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2016年04月30日14:11

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「ちょうどいい」

宮藤官九郎のエッセイ「え、なんでまた?(文春文庫)に
「ちょうどいい」というエピソードがある

とある日
宮藤はファンレターを貰う

ファンレターの前半部分は
宮藤と同じ劇団の「阿部サダヲ」と「皆川猿時」を絶賛する内容で
宮藤は「えぇ?」と思う

「おれじゃなくて・・・?」と思う

読み進むうちに
ちょっと様子が変わってくる

そのファンは阿部サダヲと皆川猿時の演技をもっとよく観ようと
劇場の最前列付近に陣取った

ところが
阿部・皆川の演技は凄すぎて(濃すぎて)
至近距離で観ると疲れてしまうことに気づく

「その点」

「宮藤さんは ちょうどいいんです」

と書かれている

たしかに
宮藤にもそこらへんは心当たりがある
そんなに全身全霊をこめて演技してはいないという自覚がある

それにしたって・・・
それって「褒め言葉」?

「ちょうどいい」って



このエッセイ集は
宮藤のかんじる「見逃せない」「聞き逃せない」言葉について
軽いタッチでまとめられている

宮藤の言語感覚を知るには絶好の本である


ここ数日
宮藤が脚本を手がけたドラマを数本観ている

「池袋ウェストゲートパーク」
「マンハッタンラブストーリー」
「11人もいる」
「タイガー&ドラゴン」
「木更津キャッツアイ」
「未来講師めぐる」
「うぬぼれ刑事」

これらの作品を観ていると
宮藤の好きな言い回しや
シチュエーションが繰り返し現れてくるのが判る

それは「あまちゃん」にも共通している

シチュエーションでもっとも多いのは
常連客が集う飲食店だ

ドラマのエピソードは
そこで生まれるくだらない会話から始まったりする

宮藤がそういうところでネタを拾っているのかどうかは判らないが
「メシ屋とか居酒屋とかスナックって そういう言葉が飛び交ってるよねぇ」という印象がある

ある意味
「ちょうどよく」人間が弛みきっている場所なんだろうね
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