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2016年06月16日09:19

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「レディーバグ・ショック」とアニメ業界の「フィリピン革命」

アニメーションの祖国・フランス。

近年、フランスのオタクたちは

「ジャパンエキスポ」

なるイベントを毎年開催するほどまでに
日本アニメ・日本漫画を支持し、
フランスのアニメ・漫画業界も、日本から
多くのノウハウを吸収してきた。

そんなフランスのアニメ会社・Zagtoonが
日本の東映アニメーションと組んで
てんとう虫をモチーフとした変身魔法少女を
主人公とする新作TVアニメ

「ミラキュラス・レディーバグ」

を制作し、世界120か国で
放映するとブチ上げたのは、
4年前の2012年のことだった。

同年発表された、
「ミラキュラス・レディーバグ」のPV。
非常に高品質なデモ映像だ。

「東映の本気」がここに見える。


https://www.youtube.com/watch?v=FlwV3scCgAM

ところがZagtoonは、
この2Dアニメ版「レディーバグ」の
制作を凍結してしまった。

その代わりに、韓国のSAMG Animationに
発注して、3Dアニメーション版の
「ミラキュラス・レディーバグ」が作られ、
昨年から韓国、フランス、
そしてディズニーチャンネルで
この3D版の放映が始まっている。


https://www.youtube.com/watch?v=FT9nvK6MxhM

日本では未放映のようだが・・・あせあせ(飛び散る汗)

2Dと3D、みなさんはどっちの
「レディーバグ」がお好みだろうか?

私は正直言うと、そもそも
この「レディーバグ」なる変身ヒロインは
斑点がキモい、という印象が
第一に来てしまうので、
キャラクターとしてはあまり
好きなほうではない。

にも関わらず、3D版は
とにかく映像が美しく、テンポも良いので
ついつい引き込まれて観てしまう。

一方、2D版は、良くも悪くも
「いつもおなじみの日本アニメ」だと感じる。

高品質ではあるが、
わざわざ国際分業コラボで作るアニメとしては
いささか新味に欠ける面があることも否めない。

東映アニメーションのブランド名は引き続き
本作の共同制作者としてクレジットされているが、
実際にいま、東映が主に担当している分野は
「キャラクター事業の展開」である。

韓国の3Dが、日本の東映アニメを蹴落とした。

この「レディーバグ・ショック」という珍事に
日本のアニオタメディアの多くは、
まるで戦時中の朝日新聞のように
いまだにダンマリを続けている。

そんな東映アニメーションが
アニメ制作の作画委託で近年、
多くを依存しているのがフィリピンであることは
昨日の日記に書いたが、
その日記で紹介した新聞記事には
このような一文もあった。

以下引用。
----------
日本では今でも紙とペンで作画するが、トゥーンシティは2012年に一連の全工程をデジタル化。アニメーターの数を3分の1の400人まで減らして「生産性を飛躍的に高めた」(デルロサリオCEO)
----------
引用終わり。

※出典:日本経済新聞 2016年6月14日朝刊
フォト


トゥーンシティは、ディズニーやユニバーサル等の
下請をやっているフィリピンの企業である。

彼らは、「人件費メリットだけがウリ」
「人海戦術だけが取り得」の下請だけで
終わるつもりは、毛頭ないのである。

「2Dアニメは労働集約型産業で、
人海戦術で作り上げるもの」という現状がある。

それは職人芸として良い面もあるのだが、
しかし、日本のアニメ業界はまだまだ、
根性論めいた固定観念の類に
少々縛られ過ぎの面はないだろうか。

かつては韓国に、そして最近はフィリピンに
「安いから」と仕事を投げているが、
韓国は、日本の下請をこなす片手間で
ディズニーに学んで3Dにも力を入れ、
3Dの分野で易々と日本を追い越した。

そして今、フィリピンのアニメ産業も
得意の英語力を活かして
ハリウッドから意欲的に仕事を受注し、
IT技術を積極的に活用して、
日本にもアメリカにも出来なかった
アニメ制作工程効率化の一大イノベーションを
巻き起こしつつあるのである。

近い将来、フィリピンまで
アニメを国産化するようになったとき、
日本にはいったい、何が残るのだろうか?

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