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2016年04月08日06:26

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手塚治虫は霊界から語らない

『手塚治虫の霊言』遺族が困惑 「こんな言いぶりするわけないが...」
http://www.huffingtonpost.jp/2016/04/05/ghost-of-osamu-tezuka_n_9621602.html

 基本的に何かを批判しようと思ったら、当該の作品を見ないことには始まらないというのは、批評の大大原則である。
 となれば、この『手塚治虫の霊言』とやらも買って読まなきゃならないリクツであるが、買いたくねーなー(苦笑)。
 一連の幸福の科学映画を毎回観に行ってるくせに、何言ってんのって言われそうだが、映画は二時間座っていれば、どんなに苦痛だったり退屈だったりお笑い草だったりしたって、終わってくれるのである。でも本はページをめくらなきゃならないからね。興味本位だろうと、最後まで読めりゃいいんだが、途中で腹が立って読めなくなっちゃったらどうしようと。でもそれも「予測」にすぎない訳であって、やっぱり「読んでからしかモノが言えない」ことには違いがないのである。ひい、面倒臭い。

 もちろん、霊界なんてものがあるわけない、という視点に立てば、内容なんか見なくたって、否定はできるのだが、そうすると信者は「読みもしないで何が分かるか」と、我々を救われぬ愚者と非難し、逆に自分たちの正当性の証拠であるかのように喧伝するのである。
 信者にしてみれば、これまでの霊言もすべて本物なのだから、今度も本物であることは間違いない、ということになっているようだ。そんな循環論法は論理ではない、と主張したところで無意味だ。どこに根拠があるかという批判に対して、彼らの言い分は、根拠がないように感じるのは信心が足りないからであって、だからあんたらは「縁なき衆生」なんだよと言われてしまうだけなのである。
 あんなやつらに関わるだけ時間の無駄だ、ということで遠巻きに見ていたら、あいつらは「こちらの領域」にまでどんどこ踏み込んで来るのである。釈迦とかキリストとかの霊言とかはありきたりだし、さとうふみやが「エル・カンターレ・ファイト!」とか漫画に描いてたのを見てる分には、まだ笑ってられたんだけどね。さすがに手塚治虫の言葉を借りるに至っては、看過しきれないものが生じてきているのではないかという気がするのである。

 オウム真理教が台頭していた時、彼らのテクニカルタームの中に、相当数の漫画・アニメからの「借用」「引用」があって、それには随分困惑させられた。
 ただの空気清浄機に「コスモクリーナー」なんて名前を付けて嬉々としているのは、傍目からは現実と空想との区別がついていないだけで、お前らサルかと笑うしかなかったが、彼らは徹頭徹尾本気だったのである。

 幸福の科学は、別にテロ行為に走ってるわけではないだろう、という反論もあるだろう。しかし、そう仰る方は、これまでに幸福の科学映画を一本でもご覧になったことがあるだろうか。
 普遍の愛を説きながら、常に仮想敵国を想定し、彼らを悪性宇宙人と結託した邪悪な魔の徒と断定して、「防戦」のための準備を説く、そこに矛盾、偽善、欺瞞、選民思想に基づく全体主義を見出せないとしたら、おつむの中にお花畑が広がってると判断されても仕方がないだろう。大川隆法は明らかにヒトラーの『わが闘争』を参考にしているのだ。
 そんな彼らが、手塚治虫まで利用しようというのである。読まなくてもどうせ生前の手塚とは全然逆のことを書いてるんだろうとは思うが、手塚るみ子氏が言うように、「死後の手塚が何を思っているかは誰にも証明できない」ことなのだ。内容を批判するなら、発言そのものの矛盾や無根拠を追及する以外に無かろうと思う。

 手塚るみ子氏は、一部事実誤認があったとして、当該のつぶやきは削除してしまっている。直接の関係者ですら、ものが言いにくい状態にあって、信者が絡んできたらどうしようとか考えていたら、一般の漫画ファンが何がしか言及するなり批判するなりすることに、気後れしてしまうことは仕方がないよなあとは思う。

 でもさあ、やっぱり亡くなった手塚治虫に、大川隆法の思想を勝手に喋らせちゃったらいけないんだよ。そのうち、あの「総裁」は、藤子・F・不二雄や石森章太郎や、水木しげる(これはもう喋ってたか)の思想まで、自分のものとして語りだすぞ。
 漫画ファンはもっと「ふざけんな」って怒りの声を上げなきゃいけないと思う。そしてつらいのは分かるけれども、頑張って、幸福の科学の著作や映画にも目を通して、どんだけ酷いか、自分の目で確認しておく必要があると思う。

 『天使にアイム・ファイン』を見て、案外いいこと言ってるじゃん、とか感じたりしたら、あなた、簡単に折伏されちゃいますよ。自分が本当に自分の頭で考えているかどうかは、この手の本を読んだり映画を観たりすることで、ようやく自己判断できるのである。
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