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2016年05月13日18:46

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癌を宣告されるということ

小倉智昭が早期の膀胱がん公表、1週間だけ番組欠席も休業報道は否定。
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=84&from=diary&id=3989984

今から10年以上前の話だ。

まだ僕が今の仕事をする前。
開業を目指して、前の職場で修業をしていた。
そんな頃の話。

職場に、同じ大学の同期の友人が居た。
そいつは要領が良いタイプではなかったが、実直で院長や先輩から言われたことは必ず守る、そして必ずその通りにやり遂げる、そんな奴だった。
そして、決して器用なタイプではなかったが、それを努力で補う、そんな真面目な奴だった。

彼の実直さは、院長に認められ、将来を期待され、可愛がられていた。

そんな彼の身に異変が起こったのは、確か、僕らが30歳になろうかという時。

或る日、オシッコに行った彼は、放尿の後に、いつもと違う残尿感を感じた。
そして、その残尿感と共にチョロチョロとピンク色の尿が出たそうだ。

その時は、毎日の仕事の疲れが溜まっているのだろうと、それくらいの気持ちだったらしい。
ピンク色の尿が血尿と分かっていても、そんなに深刻に考えなかったし、すぐに止まるだろうと、そんな風に軽く考えていたらしい。

だが、1ヶ月経っても、残尿感と共に出る血尿は止まらない。
さすがに不安に感じた彼は、院長にその事を相談した。

院長は思う事があったのだろう。
彼の話を聞いて、すぐに近くの総合病院の泌尿器科に彼を連れて行き、検査を受けさせた。

膀胱癌だった。

ただ、彼の運が良かったのは、血尿を認めて直ぐに検査を受けたお蔭で、癌の進行度がまだStage Iであったということ。

しかも元々、膀胱癌は予後の良い癌で、Stage Iならば、だいたい95%の確率で完治すると言われているし、手術も内視鏡手術で受けられ、2〜3日の入院で終わるということだった。

だが、癌であることを宣告される恐ろしさ。
それは、きっと癌になった者にしか分からないのではないか。

僕も癌に罹ったことはない。
だから、彼の恐怖の本当のところは、共感することは出来ない。

でも、彼が言うには、いくらStage Iの早期発見であろうと、95%の生存率があろうと、自分が癌になったショックは変わらない。
そして、癌イコール死を考えることは変わらない。
と言うのだ。

そして、独身で一人暮らしの彼にとっては、家に帰って、その不安や恐怖を吐露できる相手が居ない。
そんな不安を抱えて1人部屋の中に居るのが、本当に辛かったらしい。

彼は、入院する前日まで、いつも通り仕事をした。
それは彼の責任感から来るものだけではなかったのではないか。
きっと、いつも通り仕事をし、いつも通りの生活、いつも通りの日常を送ることで、病気のことや死のこと、これからの不安を打ち消そうと闘っていたのではないか。

僕はそう思うのだ。

小倉さんも、きっとあの時の彼と同じなのではないか。
努めて気丈に振る舞われてはいるが、癌と宣告されて、平静で居られる訳がない。
きっと心の中では、病気のことや手術のこと、これからの不安で頭がイッパイのはず。

それでも、いつも通り仕事をし、手術を受けてすぐに日常に戻ろうとするのは、小倉さんもきっと、そんな不安や恐怖を打ち消そうと、必死になって闘っていらっしゃるんだと思う。

そんな命を懸けて、これから癌と闘かい、手術に向かう方に向かって、嫌いだからと茶化したり、心無い言葉を吐く人が信じられない。

彼の気持ちを解れとは言わない。
だが、今、自分がもし癌と宣告されたら、と想像すれば、そんな心無い言葉は吐けないはずだ。

僕からいえるのは、膀胱癌は予後の良い癌であるということ。
再発する確率が高いので、そこだけ気をつけて定期的に検査すれば、完治する確率が高いということ。

そして、あの時の友人は、10年以上経った今も、元気にしているということ。

早く、いつも通りの日常が戻ってくることを。



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