mixiユーザー(id:2438654)

2016年06月08日00:44

597 view

新国立劇場オペラ ローエングリン

2016/5/23月 17:00-
2016/5/29日 14:00-
2016/6/4土 14:00-

指揮: 飯守泰次郎
演出: マティアス・フォン・シュテークマン

ハインリヒ国王: アンドレアス・バウアー
ローエングリン: クラウス・フロリアン・フォークト
エルザ・フォン・ブラバント: マヌエラ・ウール
フリードリヒ・フォン・テルラムント: ユルゲン・リン
オルトルート: ペトラ・ラング
王の伝令: 萩原 潤
ブラバントの貴族: 望月哲也、秋谷直之、小森輝彦、妻屋秀和
合唱指揮: 三澤洋史
合唱: 新国立劇場合唱団
管弦楽: 東京フィルハーモニー交響楽団

二週間続いたフォークト祭り。ローエングリン+水車屋の娘まで完走したのでメインディッシュのローエングリンの感想をば。

フォークトを初めて聴いたのは2013年の春祭のマイスタージンガーでした。当時はオペラもほとんど観たことがなかったけど、その声(と姿)に感動したことを覚えてます。彼が新国で当たり役のローエングリンを歌うと聞いて、初日と中日と楽と、結局3回も通ってしまいました。

フォークトの白鳥の騎士、期待をはるかに上回る素晴らしさでした・・・!

登場のシーン、合唱が高貴な騎士の出現を予告して盛り上がるなか、羽の生えたゴンドラに乗って降りてくるローエングリン。後ろ向きで歌い出す、天から降ってくるその声の美しいこと!そして地上に降り立った、真っ白なロングコートを着たお姿の美しいこと!ワーグナーの描きたかった白鳥の騎士は、まさにこの姿なのでは・・・と真剣に思い込んでしまうほどでした。

フォークトの声、本当に独特ですね。透明感があって美しくて、ハリがあって若々しくて、彼の口元から音がビンっと真っ直ぐこちらに届いてくる。彼の声を少年合唱団のようだと揶揄する人もいると聞いていたのですが、どう見ても少年の声じゃないし!むしろ私は、意外に力強いなと思いました。あと、彼の声ってとっても温かいのがいい。甘い、というのとは違くて、そう、男の人ならではの包容力を感じさせる声なんだな。

そして本当に歌が上手いなぁとも。音程やリズムがきっちりしてて気持ちいい!もともと楽器をやってた人ならではのこだわりかしら。また、彼の口から発せられるドイツ語はとてもきれいに聞こえます。私はドイツ語はできませんが、彼の発音だと(意味はとれないながら)単語が聞き取れるのが不思議。

ドイツのもう一人のスーパースターテノール・カウフマンの声もフォークトとは違う魅力があるけど、私にとってはカウフマンは役者としての魅力が上回る感じ(で、大好き)。それに対してフォークトは本当に歌い方と声質が魅力的で、歌手らしいなと初日は思いました。

が、ですね。日を追うにつれて彼の演技も何と魅力的なことか、、、と!初日のフォークトはそれはそれは丁寧に歌っていて、結構冷静に演じる人なんだなという印象でした。それが、千秋楽は凄かった。演技もそうだし、歌にもガツンと情熱を乗せてきて、時に熱さのあまり音程が少し危ういときがあったけど、それもローエングリン自身の生の感情の発露と見まがうほど!いやー感動しましたー!

熱い演技だけじゃなくて、エルザへの愛情を示すシーンも素敵。彼、結構子だくさんなんだよなぁということを思い出させる、包容力のある父のような笑顔がたまりませんでした。ローエングリンは聖なる世界からやってきた純粋な人で、現実の人間世界の醜さに対応できなかった、という解釈をしているという趣旨をインタビューで読みましたけど、そのとおりの役作り。

大ファンの友人に付き合って(言い訳)、結局3日とも出待ちしちゃいましたけど、ファンに対して義務的にサインするだけじゃなく、ちゃんと一人一人に笑いかけて、言葉に耳を傾けて。素の彼は穏やかで誠実で温かい人なんだろうな、というのが伝わってきました。ローエングリンは、彼の性格にもルックスにも声質にもぴったり合ったまさにはまり役。この人と同時代に生きていて、ピークに近い時期に生でこの役を何度も聴けて、本当に幸せだなぁと思います。

フォークト、来年の秋にバイエルン歌劇場とペトレンコとともに新制作のタンホイザーで来日することが公式発表されました。チケット代がいったいいくらなのか恐いけど、日本に来てくれるならいかにゃーならんなー。できればその前にミュンヘンで聴きたいですけど。そして更にできれば、今年の12月にハンブルクバレエの大地の歌のプレミアで歌うフォークト様のお姿を拝みに行きたい!ノイマイヤーとフォークトが手を繋いでるカーテンコールとか、想像するだけでワクワクします♪

もっといろいろ感じたことあったような気がするけど、うまく書けないのでフォークトについてはこの辺で。以下、フォークト以外の点。

国王役のアンドレアス・バウアーがお気に入りです。とってもかっこいいお姿と渋いお声をお持ちの、若きバス。この人とってもフレンドリーでお茶目で、出待ちでお会いしたときにも、千秋楽の前に1泊2日で奥多摩にハイキングに行ってきたんだー6時間も歩いたんだよ、とか話してくれました♪そういやフォークトが楽屋でホルン吹いてる動画も撮影はこの方だった。日本には今までも時々歌いに来ていたみたい。また何かで聴きたいな。

萩原潤さん声量もあるし上手いなー。本当に安定してる。女性ソリスト2人は、私にはピンときませんでした。ぺトラ・ラングには期待していたのですが、演技は素晴らしかったけど歌い方は好きじゃなかった・・・。

新国の合唱は、いつ聴いても素晴らしいけど今回も見事でした。フォークトも感激してたみたい。オケは、私は今まで新国で聴いたワーグナー(といってもここ2年くらいですが)の中では一番よかったと思いました。まあそりゃ、ミュンヘンやミラノやドレスデンやバイロイトあたりの世界の一流歌劇場と比べたら足りない部分はあろうものですよ。ギャラも違うし元々の実力が違い過ぎです。でも特に千秋楽は管の外しも少なかったしリズムもしっかりしてたし、何より躊躇せずに堂々とワーグナーを演奏していた。東フィルさん天晴です(最近東フィルは結構ご贔屓)。

演出についてもポジティブよりネガティブな声を多くネットで見かけました。でもなあ、私は以前に観たバイエルンの引っ越し公演の演出の方が、これってどーよと思った(家を建てるやつ。ローエングリンはTシャツ+チノパンで白鳥はおまる)。ローエングリンじゃないけど、ボリショイで観たスペードの女王も合唱が精神病院の患者の設定で拘束着で不気味だったし(そのときの感想はこちら→http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1939894370&owner_id=2438654)。そういう、観てるだけで疑問が湧いて音楽を邪魔するようなものじゃないのだからまだいいじゃないね、と思ってしまいました(素人が生意気言ってすみません)。

個人的には、男性陣のロングコート姿はコスプレ効果高くて好き。あと、エルザの上に降りてくる輪っかの使い方もいい。あれ、エルザが感じている白鳥の騎士の愛情なんじゃないかな。最初は彼の愛情に全面的に守られているけど、オルトルートの諫言で彼に疑問を持つようになったから、バージンロードを歩くときに後ろについている彼の愛情に足をとられる形で転んでしまうのだよなー。


何だかうまくまとまらなかったけど、ローエングリン、最高に楽しかった!フォークトさん、日本に来てくれて本当にありがとう!そして、オペラって楽しいな。


自分のメモのために2013年春祭のマイスタージンガーの感想へのリング。(初心者ならではの間違った記述がいろいろあってお恥ずかしいですが)
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1898366756&owner_id=2438654
8 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する