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2016年07月04日22:57

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英国ロイヤルバレエ ロミオとジュリエット

2016/7/3日 13:30- 愛知芸術劇場 大ホール

音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
振付:ケネス・マクミラン

指揮:クーン・ケッセルズ
演奏:大阪交響楽団

ジュリエット:サラ・ラム
ロミオ:スティーヴン・マックレー
マキューシオ:アレクサンダー・キャンベル
ティボルト:ギャリー・エイヴィス
ベンヴォーリオ:トリスタン・ダイヤ―
パリス:平野亮一

ロイヤル祭りの締め、名古屋に日帰り遠征してサラとスティーヴンのロミジュリを観てまいりました。観に行って本当によかったです!

サラもスティーヴンも、踊りが上手いのはいうまでもないのですが、演技が深い。自分の演じるロミオ・ジュリエット像がよほどしっかりしているのでしょう。だからこそ、その人物になりきって自然な演技ができるのだろうと思います。

サラのジュリエットは、ワディムとのペアでも観ています。そのときも思ったのですが、彼女のジュリエットは単に恋をして悲恋に散った少女、ではないですね。ロミオとの恋をきっかけに、自分の意志を尊重するために親や社会に強制された運命に従うだけの人生を否定し自立を目指した女性、というふうに見えました。だから、彼女の現代的なジュリエット像は私には共感しやすいのだなぁと。ただ、これ、ロイヤルの伝統的なジュリエット像かどうかは疑問だなあ。おそらく、ローレンが演じたような本当に純粋無垢で運命に呑みこまれてしまったジュリエット像の方が本来ロイヤルらしいのでは、とは思います。どちらも素敵で、どっちが良し悪しということは私は特には感じませんが。

さて、サラのジュリエット。その点ではワディムとのペアのときと共通ではあるものの、全体的な印象はかなり違う。パートナーによって結構演技って変わるものなのだな。サラとスティーヴンの間には、たくさんの作品を一緒に踊って積み重ねてきた大きな信頼感があるのでしょうね。踊りのリズムも本当にぴったりだし、演技もそう。見つめ合うシーンとか、本当に感情が行き交っているのが見えるようで鳥肌たちました。特に違いが大きかったのは寝室のパドドゥ。あそこのサラの色っぽさが倍増していて、ジュリエットが少女から大人になったという、その変化がとても大きかった。それを引き出したのはスティーヴンの真に迫った演技だと思います。

スティーヴンは大好きなダンサーの一人ですが、今回ロミオを観てこんなに演技力があったのねと驚嘆いたしました。だいぶ前に観た彼のロミオ(都さんの引退公演in東京)もとっても素敵だったのですが、そのころとは演技の深みが違う。抗いようがない不思議な力ですーっとジュリエットに惹きつけられて、そこから先は彼女以外の世界が見えなくなってしまった、まさに運命の恋にはまったロミオを、大げさでなく自然に演じていて、スティーヴンではなくロミオそのものがそこにいるという錯覚に陥りました。演技も本当に細かいんですよね・・・、ロミオが何を感じているのかが、彼を見ていると手に取るように分かる。最後の墓場のシーン、死んでしまった(と彼は思いこんでいる)ジュリエットを諦めきれずに、彼女を抱えながら踊るシーン。初めてロミオに感情移入して泣いてしまいました。ジュリエットを抱えたり引きずったりするとき、本当に本当に重そうに見える。あの生き生きとしたジュリエットが、こんなに重い物体になってしまった、そういう彼の無念が胸を刺しました。

あーやっぱりスティーヴン大好き。アルブレヒトも観るべきだったのに、超後悔です。

さて、主役二人以外で注目なのがティボルトを演じたギャリー・エイヴィス。今回も見せてくれました!彼のティボルトって乱暴者ではあるんですが、悪人ではないんですよね。マキューシオを刺してしまった後、マキューシオの血のついた剣を見てギョッとし、一瞬後悔するような表情を見せる。でも、謝ったりすることはできず、あくまで強気な態度を保つことしかできなくて、それが更なる悲劇を生んでしまう。複雑なキャラクターを好演。彼の死にざまの演技は、呻くは飛ぶわ白目をむくわ、もう最高です!

あ、オケについて。東京よりはちょっとよかったかな、と思うけど、やっぱり合格点にはまだ達しないかな、というレベルでした。日本のオケって元来は結構上手だと思うんですけど、リハーサルをあまりしていないのかな・・・。バレエファンって以外にクラシックファンも多いんですよ。バレエだからといって甘くみないで真剣にやってほしいなあ。

ともあれ、これで私のロイヤルバレエ祭りはおしまい。本当に充実した日本公演を、有難うございました。次の来日は3年後かな。また日本に来てくれるのを、楽しみにしています!
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