切り開くのは誰か？

この子は、被害者から加害者になってしまった。
その原因は、言ってしまえば、全て母親のせい。
しかし、全て母親のせいと言い切ってしまうのも何だか腑に落ちないし、救いようがない。
精神的な虐待からいかにして身を守るか。
これは、子供に限ったことではないかもしれない。
周りで見ていると、夫婦にもあることかもしれない。
旦那が稼いで、奥様専業主婦。
夫婦の稼ぎは旦那が主で、奥様が例え財布を握っていたとしても、食わせてもらっているという少しの負い目があるかもしれない。そこにつけ込まれ、奥様は多少の旦那の暴言にも何とか耐える日々かもしれない。
旦那は旦那で、日々、仕事で忙しく、上司や部下や顧客に気を遣う毎日。そして、深夜帰宅の睡眠不足でイライラしている。
奥様は、１日あったあんなことやこんなことの愚痴や楽しかった話を聞いて欲しいのに、聞いてくれずイライラしている。
お互いに
「わかってくれないなぁ」
と思ってるかもしれない。
もっと、自分の立場を考えて優しくしてくれたらなぁと
感じているかもしれない。
そのうち、旦那さんのイライラが爆発し、
結果的にDV旦那と言われ、そして、恐れられ、
奥様ははじめのうちは口で応戦するもストレスで何も言えなくなり、何かに依存したり、精神に異常をきたしていく。
そんな夫婦を見てきたし、うちの両親もそんな感じだった。少しの余裕が父親にあれば、夫婦関係もそこそこ上手くいったかもしれない。しかし、父親も家族を支えるのに必死。家族を路頭に迷わせる訳にはいかない。住宅ローンだって抱えてるし、子供の養育費や教育費にもお金がかかる。
この親子でもそうだけど、それぞれが必死ではあったと思う。母親も娘も生きるのに。
ただ、この母親が娘の話に聞く耳を持つ余裕があったなら、少しは、いや、だいぶ違っていたと思う。
意見や主張や理念の押しつけは、全くの子供なら受け入れるかもしれないが、思春期に入ってくるとそう簡単には受け入れられない。
両親や兄弟が必要なのは、パワーバランスを分散させる意味もあるかもしれない。
母親はとかく視野が狭くなりがち。父親は視野が広いが、細かい所には目がいかない。兄弟姉妹がいることにより、ひとりにだけ集中砲火されず、適度に意識が分散され、子供の方が親にもう少し構って欲しいくらいの方がちょうどいいと思う。
色々な人がいて、分散されないと人間キツい。
色々な人が家庭内にいて、トントンなのだ。
概念の押しつけは、無意味。
人は感じて、生きたいようにしか生きられない。
なんとなく人が言ったりやったりしていることを自ら感じて理解して、自分が行動していく。
この娘がやってしまったことは一般的な常識から考えたら犯罪でやってはいけないことだろう。
しかし、正当防衛だとも思う。
逃げられない子供は家出して、他の大人に保護されるか、親を殺すしかないと考えるだろう。
家出しても、変な大人に囲われて、怪しい仕事に付かされて、結局苦しめられたかもしれない。
それなら、まだ親を殺して刑務所に入った方が人間的な暮らしができるかもしれない。
なんだか、悲しい事件だが、この子には、これから、感じたように誰かに話し、誰かが、心の拠り所や救いになってくれることを望む。
世の中捨てたものじゃないといつか希望を持って生きて欲しい。

殺人容疑の15歳、母から叱責
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