母の試練 その2
避難所のトイレには個室が2つあった。洋式と和式。
わたしたちはトイレから15メートルぐらい離れたところに
陣取っていた。
母は支え無しでは歩けない。その上トイレも近い。
夜中でも2時間おきぐらいにトイレに通った。
そのたびに、母は周りの人を起こすんじゃないかとビクビクしていた。
もちろん水は止まっていたので、給水塔から水を運んで置いてあった。
量には限りがある。途中から流す回数が2回に一回となった。
それでもなんとかなっていたのだが、二日目、洋式が壊れてしまった。
歩けない母には和式なんてとんでもなかった。
私も一生懸命抱えていたけど、しびれる腕では思うように支えきれない。
どうしたらいいんだああああっ!!
姉と母と私と3人で途方に暮れていた時だった。
姪っ子の家が水が復活したとの連絡が…!!
天の助けとばかりに姪っ子宅に母を連れて行った。
姪っ子のご主人も嫌な顔ひとつせず迎え入れてくれた。
たくさんの湿布薬とともに。
ありがたかった。
姪っ子の家から会社に通うのはちょっと遠かったので、
母だけを預けてまた避難所に戻った。
それから車中泊に切り替えた。
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