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2016年06月27日03:25

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イギリス国民投票、「離脱決定」をどう見るか。   塩見孝也

●イギリスのEU「離脱か残留か」の国民投票は、あらかたの<残留>予測を否定し、「離脱」決定となった。
 これは、ギリシャ(やスペインやイタリアらの)EU周辺国の<離脱>とは違って、EU経済の心臓部を構成していた、ドイツ・フランスと並ぶEUの三大経済大国の一つ、イギリスの<離脱>であり、事態の影響力の程度は、比較にならないほどの甚大極まりないものである。
 離脱国・イギリスのテンヤワンヤのお先真っ暗な状態への突入と同時にこの選択の本体、EUにおいても、EU解体化という危機性、更なる不安定化の深まりが見受けられ、これまた、世界経済のお先真っ暗さの事態を促進させるものである。 
 そればかりか、アメリカを中心とする新自由主義(格差社会をもたらす)のグロバーリズム世界資本主義経済の全般的危機、破綻を一挙に促進せさて行く事態ともなっている。この影響力は、勿論中国経済、ロシア経済を除外するものでは全くない。この両経済の今後の対応は、いわゆる旧列強経済の対応とは異なった対応をするものであろうが、この二つの経済圏の体制を除外してゆくものでは全くないのである。
●これをもって、株価はイギリス・EU、押しなべて、或いは世界資本主義、或いは日本資本主義の株価は一挙に大暴落を開始した。この大暴落は、2008年リーマン世界恐慌、2015年の中国過剰生産恐慌に続く、世界経済(世界資本主義)が第三度目の大収縮・大不況を開始したことを意味する。
 リーマン恐慌は世界資本主義の過剰生産恐慌の皮切りであったが、それは、中国経済の梃子入れを持って、一時小康を得、中国経済が世界恐慌の<防波堤>の役割を果たすかに見えたが、結局、中国官僚制国家資本主義の枠組みを突き破って、世界恐慌はその防波堤足るべき中国経済に及んだ。中国経済は<防波堤>の役割を果たすことなく、昨年からの過剰生産恐慌を招来させざるを得なかった。
 こう見てくれば、今回のイギリスのEU離脱をもって世界資本主義は三度目の過剰生産恐慌の周期へと――過剰生産恐慌はリーマンショック以来、ずっと続いていたことは当然の確認事項であるが、――突入して行っていると言える。
●かかる経済情勢は、「新自由主義経済防衛」、「保護主義・ブロック化反対・防止」と言う世界資本主義経済のお定まりの掛け声を空疎化・空論化させ、世界経済は限りなく分極化し、「一帯一路経済」「(プーチン・ロシアの)ユーラシア経済圏実現」ら中国経済圏、ロシア経済圏の独自な動きに拍車を掛けざるを得ない。或いは、その両経済圏の<連携>に拍車を掛けてゆく可能性を増大させてゆくとも考えられる。
● アメリカと密接に従属帝国主義的に連携する安倍政権は、このイギリスEU離脱を契機に「アベノミックスの破綻か、正しさ・その継承か」において、その破綻は既に、決着のついた論争であるにもかかわらず―――アベノミックスが破綻していることは冷厳な事実であるーーー「戦争の出来る国家作り」、9条改「憲」・日米安保体制強化、沖縄侵略前線基地化の方向で、軍事力強化に拍車を掛けてゆくであろう。
●しかし、このような世界資本主義経済の現状を、1930年代の世界資本主義の保護主義・ブロック化趨勢と同質性の再現と見るのは、全くの早計と言って置かざるを得ない。あの時代は、未だ植民地体制が存続し、この分轄と再分轄の経済競争・覇権闘争、そこからもたらされれる超過利潤が、列強世界経済の生命力となっていた。だからこそ、列強は、植民地の分割と再分轄の帝国主義世界戦争(第二次)に死活を賭けていったのである。しかし、1974〜75年のインドシナに於けるベトナム人民・民族を中心とする独立・新民主主義の戦いは、この最後に残っていた植民地体制を消滅させ、アメリカ帝国主義を別にして、資本主義経済の在り様を、「植民地なき帝国主義」という言語矛盾も良い所の<帝国主義>に根本的に変貌させて行かざるをえざるをえなかった。
 いわゆる米中結託による整備された世界資本主義市場の下での市場競争、利潤追求戦・資本蓄積の在り様である。つまり<新自由主義の金融資本主導のグローバリズム経済>への脱皮・転換である。この構造は、今や、もろくなり、金属疲労を起こし、あちこちで諸問題をめぐり(例えばブロック化ならざるリージョナリズム、世界恐慌の勃発・持続、核拡散、地球環境問題ら)軋みを増大させつつあるにしても、この構造に替わる経済体制を資本主義は生み出しているわけではないのである。
 この世界資本主義の資本蓄積の在り様は以来半世紀近く、構造化し、維持されているのである。
 この「新自由主義のグーバリズム経済」が、金融資本の網の目で、結びつきあいつつその時期、時代ごとの変化に応じて、それは<再編成>されつつあるのである。この網の目の絡み合い、再編成を根本的に改革・革命してゆく勢力は国際プロレタリアート(世界プロレタリーアート)による世界社会主義革命以外にないのである。
●我々は、日本帝国主義の一切の朝鮮半島・東北アジア、東南アジアに於ける軍事力強化・帝国主義的拡張主義・覇権主義に<9条改憲阻止><反安保・沖縄連帯><TPP反対><労働・福祉・生活>闘争、反原発・エネルギー・環境革命を展開し、国際的には、キューバ革命やサンダース潮流と連帯し、<北南のアメリカ大陸革命の創出>を中心的旗印に掲げ、徹底的に反対する。
●と同時に、他方で、この観点から、引き続き中国覇権主義・拡張主義、朝鮮国の核を弄ぶ暴走論を批判し続けてゆかなければならない。
 マルクス主義経済学に於ける原理的・原則的資本主義批判堅持、マルクス主義共産主義論(社会主義論)、「過渡期社会論」の「過渡期世界論」への応用的適用、世界単一の無階級の人類共同体社会創出(世界同時革命)の綱領的立場、観点、方法を片時も忘れず真の反戦・平和志向、すなわち、真の国際主義、真の民主主義を追求してゆかなければならない。

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