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2016年04月19日23:56

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Hamburg Ballet / Young choreographer Program A

2016/4/17日 14:00- Hamburg Opera Stabile

オテロ目当ての遠征のときにちょうどやっていた、ハンブルクバレエの若手振付家の公演を観てまいりました。これがなかなか面白くて!Aプロ、Bプロをマチソワしたのですが、まずはAプロから。

この公演、一年に一回で、バレエ団の若手の希望者が同じバレエ団のダンサーに作品を振付けて発表するというもの。シルヴィアとサーシャが先日のバレエフェスで踊った大石裕香さんの「ウロボロス」も、確かこの公演から生まれたものです。長さにある程度規定はあるものの、音楽やテーマ、衣装も自由に振付家が決めていいらしく、ノイマイヤー自身もメモ程度のアドバイスをする程度とのことです。今回は全部で17人のダンサーが自分の作品を発表しました。ダンサーはプリンシパルからコールドまで、さまざまな立場の人達です。

会場は、ハンブルク州立歌劇場の隣にある、同じ施設内の小さなスタジオ。客席はひな壇の上にパイプ椅子を並べたもので、確か8列しかなく定員は120人とのこと。踊るスペースもとても小さい。客席と舞台を隔てるものはなく、とても親密な空間です。

チケットは売り切れで満席。みな、バレエ団のコアなファンばかり。チケット代は25ユーロと安いのですが自由席、マチネは頑張って開演の1時間半前から並んでベスポジをゲットいたしました!

以下、それぞれの作品について、ちょこっとずつ感想を。無料のプログラムには音楽や衣装も載ってたんですがタイプするのが大変なので割愛して、振付家、タイトル、ダンサーのみ。人さまに分かるように書く能力はないのであくまで備忘録。


Lizhong Wang / FROM A "C-UTOPIA"
Dancer: Yun-Su Park, Miliana Vracaric, Alexandre Riabko, Luca Andrea Tessarini

舞踊言語は拳法っぽいニュアンスを感じる武闘系。重心低めに屈んで足を滑らせる動きが特徴的。自分のルーツを意図してのことなのか、いずれにせよノイマイヤーの言語とは少し違う。が、ダンサーはいずれもコンテ得意なメンツで彼の意図を十二分に表現していたと思う。なかなかかっこよかった。衣装は、上が中国の拳法コスチュームな体にぴたっとした黒い布で下は日本の袴かな?筋肉のしっかりついたサーシャとルカ、この衣装がとても似合う。


Florencia Chinellato / BIVIO
Dancer: Florencia Chinellato, Sasha Riva

ごくシンプルな衣装のネオクラシックなパドドゥ。フロレンシアの雰囲気にぴったりなやわらかな感じ。個性的ではないけど。


Winnie Dias / MEANT TO FLY
Dancer: Futaba Ishizaki, Xue Lin, Nicolas Glasmann, Luca Andrea Tessarini

運命に翻弄される女性が、それでも強く生きていくというようなストーリー性を感じるドラマチックな作品。主役の双葉ちゃんが、普段のステージでは見られない情熱的な女性を演じていて素敵だった。前から彼女はこういう役が似合うだろうなと思ってたけど、仲良しのWinnieは流石によく分かっている。
ノイマイヤー作品の女性は割と幸薄い定型的な感じがあるのだけど(たぶんジョンが女性を描くことにそれほど興味がないんだと思う)、女性振付家の描く女性像はリアルで共感しやすくて、ハンブルクバレエのダンサーで観るのは新鮮。


Edvin Revazov / VESNA
Dancer: Georgina Hills, Priscilla Tselikova, Leeroy Boone, Graeme Fuhrman, Alexandr Trusch, Eliot Worrell

中央アジア的な音楽を使った作品。照明は一番凝っていた。白と緑と青の3色が絡み合ったような模様が、床と壁の全面に映し出される。音楽の効果もあり、遊牧民が暮らす草原を思わせる。主役の男女2人が中央付近で踊っているが、その踊りは割とシンプル。周囲の黒いスーツを着た黒子隊が代わりに彼らの状況や感情を表現しているのだろうか。最後に黒子は黒いジャケットを脱ぎ捨てて頭の上からすっぽり白いシャツをかぶってのっぺらぼうに。主役の女性もいつのまにかのっぺらぼうになり、白いのっぺらぼうに囲まれた男性は真ん中で倒れ込む。
舞踊言語に特徴はないが、演出が面白い。コンテは振付だけではなくコンセプト=演出が重要なのだなと改めて思わされた秀作。エドウィンの意外な才能に驚いた。


Miliana Vracaric / THE EPISODES OF ABSENCE
Dancer: Silvia Azzoni, Alexandre Riabko

サーシャとシルヴィアのパドドゥ。とても完成度の高い美しくてドラマチックな作品で、ミリヤナの才能にびっくりした。パートナーの男性を失った女性の喪失感との闘いというストーリーかな。シルヴィアがとにかく絶品。ノイマイヤー作品ではあまり見られない、生身の女性の苦しみが伝わってきて共感をよぶ。シルヴィアの衣装は桜色のプリーツの入ったロングドレスで、これがとても彼女に似合っていた。サーシャは黒のスーツ(途中で脱ぐけど)。この二人の実生活でのお互いを想う気持ちが作品と重なって、何ともいえず素敵な作品だった。二人に「今度のエトガラでこれを観たい!」とおねだりしたらサーシャ「また次にね」シルヴィア「もう遅いよ〜」だって。ちぇっ。


Sasha Riva / COUNTDOWN
Dancer: Helene Bouchet, Ziyue Liu, Yun-Su Park, Aleix Martinez, Sasha Riva, Luca Andrea Tessarini

大声で威嚇するようにカウントダウンするシーンがあったので、何か人が追い詰められる様を表現しているのかなと思ったけど、完全にはつかみきれなかった。リヴァの作品はSNSなどで何度か観たことがあって、すごくよいなと思っていたのだが、この作品については、動きの個性と完成度はとても高くて面白いのだけど、コンセプトがもっと練られていると更によくなるのではと思ったりした。


Braulio Alvarez / PAIN PUSHED ME FORWARD
Dancer: Sara Coffield, Nicolas Glasmann, Matias Oberlin

ハープの生演奏のドビュッシーの「月の光」を使った作品(この曲聴くとつい、イリの作品を踊るエルヴェが浮かんでしまう)。ちょっとフォーキンの「薔薇の精」を思わせる構成。一人の少女に二人の男性が絡んでいく。一人は彼女と同じ世界に住む男性で、青い服を着ている。もう一人は赤い服で、彼女に直接手を触れることはできない。彼女が青い男性と踊り、そして去って行ってしまうと、赤の男性は落胆する。なかなか面白い構成だと思った。動きと衣装はノイマイヤー風のネオクラシック。


Marcelino Libao / BEAUTIFUL SOUL
Dancer: Mayo Arii, Silvia Azzoni, Christopher Evans, Marcelino Libao

交通事故のようなシーンから始まる。黒っぽい服を着た男女2人と白っぽい服を着た男女2人の対比が基本構造。ストーリーがあるようなのだが、つかみきれなかった。シルヴィア、ミリヤナの作品ではネオクラシックな動きでしっとりした大人の女性だったのに、こちらではザ・コンテンポラリーの動きと演技。この人の振り幅は本当に広い。
普段は舞台上でクールに見える有井さんが情熱的な女性を演じてるのが新鮮。大人っぽくて素敵だった。この方はこういうのが本当は似合うのかも。


Aプログラム、全8作品、休憩20分を入れて2時間ちょっとでした。Bプログラムは、また追って。
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