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2016年07月02日11:46

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アニメ『フラワーリングハート』に突如降って湧いた「性の商品化」批判

Naverのニュース記事より、
以下拙訳。
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アニメ「フラワーリングハート」の性的対象化 SNSで議論

EBSで毎週放映されるアニメ「フラワーリングハート」の性的対象化の議論がSNS上で熱い。

/ソース=ツイッターキャプチャ
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EBSで毎週月・火午後6時に放映されるアニメ「フラワーリングハート」の性的対象化に関する論議でSNSが熱い。

「フラワーリングハート」は、ポロロの制作会社であるICONIXの新作で、公式ホームページでは「それぞれの現実を克服し、様々な未来を夢見ていく普通の女の子たちの魔法のような成長の物語」とのあらすじが紹介されている。

議論の焦点は、10代の主人公たちが変身する場面である。偶然に魔法の力を得た主人公は、変身ツールを使用して変身をする。ところが、変身前は10代の少女の外見を持っていた主人公が、変身後には化粧も濃く、露出度の高い服を着た大人の姿に変わることになる。ここにおいて、「10代の少女」として出てくる主人公たちの姿が過度に「性的対象化」されているという指摘が出ている。

また、問題となる点は、アニメーションの主な視聴層が「子供」であり、放送時間も夕方の6時ということである。アニメーション制作会社側も公式ホームページに主要な視聴対象を「6〜9歳女児」と明示していた。 「女の子」をターゲットとしたこのアニメーションの人気が高いため、子供たちに間違った性的観念が植え付けられるのではないかという指摘がある。

実際のところ、女の子が大人の女性の姿に変身するアイデアのアニメ映画が韓国で興行されるのは、昨日や今日にはじまったことではない。 90年代にヒットした「セーラームーン」、「愛天使伝説ウェディングピーチ 」などのアニメでも主人公は、未成年者であるが、変身後は露出の激しい服を着て性的な側面を強調された姿で出てくる。

しかし、外国の場合は違う。あるTwitterユーザーは、「10代の女性主人公たちが登場する外国の漫画のイメージ」というツイートをアップした。露出が全くない10代の少女の姿である。


10代の少女を主人公にした外国のアニメーションシーン。大人の女性の姿ではなく、10代の姿をしている。
/ソース=ツイッターキャプチャ
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また、これらのアニメーションが人気を集めるようになると、アニメの中の「変身ツール」が商品化されて販売されることについても問題提起がなされた。

このように商品化された「変身ツール」は、大部分がピンク色になっていて、魔法の杖や化粧道具など「美容」に重点を置いている。これらのツールによって、女の子たちに「女性は無条件でかわいくなければならない」という、歪曲された認識が植えつけられるという意見が出ている。

30日午後の時点で、Twitterのリアルタイムトレンドは「フラワーリング」が3,875ツイート、「性的対象化」が6,669ツイートを記録し、Twitterユーザーの間で論争が続いている。

/チョン・スンフィ インターン記者
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拙訳終わり。
http://entertain.naver.com/read?oid=011&aid=0002849546&lfrom=twitter&__from=mixi


韓国アニメ『フラワーリングハート』は本放送終了後も、EBSで週3回も再放送されており(やりすぎw)、さらにケーブルテレビのTooniverseでも配信が始まった。国民の間で知名度が上がると共に、規制派にも目を付けられ始めたというところだろう。
「煽情的」「性の商品化」、こういう指摘は、児童保護とかフェミニズムの視点から考えて確かに一理はあると思う。私も、『フラワーリングハート』を観ていて、ディテールで気になる部分は確かにいくつかあった。一理あるだけに、話を針小棒大に広げて一般化する論法というのは実に始末が悪い。

たとえば、私の「フラワーリングハート」3話と4話のレビューをお読み頂いた方ならお気づきと思うが、Naverの記事が言う「露出が高い服」を着ているのは、脇役の大人のアイドル歌手・ライラや、そのライバルである「矢澤にこ似のアイドル歌手」などであって、主人公たちではない。

ミニオンズのキャラクターをアカウントアイコンに使っている引用元のTwitterユーザーは明らかに「米国アニメage、国産・日本アニメsage」を目的として自演炎上を狙ったツイートを上げているのだが、Naverの記者はそういった指摘も何一つ行わずに、キャプチャをそのまま引用している。

また、「外国のアニメは健全」の根拠として挙げられたTwitterキャプチャのほうも、画像の選択が余りに恣意的だ。そもそも、『セーラームーン』や『愛天使伝説ウェディングピーチ』を悪しき前例として挙げておきながら、「それに引き換え外国では・・・」という論理構成。これはどう考えても

”アニメ業界では「外国」に日本は含まれないのか?まだ「内鮮一体」なのか?”

という、ツッコミ待ちのツイートとしか思えない。

そういう所を掘り下げもせずにTwitterソースで表面だけなぞった記事を書いて、よく金もらってるなあ、と思ったら、この記者はインターンであるらしいw

この記者も、現代韓国社会においてインターンという美名の下に日々使い捨てられている新たな奴隷制の犠牲者の一人であったか・・・(^^;;;

もともと、韓国で日本の漫画・アニメ文化を積極的に取り入れはじめたのは軍事政権時代の後期からである。だから韓国の左翼の一部には、日本的な漫画・アニメ文化を暗黒時代の象徴、家父長制的・性差別的な産物として執拗に敵視する勢力も存在する。

韓国独立以来の建前は「日本文化禁止」で、軍事政権時代もこれは変わらなかった。そして、検閲制度が苛酷だったため、国産の漫画もアニメも、ほとんど育つことはなかった。しかし国民にある程度の娯楽を与えてガス抜きをしなくては、いかに軍事独裁と言えども政権の安泰を維持することはできない。そこで軍事政権時代後期では、「日本産であることを隠したまま」日本漫画や日本アニメが大量に流入させられるという現象が起こった。

民主化によって日本文化は解禁となり、漫画・アニメ規制も緩和されて、国産化の動きがやっと立ち上がりはじめた。しかし解禁と同時に、漫画・アニメ文化を軍事政権時代の犯罪と結びつけ、あるいは日帝時代と結びつけ、「性の商品化」とか「性差別助長」などの文脈から糾弾しはじめる人たちも出てきた。

韓国ではキリスト教徒が人口の約30%を占めており、YMCAやYWCAは民主化運動において大きな推進力の一つとなったが、民主化達成に前後して彼らが新たに取り組みはじめたのは、「漫画の焚書」だった。

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韓国でも5/5は「子どもの日」、そしてYWCAが漫画を焚書する日w
秦始皇帝やナチスが行ったことで知られる文化破壊の蛮行=「焚書」が、韓国では、民主化運動の熱狂と一体となって繰り広げられた。

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このような背景の下で、90年代から2000年代前半にかけてようやく芽生えはじめた漫画・アニメ国産化の動きも、そのほとんどが一旦は叩き潰されてしまったのであるが、この冬の時代を生き延びたクリエイターたちは「低年齢対象」と「日本色の払拭、デジタル化・3D化」に活路を見出した。いまや、韓国の漫画・アニメは、国から助成が出るコンテンツ輸出産業となるまでにようやく回復を見た。しかしその裏では、業界は警察がガチガチに作り上げた利権システムに一切逆らえなくなった。そういう苦い現実もある。

現在の韓国では、「児童ポルノ」と見なされるものは、二次元の漫画・アニメも含めてすべて禁止されている。そして、「児童ポルノ」以外の性表現・暴力表現なども、「18禁」か「全年齢対象」か、ゾーニングが厳しく分けられており、一般の店舗などで子どもの目につくような形で18禁作品を販売することはできない(これじたいは日本も見習う部分があると思うが・・・)。

ここで問題になるのは、「児童ポルノ漫画」「児童ポルノアニメ」かそうでないか、あるいは「18禁」かそうでないか、全て、警察とその息のかかった団体が裁量で決めており、その裁量に漫画・アニメ産業に携わる人々の生殺与奪の権が全て握られているという仕組みである。ここに巨額のカネが動く利権構造が出来上がっている。

『フラワーリングハート』は、確かに女児への玩具販売や韓国国内でのオタク文化育成を当て込んだ作品でもある。しかし同時に、子どもたちへの教育的なメッセージを多く含んでおり、自国が抱える社会問題を積極的に取り上げてきたアニメでもある。公共放送で放映される性格上、ある部分では、政府の国策に沿った問題提起の範囲にとどまっている部分もある。しかしある部分では、そうした政府広報的な枠組みを飛び越えて、自国批判・体制批判に通ずるようなところまで問題に深く切り込んでもきている。そもそも、朴槿恵を大統領とする政権下において、悪のラスボスを「世襲王朝の女帝」に設定するというところからして、実に諷刺が効いているではないか。韓国の保守勢力も、こうした『フラワーリングハート』の強いメッセージ性を恐れている。

日本は戦後、何だかんだと言っても、アメリカ型の人権規定を持った憲法の下で、表現の自由や政教分離が比較的大きく保障されてきた。文学も映画もアニメも漫画も世界水準の一角を担うレベルにまで発展したのは、まさにこの「自由」の賜物である。

韓国のカルト右翼と一部左翼は、そういう日本のような社会が気に入らないという点では利害が一致している。彼らは「表現規制推進」という一点になると、ガッチリ手を握る。どちらも全体主義なのだ。タモリがかつて「韓国軍事政権の軍人のモノマネ」としてやっていたハナモゲラ芸を、近年では「ピョンヤン放送のアナウンサーのモノマネ」としてやっていることからも端的に分かるように、両者は良く似ている部分があるのである。

翻って、今の日本の極右政権と、「7万ブロック」で知られるような一部の左翼勢力の動向を見ると、彼らもまた、「表現規制」問題をめぐっては、韓国で起きたようなこうした黒歴史を後追いしていく道を今後突き進んでいくのではないだろうか。右から首根っこを掴まれ、左からしばかれ、日本のアニメ・漫画業界は孤立無援のままで衰退の一途をたどっていくことにもなりかねない。私には、それが何よりも心配である。
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