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2016年04月03日12:01

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【哲学っぽく】自己責任論と相互扶助論

結論から言うと、この二つは相反するものです。
しかし、どちらも行き過ぎると社会が成り立たなくなる。
だから、国が法律等を定めて、バランスを取る必要があるわけです。

究極の自己責任論の行き着くところは、無人島でサバイバル生活ですよね。
もしくは、完全な無法状態・無政府状態(リアル北斗の拳)
病気になろうが人の財産や生命を奪おうが、それで恨まれて復讐されて命を失おうが全部自己責任って言えば、そりゃあある意味究極の自己責任論ですよね。
でも、それってもう『人間』じゃないですよね。
野生の動物と同じですよね。
まあ、ソマリアなんかがまさにその状態だったりするんですが、それは置いといて。

逆に、究極の相互扶助論の行き着くところは、完全な共産主義・社会主義ですよね。
一年に1000万円稼ぐ人と、一年に100万円しか稼げない人。
この二人の稼ぎを合わせたら1100万円なので、この二人のカネを一度全部吸い上げて、1100万円を二人で割って550万円ずつ分配します。
そりゃあ、ある意味公平ですけど。
でもそれって、1000万円稼ぐ人からすれば「ふざけんな」って思いますよね。
もちろん、富の再分配機能は必要だけど、これもやり過ぎると逆に稼げる人に対する迫害になってしまう。

さて、例えば最近よく話題になるのはシリア等、外務省が「絶対に行くな。誘拐されても助けられないから」と警告を出している危険な紛争地域に「自己責任だ!」と行って入っていく人。
これに関してはどうでしょう。
『海外に置いての行動は、自己の責任の下に』と言うのは正しいです。
しかし、シリアやイラクなど紛争真っ只中の地域においては、本人がどんなに気をつけようが、自己防衛なんて出来ません。
戦争真っ只中なんだから。
テロリストに至っては組織ぐるみで誘拐・拉致をしており、身代金を要求して誘拐ビジネスをやってます。
個人で幾ら気をつけようが、防げるものじゃない。
外務省が「危険だから絶対に行くな」と言うからには、相応の理由があるのです。
それを無視して行ったんだから、結果誘拐されようが、殺されようが、それこそが『自己責任』と言うものです。

分かりやすく言えば、ちょっと危ない遊び(例えば、エンピツで手の指の間を素早くカツカツつつく遊び)をしていて、エンピツで指を刺して怪我をしても、それで誰かに責任を取れとか言えないでしょう。
規模は違えど、それと同じレベルの話です。

もちろん、「だからと言って国は何もしなくていい」とは言えないし、国家として最低限、救出する為に力は尽くすべきです。
しかし、それこそ結果が保障されるものじゃない。
助けられないから行くな、と国は言ってるわけだから、実際に捕まっても助けられる見込みがほとんど無いのは自明の理ですよね。
だったら、初めから国の忠告を無視して危険なところに飛び込んで行った方が悪いのであって。
助けられなかったからと言って国が批判される筋合いでもないですよね。これは。

さて、本題に戻ります。
自己責任と相互扶助ってのは、どちらに行き過ぎてもよろしくないわけです。
相互扶助の分かりやすい例で言えば、健康保険や年金が相互扶助の分かりやすい例ですよね。
健康保険はみんなが保険料を払って、いざ病気になったり怪我をしたら、保険料から7割出してもらって受信・治療する。
年金も「保険」の一種なので、みんなが保険料を払って、老齢(歳を取って収入が減る)遺族(一家の稼ぎ手が亡くなる)障害(障害を負ってリタイアせざるを得なくなる)と言った事故に対して、収入を保証する。
これは制度としてはどちらも素晴らしい制度ですよね。

そもそも、国家の存在自体、相互扶助と言えなくもないかと。
国民みんなが税金を出して、国家が運営されている。
福祉、治安、国防など。
「いざ」と言う事があったら、国がそれに対処する。
行政も司法も、それは同じですよね。
司法(裁判所)だって税金で運営されてるけど、争いが起きた時や事件に巻き込まれた時に裁判所を利用する事になるわけですから。

ネット上ではたびたび行き過ぎた自己責任論(例えば、痴漢被害や性犯罪被害や過労死など。最近だと先日書いた女子中学生誘拐事件など)がありますが、自己責任も相互扶助も、行き過ぎるとロクなことになりません。

極論すれば、「国防」ですら国民はみんなで国に税金払って、いざ外敵が攻めてきたら国が集めた税金で運営している軍隊(自衛隊)に守ってもらうと言う、相互扶助の一環なんだから。
なんでもかんでも自己責任で済ませるなら、国防だって不要になりますよね。
日本が危ないって思ったら国から逃げれば済む話なんですから。
あるいは、無人島に引きこもって雨水確保して魚とって生活すれば、何があろうと完全に自己責任なんだから。

だからこそ、『自己責任』と『相互扶助』は、バランスを取った感覚が大事なのだと私は思います。
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