?」と違和感を感じる程度の反応をする
意思疎通の為に使える手帳は、「元々めんまが愛用していた手帳」のような描写があった気がするけど、食い物は食うしゲームもする。そこまで物理的に干渉できるのに、意思疎通は手帳でしかできないとかよーわからんなと思う
まあ、もしかしたら製作側の意図として、めんまは幽霊とはまた別の何かという認識なのかもしれんね


最後に個人的な趣味として気になっている事が一つある
じんたんとあなる、ゆきあつとつるこの物語後の関係
作品そのものが恋愛というジャンルではないから、それぞれの関係に決着が付かなかったのは仕方ないっちゃ仕方ないけど、できれば誰が好きだ嫌いだーって話題は決着付けて欲しいなーって思う
OVAとかでも良いから……
じんたんは明言していないがめんまが好きで、あなるはじんたんが好き。しかし作中、あなるはじんたんを諦めるような言動をするから、この二人の関係性は、もしかしたら物語りの後もくっつかない可能性は高い気がしないでもない
難しいのはゆきあつとつるこで、つるこはゆきあつが好き。だが、ゆきあつは常軌を逸しているレベルでめんまが好きということが周知の事実。そうなった場合、仮にゆきあつからつるこに告白しても、つるこはゆきあつの本当の気持ちを知っている為、安易にOKは出せないだろう。つるこからしたら、ゆきあつは常軌を逸しためんま好きんあのだから、仮に告白してOKをもらえても本音はどうなのかわかったんもじゃない……と迂闊に返事できないと思う
その辺り、もうちょっとなんとかなるように話を作って欲しかったなぁー


いろいろ書いたけど、「あの花」はコンパクトにまとまっている上で上手く作ってあるし、当時のアニメとしては、良作の部類だと思う
2 1

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する