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2016年05月29日23:38

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創作ケーキはご注意を

こーら、すごいわ! 母が作ったコカ・コーラ型誕生日ケーキに絶賛の声
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=128&from=diary&id=4016353

ケーキの話が出るたび、友人のケーキの修羅場を思い出す。
聞いているほうは笑えるが、彼女としてはマジ真剣に思考を巡らした話。


『あれは、新婚当初の話・・・。
私はダンナの誕生日に甘いもの好きなダンナのためにケーキを用意した。
某有名菓子店の白い生クリームでイチゴがたくさん乗ったスタンダードなケーキだった。

「ろうそくも用意したし、これでOK!」
私はご馳走を作るため、ケーキを冷蔵庫にしまおうとした。
その時である! 「あっ!」 ツルっと手がすべり、ケーキを落としそうになってしまった!

慌てた私は、ケーキを受け止めようと必死に手を伸ばした。しかし、ケーキを受け止めそびれ、
それどころかケーキの箱をレシーブしてしまったのだった・・・。

私のレシーブが炸裂し、遠くへ飛んでいくケーキの箱・・。私はそれをスローモーションのように見ていた。
かろうじて、ひっくり返る事だけは免れたが、嫌な予感が胸をよぎった。恐る、恐る中を覗いて見ると・・・・。

まさに予感的中!中のケーキは見事ぐちゃぐちゃになっているではないか・・・。
さっきの白くてかわいらしいケーキの姿はもうどこにもない。
目の前にあるのはイチゴが埋没し、生クリームはひしゃげ、形もいびつになったケーキだ。

「あ〜あ・・・。」 ひしゃげたケーキを前に、しばし私は途方に暮れた。
寒い中、遠くのおいしいと有名な菓子店までトボトボ歩いて行ったのに・・。(ダンナは12月生まれ)
私の苦労はすべて無駄になってしまったのだ。それも自らレシーブして火に油を注いでしまったのだ・・。

自分の愚かさにほとほと嫌気がさした。しばらく考え込んでいたが、ふと私の頭に中に一人の友達がよぎった。
「そうか!確か、TH氏の妻はお菓子作りが得意だったな!彼女に聞いてみよう!なんかいい案を
教えてくれるかもしれない!」 淡い期待を胸に私はTH家のTEL番号をまわした。事情を聞いたTH妻は
電話口で笑いを必死に堪えているのがありありと伝わってきた。そして、呼吸を整えてから
「どうして、レシーブまでしちゃったのよ・・。」 とつぶやいた。「だって、やっちゃったんだもん・・。」

まるで、人が悪いかのように言い訳する私なのだった・・。TH妻はしばらく考え込んで、
「とりあえず、生クリームとイチゴをケーキ本体から外して、デコレートしなおしてみたら?」 と言った。
「そうか!その手があったか!ありがとう!やってみるよ!助かったよ!いや〜、持つべきモノは
お菓子作りが出来る友達やねぇー。」 すっかり有頂天になった私はTH妻にお礼を言ってTELをきった。

早速、ケーキの修復作戦にとりかかる。
まずは、埋没しきったイチゴをケーキから取り出し、生クリームで汚れたイチゴを流水で丁寧に洗った。
そして、ひしゃげてしまった生クリームをナイフで慎重にはがし、別に用意した。これで、準備は完了した。
後は私のセンスで見目麗しく、デコレートするだけだ。手作りケーキを作ったと思えばいい。

いびつになってしまった部分はナイフでペタペタ叩いて平らにしたので問題ないだろう。
次は、ハゲハゲになったスポンジ部分に生クリームをナイフで塗りなおす。ところが、これがなかなか
うまくいかない。ケーキ職人はいとも簡単そうに生クリームをキレイに塗りつけていくというのに・・・。

「なかなか難しいな・・。なんだか、スペインのデコボコした壁面みたいになったけど、
これはこれで味わいがあることにしよう。」 とりあえず、ケーキ本体の修復は完了した。
次はクリームのデコレートだ。お菓子作りなんて全然やらない我が家には星型の口金など存在しない。

仕方ないので、スプーンですくって丸く乗せることにした。これがまたとてつもなく難しい。
フワフワとやわらかいクリームが仇となったのだ。丸くというより・・・。
「べちょ!」 っという感じでイチゴを乗せる土台の生クリームは完成した。

「どうせ、イチゴを乗せて分からなくなるからいいや・・。」 無理やりにでも自分を納得させた。
しかし、あきらかにイチゴの数よりクリームの 「べちょ!」 の方が少ない。
さっきクリームを本体に塗りすぎてしまったのだった。

どうするか思案に暮れて、私はイチゴの数を 「べちょ!」 に合わせることにした。
休憩がてらのイチゴのおやつ。なかなか、おいしいイチゴを使ってある。さすがは有名な菓子店だ。
私は気を取り直してケーキの修復を再開し、イチゴを乗せ終えてようやくケーキの修復は完了した。

・・・。・・・。・・・。
なんだこりゃ・・!!!!(驚愕)
きっと、幼稚園の砂場にある砂で作ったケーキのほうがきっと見目麗しいだろう。
私の目の前にあるケーキは生クリームが波たって、イチゴが少し生えているだけの
白いハゲ山の様なケーキなのだった。

「こりゃ、まずい!なんとかしなきゃ・・。」 またしても私は途方に暮れた。「べちょ!」 の数に合わせて
イチゴを食べてしまった事をとても後悔した。(今更吐き出すわけにもいかないし・・。)

冷蔵庫を探してもケーキの上に乗せられるような果物は見当たらない。
「冷凍庫になんかなかったかな〜。」 半泣きになりながら、私は物色した。ごそごそ・・・・。

「あったぁ!!」 それは美しき緑色の抹茶であった。
お菓子作りに抹茶は大人の味としてよく使用される。ダンナはひとつ大人になったんだ。
これを使わずしてなんとする!私は救世主を見るような目で抹茶の缶を眺めた。

そして、抹茶をそのまま茶こしでおもむろに、ケーキの上から降りかけたのであった。
「できた!」 完璧だ。美しき抹茶色のケーキは出来上がった。

あとは、ダンナが帰宅して一緒にお祝いするだけだ。ケーキのことはさておいて、(おぃおぃ・・・。)
私はご馳走の準備にとりかかった。
「ただいま〜〜!!」 

ダンナが帰宅した。「おかえり〜、誕生日おめでとう。今日はご馳走作ってあるよ。楽しみにしててね。」
私はいそいそと仕度にとりかかった。「実はさぁ、ケーキ買ってきたっちゃけど、落としちゃってねぇ・・・。
でも、味は問題ないよ。ほら、あの有名菓子店のヤツだから。ただ、見た目がちょっとねぇ・・。ごめんね。」

「いいよ^^あそこのケーキってうまいんだろ?楽しみだなぁ。」 ダンナもニコニコしている。
料理の仕度も終わり、私はテーブルにうやうやしくケーキの箱を置いた。
「ろうそくを立てなきゃね。」 箱からケーキを取り出して私もダンナも愕然とした。
さっきまで、淡い抹茶色だったケーキは水分を吸って濃い緑色に変色している。

どこか青海苔を連想させた。
抹茶がたっぷりかかって赤い部分がまばらなイチゴがまるで紅しょうがのようだ。
体に悪そうな濃緑色のケーキを前に二人ともしばらく、無言になった。

「・・・。あのさぁ・・。これって、お好み焼きじゃないよね?!」 ダンナがぼそりと言った。
「うん・・・。確かにイチゴのケーキだった・・。」 私もつぶやいた。
「どうして、落とした位でケーキが
お好み焼きに変化するんだよっ!!
一体ケーキに何したんだよっ!(怒)」

仕方なく、私はケーキ修復作業の一部始終をダンナに話して聞かせた。
「どーして、イチゴ食っちゃうかなぁ・・。どーして、抹茶振りかけちゃうかなぁ・・。」

 ダンナはぶつくさ言いながらケーキを一口食べた。・・・。
「おい、これなんだか苦いぞ?!」
「えっ!?」 私も一口食べた。確かに苦い!
さっきまであんなに甘かったはずなのに・・。口の中には抹茶の苦味だけが残っていた・・・。

「せっかくだけど、俺これ食えないわ・・。」 ダンナはフォークを置いた。
もっともな意見だった・・・。私だって、こんな苦いケーキは生まれて初めてだ!
ダンナよ、すまなかった。これは新婚時代の甘酸っぱい思い出としてとっておこう。

これからケーキを落とした時は金輪際、いらんことはせずにそのまま出すから許してほしい・・。
後日、心配したTH妻がTELしてきて事情を話したところ、やっぱり爆笑されてしまったのだった。』


彼女の名誉のために言うが、料理はめちゃ上手い。
6歳から料理をしていたそうだ。
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