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2016年06月07日00:33

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クラウス・フロリアン・フォークト 水車屋の娘

2016/6/6月 19:00- 東京文化会館 小ホール

クラウス・フロリアン・フォークト(テノール)
ヨブスト・シュナイデラート(ピアノ)

歌曲集「美しき水車屋の娘」 
作曲:フランツ・シューベルト
詩:ヴィルヘルム・ミュラー

<アンコール>
ブラームス: 49のドイツ民謡集Wo033よりNo.6「あの下の谷では」
ブラームス: 5つのリートOp.47よりNo.3「日曜日」


2016年TOKYOフォークト祭り最終日。まったく専門外のドイツリートまで聴きに行ってしまいました。(ローエングリンの感想は、まだ気持ちに整理がついてないのでのちほど。)

予習は、2013年にフォークトがやはり文化会館小ホールで歌ったときのもののテレビ放映の録画と、ネットで調べた対訳。馴染みのないドイツリート、眠くなったらどうしようという懸念は完全に杞憂に終わりました。あっという間の1時間ちょい!楽しかった〜!甘美な時間でございました。

ステージ上には、天から降りてきた英雄ローエングリンとはまた違う、熱しやすく傷つきやすい繊細な若者の姿がありました。最初は青臭い希望に満ち、美しい少女にうっとりと恋の夢を見、裏切りに怒り、最後には世界を諦める・・・。フォークト、顔も声音も実に表情豊かに演技をしていて、途中からすっかり引き込まれてしまいました。真ん中ブロックのかなり前方席でかぶりつきだっこともあり、彼の息つぎのリズムに自分の息まで思わず合わせてしまったくらい。特に私は、弱音の哀しみのこもった旋律のところが胸に響きました。2013年のときには生で聴いていないのですが、そのときよりも感情表現はかなり豊かだったのではないかな。

しかし、フォークトの歌は本当に絶品。声質が美しいのはもちろんですが、音を本当に外さずに丁寧に歌っていて、しかもドイツ語の発音がきれい。いえ、ドイツ語が分かるわけではないのですが、素人の耳にも彼の発音するドイツ語はとても美しく聴こえるのだから、きっとネイティブが聴いてもきれいなのだろうなと思います。

あまりビブラートのかかりすぎない真っ直ぐで済んだ声で、耳に直接届いてくる感じ。弱音で歌っていても不思議に会場のすみずみまで通るし、力強いところも力んでいる感じがないのに英雄的な響きがする。こんな独特の美しい声を持っている人って、本当に稀なのでは。同時代に生きていられて心から幸せと思わせてくれる方の一人ですね・・・。(私は声楽は全く専門外で、これらはすべて個人的かつ感覚的な感想です)

水車屋への熱い拍手がひとしきり終わったころ、フォークトから短い日本語でのスピーチが。「ありがとうございます。これからもう一度リピートします。ただし短いバージョンで!」(だったと思う)。手に持ったメモを読みながらのたどたどしい日本語が何とも可愛い♪ブラームスの2曲が終わった後、なかなか帰ろうとしない観客に、目元の涙をぬぐう仕草でバイバイを告げてステージを去られました(これまた可愛い)。そしてその後、お疲れにも関わらず文化会館楽屋口でサイン会。並んでたのは50人以上いたのではないかなあ。一人一人にちゃんと笑顔で応えながら丁寧にサインをする姿に、彼の人柄の良さを感じて更に好感度アップ。タンホイザーでまた日本に来てね、とお願いしたらにっこり笑って"I do!"って返してくれました。ペトレンコとの来日公演、いったいチケットおいくらなのか怖いけど、こりゃ行かないわけにはいかないなあ。

フォークトさん、日本に来てくれて本当にありがとう。あなたの美しい歌声と温かい人柄を感じられて、本当に幸せな二週間でした!タンホイザー楽しみにしています!
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