結婚と出産の分離を主張する上野先生水無田先生の共著です。60年代からの結婚観をフォローしており、わかいひとには参考になるかと思われます。比較対象がこれだけでいいのかは疑問ですが。
歴史的にも地理的にも富裕層の娘のめぐまれた選択ではなかろうかとつっこみをいれたくなります。
男性と女性の結婚観はどのように変化していったのか。
日本人は、晩婚化・非婚化の進行や、離婚率の上昇にもかかわらず今なお結婚へのこだわりが強いのですが、昨今は急速な「結婚離れ」も指摘されています。
生涯未婚率は上昇の一途を辿りこのまま行けば、男性の3人に1人、女性の4人に1人が一生独身の社会がやってきます。(直線的な予測なのではずれるとは評者は思うのですが)。
今後も増加が見込まれる孤立死や介護の担い手の枯渇などは、既存の「結婚を前提とした社会」では対処が困難となります。
これらの観点から、
1、結婚をリスク視する若年男性
2、女性の今なお高い結婚への期待値というリスク
3、誰もが結婚することを前提として設計された社会の抱えるリスク
の三点を軸に、考察していきます。
現在訪れつつある「非婚時代」という現実を見つめ直し、旧来の結婚や家族観を超えて幸福になるための方法と非婚時代を生き抜くための処方箋を探求していきます。
非婚ですが、それが何か!? 結婚リスク時代を生きる
2015年9月1日 第1刷発行
著 者 上野千鶴子(うえの・ちづこ)
水無田気流(みなした・きりう)
発行者 唐津 ��
発行所 株式会社ビジネス社
ISBN978−4−8284−1840−7
C0036
目次
はじめに
第一章 非婚時代
非婚という烙印
結婚願望は低下していないが、婚姻率は下がっている
確信犯的シングルの増加
確信犯シングルの実態
結婚すると損をする
保守化、専業主婦志向が「嫁き遅れ」を増やしている
女性の積極的非婚は合理的選択
高所得層の男にとって家族はリスク
高度成長期が日本人の生活の大きな転換点
産業の工業化で婚姻率が上がった
全員結婚社会こそ異常な時代
一生結婚できないという女子大生の不安
女子の専業主婦願望が上がる理由
去勢されざる息子と娘たち
妻に対する選好条件が変わってきた
一般家庭にお手伝いさんがいた時代
保守的な結婚観が非婚化の原因?
なぜ日本では同棲、事実婚が増えないのか?
60年代は32歳で「行き遅れ」
第二章 シングル社会と少子化を迎えて
日本の社会保障はシングルに対応していない
保守的な家族観をもっている先進国ほど少子化は進む
シングルマザー・バッシング
保育所入所は恩恵か? 権利か?
恋愛結婚の実態は同類婚
会社というカップリングの「釣り堀」
高度成長期の男の逆玉現象
日本の男は世界一孤独
配偶者選択の意思決定者が親から本人に変わった
団塊の世代は避妊が下手だった!?
子どもを排除したがる団塊の世代
3・11の主婦たちの悩み
40年間、世の中は変化していない
日本は女性差別社会ではなく、男性優遇社会
下駄を履かされてきた男たちへのルサンチマン
男女の学歴格差は能力差ではなく、親の投資の反映
医師、弁護士の女性合格率が急伸した理由
結婚後、就労しない女医たち
賢い女子は総合職より一般職を選ぶ
能力の高い女子が日本の旧来の男社会の存続を支えている
育児の戦力にまったくならない夫たち
恨みをためながら会社ムラの男に奉仕する妻たち
父親に期待せず、祖母を当てにする育児
子どもが誕生しても暮らし方、働き方を変えない男たち
日本の低い離婚率は、夫婦関係の良好さを反映しているわけではない
コミュニケーションをとれない夫婦を再生産していく日本の家庭
どこまでも鈍感な夫という生き物
子どもの成長に立ち会えない親たち
共同保育という試み
面倒な人間関係の忌避と冠婚葬祭の商品化
摂食障害、自傷行為は90年代から急増した?
第三章 非婚時代の家族の肖像・親子関係の真実
結婚させたかったら、兵糧攻めにせよ
非婚、少子化で困るのは財界だけ
「3年間抱っこし放題の育休」は、女性の社会復帰を拒む施策
10代の妊娠率と中絶率は高まっている
共同親権の問題点
子育てに対して社会が全体として対価を支払う国
変化のない、変化できない日本という国
男らしさ、女らしさの再生産はなぜ起きる?
社畜と家畜の結婚生活
地域コミュニティに積極的にコミットするのはなぜ?
第四章 オス負け犬と女子文化の爛熟
非婚ではなく、婚前離婚
専業主婦という上流階級
マーケットの成熟が「女子文化」を成長させた
オス負け犬という悲惨な存在
アニメやアイドルに入れ込むから非婚になるという言説
物語消費はいつの時代もあった
オス負け犬の強大な「負け感」
男の病は、モテればすべて解決!?
男の場合、カネと権力があれば女はついてくる
男たちは、モテない言い訳ができなくなった
男から降りれば楽になる
フェミニズムは不都合な真実を炙りだしてきた
第五章 非婚時代のセクシュアリティ
男にとって便利な女の出現
資力は愛人を持つ必要条件ではなくなった
日本の女の大半は、ヘテロセクシュアルですらない?
デートマニュアル『ホットドッグ・プレス』
セクマイに読まれる『おひとりさま』
オックスフォード英語辞典に「HIKIKOMORI」
ソーシャル・キャピタルのある子とない子
離婚の損得勘定
男の「甘えの構造」とは?
90年代の男たちがハマった癒し系アイドル
ロールモデルでなくなった父親
第六章 非婚時代をどう生きるか
日本は結婚と出産が分離していない社会
なぜ人は子どもがほしいと思うのか?
結婚が減り出産が減るのは当然の帰結
産まないエゴイズムは、産むエゴイズムに負ける
欲望を主体的に持つなという構造
未だ言語化されていない日本の母――息子問題
母と息子の気味の悪い倒錯
親から分離できない子どもたち
非婚も結婚も出産も自由に選べる社会に向けて
おわりに
ログインしてコメントを確認・投稿する