「実力」って何？

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この件自体、すでに多くの人の関心から離れているようでもあるので、簡単に書く。
「大臣」「知事」などが「これを許可する」という文言は法令の中に多数書かれている。
ほとんどは基準に従って処理され、大臣の署名は(それがなければ効力を生じないが)実質的な個人の判断を伴うものではない。
しかし同時にそれらは権限とともに責任の所在を明らかにするものでもある。
甘利明氏は将来の首相候補と目される有力な政治家の一人だった。
だから何度も政府の要職についている。
彼を「実力ある政治家」と呼びたいならその内容についてある程度の認識は必須だろう。
福島原発事故の直接的な原因となった「全電源喪失への対応の不備」について、国会の質問があったにもかかわらず「どうせ起きないから対応はしない」という答弁で貴重な機会が失われたのはよく知られているだろう。
その責任者の一人が甘利明氏である。
重要性がわからなかったこと自体無能であるが、その件についての報道検証番組から逃亡し、逃亡の事実を明らかにした番組制作者に恫喝を加えた上法的措置までとったのが甘利氏であるという事実は消えるものではない。
大きな問題が事前に阻止されるというのは、実は現代の社会の中で普通に起きていることだと思う。
偶然もあるが、誠実な対応の組み合わせで結局何事もなく平穏に過ぎることは多い。
この件について仮に甘利氏が有能で適切な対応を取ろうとしたとしても猛烈な妨害をされたであろうことはよくわかる。莫大な経費が電力会社または財政の負担となり、発電のコストが上昇するというのも事実だからだ。
ただ、どの段階においても「よりよい対応」をする機会はあった。
その期待可能性は存在していた。
すべて拒否したのは甘利氏の主体的な判断であり、そこには責任があると私は考えている。
そういう政治家の「実力」って何でしょう？