今日はデュエルの話をアップします。
いつの間にか今年もあと半分になってしまいました。
「招かれざる決闘者」その４６
不動遊星のエンドフェイズ、愛姫のターンが始まる前に愛姫は申し訳なさそうに遊星を見つめていた。
「ごめんね、お兄さん。見えないお兄さんにこれは酷いと思うけど・・・『聖天使の再生』のもう一つの効果でこのターンに破壊されたモンスターは全部エンドフェイズに特殊召喚するよ。さあ、生き返って！ドラゴンさん達！」
聖天使の再生（エンジェリック・リカバリー） 永続罠
「聖天使の領域」発動時のみルール上このカードは他のカードの影響を受けない。�，海離�ードのコントローラーがダメージを受けた時、初期ライフに戻る。�■吋拭璽鵑烹嬰戞▲┘鵐疋侫Дぅ困鉾�動する。このターン破壊された自分のモンスターを任意の数だけ特殊召喚する。��自分フィールド上のモンスターの攻撃力ダウンは無効となり、コントロールを変更できない。
愛姫が遺体となったドラゴン達に光輝く息を静かに吹きかけるとドラゴン達は一瞬ピクリと動き、その次の瞬間大きな咆哮をあげて蘇った。これが愛姫が持つ癒しの力、死んだ生き物を生き返らせるという「生命の息吹」だ。
聖天使の再生 永続罠 墓地からモンスターを召喚
レッドアイズ・ダークネス・メタルドラゴン 攻撃力 ２８００ ★１０ 特殊召喚
青眼の白龍 攻撃力 ３０００ ★８ 特殊召喚
アレキサンドライドラゴン 攻撃力 ２０００ ★４ 特殊召喚
愛姫の場のドラゴン達が蘇ったことで遊星のデュエルディスクに３体のモンスターの反応が映る。これを見た遊星は驚愕した。
「馬鹿な！？エンドフェイズにモンスターが３体に増えた！？まさか・・・エンドフェイズに蘇るモンスターか！？」
「ううん、私の力で生き返らせてるんだ。人間のお兄さんにはやっぱり酷だよね・・・私のターン。」
遊星の問いに愛姫は答えるが愛姫の声は遊星には聞こえない。
愛姫 手札×３ ＬＰ ４０００
「今出せるモンスターはいない。でもこの３体のモンスターの攻撃が通れば終わり。行くよ！レッドアイズ・ダークネス・メタルドラゴンでジャンク・ウォリアーを攻撃！」
レッドアイズ・ダークネス・メタルドラゴンが大きく口を開け漆黒の炎をジャンク・ウォリアーに向かって吐き出す。何も見えない遊星だが、すでに相手の攻撃のタイミングを風で感じることができる。
「また風が・・・罠発動！『聖なるバリア−ミラーフォース−』！」
「ミラーフォース！？」
聖なるバリア−ミラーフォース−相手が攻撃した時、相手フィールド上の攻撃表示モンスターをすべて破壊する強力な罠だ。漆黒の炎を光の膜が跳ね返し、愛姫の場のモンスターを全滅させる。
レッドアイズ・ダークネス・メタルドラゴン 攻撃力 ２８００ 攻撃
聖なるバリア−ミラーフォース− 通常罠
レッドアイズ・ダークネス・メタルドラゴン 破壊
青眼の白龍 破壊
アレキサンドライドラゴン 破壊
愛姫のモンスターが破壊されたことでデュエルディスクの反応も消える。
「よし！愛姫のモンスターをすべて破壊したぞ！」
「あっちゃあ・・・破壊されちゃった。でも、これだとただのその場しのぎなんだよ。」
愛姫のモンスター達は愛姫の癒しの力によって何度倒されてもすぐに蘇る。破壊系の罠が仕掛けてあるかもとは思っていたが、ほとんど警戒する必要もなかった。
「私はこれでターンエンド。エンドフェイズ、破壊されたモンスターは蘇るよ。」
再び愛姫が光輝く息を吹きかけると倒れたドラゴン達が蘇る。それをデュエルディスクの反応で確認した遊星は少し頭を抱える。
「またモンスターが３体に！？やはり倒しても倒しても蘇ってくるのか・・・」
ＹＯＵＲ ＴＵＲＮ
「くっ、見えない上に何度倒しても蘇るモンスター、一体どうすれば・・・」
ただでさえ不利な状況でのデュエル、このまま行けば勝てる見込みはない。少し心が折れそうになる遊星だが、自分のデッキを見て遊星は自分を奮い起こす。
「俺は俺のデッキを信じるのみ！俺のターン！！」
遊星 ＬＰ１０００ 手札×１→２
「このカードは・・・よし、これなら行ける！」
遊星が引いたカードは１体のチューナーモンスター、レベル１の「ジェット・シンクロン」だ。これを見た遊星は頭の中に光が走り、この状況を打破するコンボを導き出した。
「俺は墓地のレベル・スティーラーの効果発動！ジャンク・ウォリアーのレベルを１下げ、レベル・スティーラーを特殊召喚する！」
ジャンク・ウォリアーから星が１つ現れて地面に落ちる。するとその地面から大きなてんとう虫が這い出てきた。
ジャンク・ウォリアー ★５→４
レベル・スティーラー 守備力 ０ ★１ 特殊召喚
「さらにチューナーモンスター『ジェット・シンクロン』を召喚！」
ジェット・シンクロン
機械族/チューナー・効果 炎属性 ★１
「ジェット・シンクロン」の(1)(2)の効果は１ターンに１度、いずれか１つしか使用できない。 (1)：このカードがＳ素材として墓地へ送られた場合に発動できる。 デッキから「ジャンク」モンスター１体を手札に加える。 (2)：このカードが墓地に存在する場合、手札を１枚墓地へ送って発動できる。 このカードを墓地から特殊召喚する。 この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に除外される。
攻撃力 ５００ 守備力 ０
遊星の場にロケットエンジンのような姿の機械が現れる。
「行くぞ！レベル１『レベル・スティーラー』にレベル１『ジェット・シンクロン』をチューニング！！」
ジェット・シンクロンが１つの星となり１本のリングを形成する。そのリングにレベル・スティーラーが吸い込まれていく。
「集いし願いが新たな速度の地平へ誘う。光差す道となれ！」
★１＋★１＝★２
「シンクロ召喚！シンクロチューナー『フォーミュラ・シンクロン』！！」
２体のモンスターが一筋の光となり、辺りが眩い光に包まれる。その光から現れたのはＦ１のような形をしたモンスターだ。遊星がライディングデュエルの際、切り札となるアクセルシンクロの鍵となるシンクロ・チューナーだ。だが、遊星はスタンディングデュエルでのアクセルシンクロはしたことがない。
「シンクロチューナー？もしかしてアクセルシンクロ？でも、それってＤホイールが無いとできないはずじゃ？あ、でも今のお兄さんなら・・・」
「フォーミュラ・シンクロンの効果でカードを１枚ドロー！！さらにシンクロ素材となった『ジェット・シンクロン』の効果でデッキから『ジャンク・シンクロン』を手札に加える！」
遊星 手札×１→３
遊星のデッキには愛姫の力を抑えるカードが眠っている。だが、そのモンスターを呼び出すためにはアクセルシンクロを成功させなければならない。スタンディングでのアクセルシンクロを試みるのは未だかつて無い。
「Ｄホイール無しで果たしてうまく行くか・・・いやここはやるしかない！」
遊星は目を閉じ意識を集中させる。ライディングデュエルの時とは違い、スピードにより得られる境地に自らの精神力だけで到達しなければならない。余計な感情をすべて消し去りすべての意識を目の前のカードに込める。無限とも思える長い時間の感覚の中で遊星はついに一筋の光を見出すことに成功する。
「はああああ・・・よし！この感覚・・・今だ！クリアマインド！！」
ライディングデュエルの時に感じた心の感覚、それを感じた遊星は閉じていた目を開いた。それと同時に遊星の中に込められていた気迫がエネルギーとなってフィールドに溢れ出す。
「す、すごい気迫・・・これならもしかして」
「行くぞ！レベル８シンクロモンスター『ジャンク・デストロイヤー』にレベル２シンクロチューナー『フォーミュラ・シンクロン』をチューニング！！」
フォーミュラ・シンクロンが２つの輝く星となり、ジャンク・デストロイヤーを包み込んでいく。
「集いし力が拳に宿り、鋼を砕く意志と化す。光差す道となれ！」
２体のモンスターは先ほどのシンクロ召喚の時よりもさらに眩い光を放ち、強力なエネルギーの波動をフィールド全体に醸し出す。超スピードで移動しているような風と光が遊星を包み込む。そして、それが最高潮に達したその時遊星は叫んだ。
「アァークセル・シンクロォーー！！」
★２＋★８＝★１０
「現れろ！『スターダスト・ウォリアー』！！」
スターダスト・ウォリアー
戦士族/アクセルシンクロ・効果 風属性 ★１０
シンクロチューナー＋チューナー以外のシンクロモンスター１体以上
(1)：相手がモンスターを特殊召喚する際に、このカードをリリースして発動できる。それを無効にし、そのモンスターを破壊する。(2)：このカードの(1)の効果を適用したターンのエンドフェイズに発動できる。その効果を発動するためにリリースしたこのカードを墓地から特殊召喚する。(3)：戦闘または相手の効果で表側表示のこのカードがフィールドから離れた場合に発動できる。 エクストラデッキからレベル８以下の「ウォリアー」シンクロモンスター１体をシンクロ召喚扱いで特殊召喚する。
攻撃力 ３０００ 守備力 ２５００
真っ暗だった空間が光に包まれ、その青く美しく光るを放つドラゴンの騎士が姿を現した。遊星のエースモンスター、スターダスト・ドラゴンが新たな進化を遂げた姿だ。
フォーミュラ・シンクロン シンクロ素材
ジャンク・デストロイヤー シンクロ素材
スターダスト・ウォリアー 攻撃力 ３０００ ★１０ アクセルシンクロ
スタンディングでのアクセルシンクロを見事に成功させた遊星を見て愛姫は驚き素直に感嘆の言葉が出ていた。
「す、すごい・・・本当に成功させちゃった。」
「ああ、自分でも驚いている。」
「え？お兄さん、私の声が聞こえるの！？」
愛姫の言葉に遊星が自然に応えていた。遊星には聖霊体である愛姫の姿は見えないしその声も聞こえないはずだった。アクセルシンクロに加えてさらに愛姫は驚いた。そんな愛姫の言葉を聞いて遊星もまた目の前に広がる風景がまったく違ったものになっていることに気が付いた。
「はっ！愛姫！？君の姿が見える！君のモンスターも！？」
目の前に佇む愛姫の姿が遊星の目には見えていた。愛姫が従える３体のモンスター達の姿も遊星には見えた。これは遊星が聖霊体を感知することができるようになったことを意味している。
「アハハ！！さすがお兄さん、クリアマインドが進化の扉だったんだよ！」
聖霊体を感知できる。愛姫の儀式の最大の目的は達成された。これで聖霊体を操るバクラとも対等に戦うことができるようになった。後はこの力を持続させるべく愛姫をデュエルで倒すだけだ。だが、それよりも遊星の目に飛び込んできた風景があまりに美しく遊星は目を奪われていた。辺りを見渡しながら遊星は言った。
「これが・・・君たちのフィールドなのか？」
「えへへ、どう？綺麗でしょう？」
優しい虹色に輝く空に色とりどりの綺麗な花々、心を落ち着かせる小川のせせらぎ。天国と言うものを具現化したらこうなるのではないかと思われる空間に遊星はいた。
「ああ、この世の物とは思えないほど幻想的で美しい世界だ。」
「それじゃ、お兄さん。やっと本当のデュエルができるんだね！」
「ああ、ここからが本番だ！」
相手の姿が見えることで遊星は安堵した。真っ暗な空間で何も見えない何も聞こえないと言うのは遊星にとっても非常に不安なものだった。だが、これで心置きなくデュエルができる。自分たちとは違う天使と言う存在がどれほどの力を持つのか。遊星は単純に楽しみだった。
「うん！でもせっかく召喚したスターダスト・ウォリアーだけど、私の青眼の白龍と互角。どうするの？」
愛姫の声に応えるように青眼の白龍が大きな咆哮をあげる。伝説のデュエリストが使っていたと言う伝説のカードを前に遊星は心躍った。
「青眼の白龍・・・まさか伝説のドラゴンを従えていたとは。確かに青眼の白龍には今は手は出せない。だが、それよりも今は厄介なレッドアイズ・ダークネス・メタルドラゴンを攻撃する！スターダスト・ウォリアー！！」
スターダスト・ウォリアーが繰り出す拳がレッドアイズ・ダークネス・メタルドラゴンを捉える。その攻撃によりレッドアイズ・ダークネス・メタルドラゴンは光の粒となって消えた。
スターダスト・ウォリアー 攻撃力 ３０００ 攻撃
レッドアイズ・ダークネス・メタルドラゴン 攻撃力 ２８００ 戦闘破壊 戦闘ダメージ２００
愛姫 ＬＰ ４０００→３８００
「えへへ・・・残念。私の力は癒しの力。どんな傷だってすぐに回復するよ！聖天使の再生！」
愛姫 ＬＰ ３８００→４０００
愛姫は自分が受けたダメージを一瞬で回復する能力を持っている。
「聖天使の再生！？そうか、それが君の力か。つまり４０００以上のダメージを与えないと俺は勝てないという事か。」
「うん！そうだよ！」
「と言うことはモンスターの再生も？」
「そうだよ。私は転生していない命に限るけど死んだ生き物を生き返らせることもできるんだ。」
「なるほど、破壊したモンスターが何度でも蘇るわけか。」
「その通りだよ。今破壊したレッドアイズ・ダークネス・メタルドラゴンもエンドフェイズに蘇ってくるよ。」
「そうか、だが俺は敢えてジャンク・ウォリアーでアレキサンドライドラゴンを攻撃する！」
ジャンク・ウォリアーの攻撃がアレキサンドライドラゴンを破壊する。だが、愛姫へのダメージはすぐに回復してしまう。
ジャンク・ウォリアー 攻撃力 ２３００
アレキサンドライドラゴン 攻撃力 ２０００ 戦闘破壊
愛姫 ＬＰ ４０００→３７００→４０００
エンドフェイズに蘇るから今の攻撃に意味は無い。そう思った愛姫は少し悲しそうな顔をして言った。
「うーん、どうせ生き返ると言ってもあんまり死なせたくはないなあ。だって無駄に痛いでしょう？」
そう言う愛姫の言葉を聞いて遊星は思った。
「君は優しいな。」
「え？そうかな？」
「死んだものを生き返らせられる力なんて持っていれば、命を軽く考えるようになりそうなものだが？」
命が簡単に生き返る。それが分かっていればちょっと殺しても大丈夫。後で生き返らせれば良いなんて考えが起こっても不思議ではない。だが、愛姫の考えはそれとは大きく違っていた。
「そんなことないよ。死んだらとっても辛いんだよ？転生しちゃえば関係ないけど生き返ったら死んだときの記憶が残っちゃうんだから。だから、そんなの無い方が良いに決まってるよ。」
愛姫が天使に進化して以降、何度か戦闘不能状態つまり死んでしまったことがある。その度に再生をしていたがその感覚は決して良いものではない。むしろとても嫌なものだ。それを知っている愛姫は他の生き物に対しても慈しみの心を持っている。そんな愛姫の話を聞いて遊星は自然にこう言った。
「そうか、さすがは癒しの天使だな。」
「あ、アハハ。私あんまり褒められたことないからちょっと嬉しいな。」
ドジな面がよく目立つ愛姫は失敗して怒られることが多々ある。そうそう褒められることが無いので遊星に褒められたことが素直にうれしかった。
「ああ、だが俺だって無駄にモンスターを攻撃したわけじゃない。カードを１枚伏せてターンエンドだ。」
「エンドフェイズ！破壊されたモンスターを特殊召喚するよ！」
愛姫が生命の息吹で倒れたモンスターを蘇らせる。だが、スターダスト・ウォリアーを出した時から遊星はこの瞬間を待っていた。
「そう、このタイミングでスターダスト・ウォリアーの効果発動！」
「え？」
「このカードをリリースし、特殊召喚を無効にする！！」
「ええ！？」
スターダスト・ウォリアーが光の柱となり特殊召喚したモンスターを連れ去っていく。これには愛姫はとても驚いた。
「で、でもスターダスト・ウォリアーはいなくなっちゃったよ！？」
「心配はない。この効果で墓地へ送られたスターダスト・ウォリアーはエンドフェイズ、つまり今フィールドに蘇る！！」
スターダスト・ウォリアーは再び遊星の場に舞い戻ってきた。愛姫のモンスター蘇生は１ターンに１度しかできないので倒れたモンスターはもう蘇らない。愛姫の蘇生戦法を完全に封じたのだった。
「あ・・・凄い。私の蘇生を無効にしちゃった。」
「さあ、来い。俺は全力で君に向かっていこう！」
「うん！私も何だかワクワクしてきたよ！！」
初めは普通の人間としか思っていなかったけどこんなに心躍る展開を見せてくれる遊星がとても輝いて見える愛姫だった。
・・・・・
今日はここまで。遊星、ついに盲目の状態から解放されました！
姿が見えるようになってようやくデュエルも本番になっていきます。
見えるようになったとはいえ愛姫はダメージを受けてもすぐに回復してしまいます。
勝つためには一気に４０００以上のダメージを与えないといけないのでかなり厳しいです。
愛姫のデッキは青眼の白龍主体のドラゴンデッキです。
あと２、３回くらいで決着する予定でいます。
ここまで読んでくれた方、ありがとうございました。
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