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2016年05月20日19:21

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彫師という暗黙の職業の怖さ

■タトゥー団体、2万3千筆の署名提出 「規制に無理ある」  医師法違反容疑での摘発に異議、法整備求める
(ウィズニュース - 05月20日 18:10)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=220&from=diary&id=4002431

現行の医師法では、故意に他人の身体に傷をつける行為は、医療行為になり、医師法違反になる。

僕は、鍼灸師だが、古来の鍼灸の施術に瀉血という方法がある。
これは人間の身体には、瘀血といって血の滞っている場所があると、そこに痛みが発生したり、病の原因になると言われており、鍼灸師は、その瘀血のある部分を出血させ、所謂悪い血を外に出すことで、患者の血行を良くし、痛みや病の原因を取り除く、というやり方だ。

やり方としては、瘀血のある部分に剃刀などで傷を付け、そこに吸玉を置くことで血を出すやり方が有名だ。

実は、この瀉血。
一昔前は、鍼灸師の治療として、当たり前に用いられていた。

だが、今はこの瀉血、医師法で禁止されている為、法をきちんと守る殆どの鍼灸師はやっていない。
患者に故意に傷を付け、血を外に出すという行為が外科行為に当たるからだ。

ただ、すべての鍼灸師がそうかと言われれば、もしかすると今だ伝統的な施術行為として、患者の了解を得て暗黙でやっている施術者は居るかも知れない。
それ自体、僕からすれば、とんでもない行為なのだが、問題なのは、その行為だけではないのだ。

というのも、例えば瀉血に使う吸玉だ。
これは、壷状になったガラス玉で、その周りにアルコールを塗布し、火を付け、ガラス玉の中の空気を陰圧にして、患者さんの瘀血の部分に、そのガラス玉を乗せる。
そうすれば、自然傷の付いた瘀血部分から出た、所謂悪い血が陰圧になったガラス玉の内部に溜まるという仕組みだ。

となると、どうなるだろう。
そのガラス玉には、その患者さんの血が付着するということになる。
そして、そのガラス玉を滅菌処理することなく、簡単なアルコール消毒くらいで、他の患者さんに使い回したりすれば。

忽ち、そこの施術所では、肝炎などの恐ろしい感染症を患者間に蔓延させ、引いては世間に蔓延させることになるのだ。

実はそのことが大いに問題なのだ。

だから、僕たち鍼灸師は針は使い捨て、使った医療器具はきちんと滅菌処理し、もちろん吸玉なんかの外科行為は行わない。
その遵法意識が大切だし、保健所に施術所の届けを出して、僕たちの行為に不正がないかをチェックして貰う。

これが患者さんの健康を守り、安全に施術を受けて貰うことに繋がる。

このタトゥの問題も同じだ。

客の身体に傷を付け、墨を入れる行為は、医師法では医療行為に当たる。
だから、本来はきちんと感染症の知識とその対策や設備を備えた医師でなければ、施術をするのは危険なのだ。

でも、今のままではどうだ。
彫師の行為が医療行為で医師法違反であると分かっていても、公然と彫師は存在する。
そうした人は、自分たちの行為が違法行為と分かっていて、それでも摘発されるまでは、その違法行為を続ける。

しかも、元々が違法行為だから、施術所を開設するのにも、保健所への届けはないし、保健所からのチェックもない。
それぞれの施術所での彫師が、どれ位、感染症に対する知識を持っていて、どのように針を管理しているか、感染症予防をしているか、それが全く分からない。

これは本当に恐ろしいことだ。

もっと言えば、タトゥばかりでない。
エステなんかでやっている、眉への墨入れ行為。
これだって医師ではない施術者が行えば、立派な違法行為に当たる。

こうした話題が挙がるたび、すぐにタトゥの是非の話ばかりになってしまうが、本質はそこではない。
タトゥの是非の問題ではなく、実際問題として、誰のチェックも受けない彫師という職業が、感染症の危険のある行為を暗黙の内にやってしまっている。

このことが大きな問題なんである。

だから、タトゥの是非を議論する前に、まずはきちんとした感染症の知識や解剖学の知識のある人でないとタトゥ行為ができないように、資格制にすべきで、そうでない人は今のようにタトゥをしてはいけないようにすべきなのだ。

そして、施術者に施術所の開設をきちんと保健所に届けさせ、適切な感染症予防をしているかをチェックする必要がある。

でないと、これはタトゥを入れた人に肝炎などの感染症に感染する危険が及ぶだけでなく、回り回って僕たち一般市民にも感染症の危険が及ぶことになり兼ねないのだ。




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