日本のニュースバリュー

この地震には本当に驚いた。これは大変だと思った。しかしそれ以上に驚いたのが、この地震についてのこちらのメディアの関心の薄さである。

まず、１４日の「第一震」。ネットで知ってこれは大変だとすぐＴＶをつけたが、どこを探してもテロップにさえ出てこない。普通ドイツでも世界のどこかで自然災害があると少なくとも画面に速報テキストが出るのだ。テキサスのトルネードとか数時間後には画面つきでニュースになる。中国南部の地震についても報道は早くて絵も出る。それが今回は全く出てこない。そのかわり「日本のニュース」としてチンパンジーが脱走したシーンが真っ先に放映された。

次の日１５日。　我が家の購読紙は例のパナマ文書をスッパ抜いた「南ドイツ新聞」、Süddeutsche Zeitungだが、相変わらずどこを探しても「日本で地震発生」のニュースはない。ただ、さすがに晩のＴＶニュースでは報道したが、最後の最後、天気予報の直前の僅か数秒であった。

今日。１６日。やっと「南ドイツ新聞」の三面記事の隅に日本の地震が載った。でも写真なしのテキストだけ、それも数行である。しかも南ドイツ新聞が自分で取材したものでなく、ＡＰかなんかの記事のコピペというやる気のなさ。

基本的にはドイツは欧州ではまだ親日の方なのである。その報道がここまで薄いという事は（中国についての報道と比べても雲泥の差がある。とにかく薄い）、日本のニュースバリューが海外では、少なくとも欧州ではものすごく低下しているということではないか。

そういえば大学などでも日本語学科はドンドン廃止・縮小されて中国語オンリー、あるいは日本語「なんて」中国語学科の下組織に再編背されるところが続出している。

いわゆる愛国者の人々が憂国を叫ぶのもいい、他のアジアの国に比べて日本は素晴らしいと主張する、それ自体には私はもちろん反対しない。薄汚いヘイトさえしなければ。だがそうやって日本の素晴らしさ、大国ぶりを「国内で」唱えている間にも日本の国際地位は確実に低下している。私には地震そのものと同じくらいこれが胸にこたえた。

追伸；
こういう内容のことを書くと必ずと言っていいほど、「嬉しそうにこんな事書きやがって。お前本当に日本人か？」とコメントして来る人がいるのですが、第一に私は全然嬉しいと思っていないし、第二に私がこういう事を書く書かないに関係なく、日本語学部が縮小されていっているのは事実なのですから、私のところに苦情を言ってこられても困ります。日本に不利な報道を流すとすぐ陰謀だろメディア操作だろ言い出す人って、ＴＶの天気予報のアナウンサーが台風を起こしているという理屈になります。

■地震の死者２３人に＝捜索活動続く―熊本県警など
(時事通信社 - 04月16日 16:01)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=4&from=diary&id=3950423