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2016年06月25日12:22

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責任放棄の政治家たち

 もう三週間ほど経ちますが、こんな事件がありました。

------------------【記事 引用開始】---------------------
■「介護に疲れ」首絞める=85歳死亡、容疑で81歳妻逮捕―大阪
(時事通信社 - 06月04日 18:01)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=4&from=diary&id=4027095

 4日午後0時10分ごろ、大阪市旭区高殿の集合住宅から「母親が父親の首を絞めた」と110番があった。大阪府警旭署員が駆け付けると、住人の無職大槻祐二さん(85)が倒れていた。隣室にいた妻の美知子容疑者(81)が首を絞めたと認めたため、同署は殺人未遂容疑で現行犯逮捕。祐二さんは搬送先の病院で死亡が確認された。

 美知子容疑者は「介護に疲れた」と話しているといい、同署は容疑を殺人に切り替えて調べる。

 逮捕容疑は4日午前11時40分ごろ、祐二さんの首をネクタイで締め殺害しようとした疑い。 

------------------【記事 引用終了】---------------------

 人それぞれに感想をお持ちでしょうが、このような事件はあまりにも頻発するので、私たちは不感症になっているところがあるようにも思われます。
 でも、たぶん、こういう事件は、日本の経済的中間層以下の誰にとっても他人事ではないはずです。
 独身であれば「孤独死」が待っているかもしれないし、既婚者であっても「老々介護」が待っているかも知れません。
 私たちの多くは、自分や配偶者や親が身体不自由になった時、自分は何をすればよいのか、お金は足りるのか、多かれ少なかれ不安を持っているでしょう。
 現段階で個人にできる解決方法はとても限られていて、誰もが安心して老後を迎えることができるという状況にはありません。

 でも、この国の政府は、ほそぼそながらに解を示しはするものの、不安を解消するほどには充実した対策を出してはいません。その責任を回避したいかのような厚労省の態度も散見されます。

 
 さて、つい最近、与党自民党の大物政治家、内閣のNo.2、副総理の麻生太郎氏が、高齢者の消費性向が上向かない、年寄りがカネを使わない、ということを嘆くスピーチの中で「いつまで生きているつもりだ」という発言をして、叩かれました。
 とはいえ、いったん叩かれはしたものの、その発言の全体を示す記事が出るなどして、実は世によくある毒舌ジョークに過ぎなかった、という評価に変わりました。
 その記事はこちら。

http://netgeek.biz/archives/75724 

------------------【記事 引用開始】---------------------
動画はTBS Newsiで確認できる。会場は笑い声で溢れ、高齢者に対する暴言というよりも毒舌溢れる漫談のような雰囲気。「90歳にもなっていつまで生きているつもりだ」という発言があったことは間違いないが、これはあくまで高齢者の将来に備えた貯金に対する的確なつっこみであり、決して暴言の類いではない。
これを各メディアは作為的に誤解を招くタイトルをつけ、その大きな影響力を使って麻生叩きに繋げようとしたわけだ。麻生大臣の仕事っぷりについては比較的評価が高く、このような低俗な報道で足を引っ張ろうとする行為は許されるべきではない。読者こそが抗議の声をあげるべきであろう。
------------------【記事 引用終了】---------------------

 叩いた人の中には「いやー、誤解していた」と反省する者もいました。
 私もその一人で、
「うん、これは私も勘違いしていた。毒舌トークに過ぎなかったようだ。まあ高齢者が資産を抱え込まないと不安になる原因を分かっていないんだけどね。」
というつぶやきを出しました。

 で、話が終わるはずだったのですが、その反省文にあるマイミクさんから「ただのジョークでしょ??」とコメントが付きました。
 私もこの問いかけに「そうですねぇ」と答えようとし、その続きを考え始めたのですが、どうも「そうです」と答えるには強い違和感を感じました。

 そうなんだろうか、単なる「笑い話」だったのだろうか、と私は自問し始めました。

 北欧諸国などでは老病障害で身体不自由になっても自分や家族が個人的に負担することなく介護サービスを受けられるそうです。だから貯蓄性向があまり高くないし、貯蓄が少なくても不安感は小さいとのこと。
 これに対して日本では上述のように老後に不安を持つのですが、それは政治が安心材料を提供できないでいるからです。
 その政治のほぼ中心点にいる麻生太郎氏がやる気になれば、リーダーシップを取って、政府全体で介護サービスを確実に受けられる制度を整えることができるはずです。高齢者に消費を促したいならば、彼らが安心して老後を過ごせる環境を整える責任が彼にはあるはずです。

 その当の人物が、制度の欠缺を反省することなく、「いつまで生きているつもりだ」と「毒舌トーク」を気取っているのは、いかにも無責任すぎます。

 私は当初、麻生氏が自分のそうした責任を認識していないオバカにすぎないのだろうと考えていました。
 ですが、彼の釈明に関する報道によれば、
「高齢者が安心できる環境を整えるという趣旨で申し上げた。」
というコメントを出しているそうです。
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=voice&id=4054585

 これでハッキリしました。彼は、介護問題を改善させなければならない自分の責任を認識していながら、それを棚上げにして「いつまで生きているつもりだ」という毒舌トークでごまかし、国民それぞれが「意識を変える」ことだけを迫っていたのです。

 ちなみに、彼は釈明会見で「高齢者が安心できる環境を整えるという趣旨で申し上げた」とは言うものの、元の発言は「90歳になって老後が心配とか、わけの分かんないこと言っている」でしたから、高齢者が消費できない心理を無視しており、明らかに後付の言い訳です。
 じっさい「ジョーク」なんでしょうけど、自分の義務を棚上げするための、ゴマカシ・詭弁のレトリックでしかありませんでした。

 麻生太郎氏は、そのような詭弁でもっともらしいことを言う、卑怯な政治家だ、という認識に至りました。

 こういう政治家は少なくとも与党には少なくないようです。なぜならば、冒頭に載せたような介護が原因と思われる事件が起きた時に、自らの責任を痛感し、反省するようなコメントを発表する政治家がほとんどいないからです。

 現在の政治状況は嘆かわしいばかりです。
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