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2016年03月22日18:44

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改めて、平和安全法制について復習。集団的自衛権の行使は違憲なのか?

■安保法、29日施行決定=「駆け付け警護」は秋以降
(時事通信社 - 03月22日 09:01)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=4&from=diary&id=3909042

出来れば全部やりたいんだけど、くっそ長くなってしまうので集団的自衛権だけとりあえず取り上げてみます。
集団的自衛権の行使に当たっては、新三要件と言う三つの要件を満たす必要があります。

1:我が国に対する武力攻撃が発生したこと、又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること
2:これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないこと
3:必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと

さて、これのどこが憲法違反になるのでしょうか。
現行の日本国憲法下であっても自衛権は認められています。
自衛隊の存在が違憲じゃないか、日米同盟は違憲じゃないかと言う裁判は過去にもありましたが、前者は『憲法9条は自衛戦争を放棄したものではない』後者は『日米同盟は極めて高度な政治性を持つため、司法判断にそぐわない』とされています(砂川判決)

『日米同盟』の部分を『安全保障』に置き換えれば、同じ意味で通じます。
安全保障は高度な政治性が絡みますから。
それでも違憲だと主張するなら、それは自衛隊の存在自体を違憲であると言うに等しい主張です。
憲法学説の中でも少数派で、非現実的とされる論調です。
それを敢えて主張するなら、現実問題として非武装国家として国家が存続できるのかと言う話をすべきでしょう。

又、日本国憲法では25条において『生存権』を保障しています。
生活保護の根拠となる条文として有名ですが、生存権と言うのは国民の生命・財産を守ると言う義務もあると言えます。
国家は国民守ってナンボです。
現代の国家は福祉国家と言われていますが(大きな政府・国家による自由)19世紀初頭には夜警国家と言われていました(小さな政府・国家からの自由)
夜警国家時代は、国は国民の生活に対して極力干渉せず、災害や外敵からの侵略など有事の際に国民を守ると言う役目を負うのだと言う考えが念頭にあったわけです。
しかし、それだけでは肉体的・社会的弱者等々、己の力だけでは生きていけない人達を助けられないと言う事もあり、時代は変わり、社会福祉が整ってきたわけです。
そういった時代背景を念頭にすれば確実に言えるのは、『生存権の下に、有事の際に国家が国民を守るのは当たり前』なのです。

憲法9条は非武装・無抵抗主義を示しているんだ!と言うなら、憲法9条自体が憲法25条に違反してると言うトンチンカンなことになってしまいます。
そもそも、憲法とは「国家から国民を守る者」と言う性格があります。
これは積極的な介入だけではなく、国の不作為によって守られないと言うことも防がねばならないと言えます。

少なくとも、『憲法違反だから無効だ!』と叫ぶなら、憲法に対して最低限これらを前提として、我が国を取り巻く安全保障環境が変わってきていることも念頭に、その上で議論すべきでしょう。
そもそも、違憲判決が出た裁判であっても、即座に無効となるわけではなく、一部無効であったり事情判決であったりといった例もあるわけで、全部無効と言うからにはそれなりの強い根拠がないと、法律の内容も憲法についても良く分からずに感情的に叫んでるだけ、と思われるだけでしょう。

憲法違反だ以外にも、よく見る反対派の言い分で
『朝鮮半島や中東で自衛隊が死ぬ事になる』
『アメリカの戦争に巻き込まれて前線に駆り出される』
『徴兵制になる』
と言う主張がありますが、どれも有り得ません。

朝鮮半島や中東で戦闘状態になったとしても、それが『新三要件』を満たす事はどうひっくり返っても考えられないことは分かる事です。

アメリカの戦争に巻き込まれて、と言うのも、アメリカに向けて北朝鮮がミサイルをぶっ放したから迎撃しようっていう話ならまだしも、アメリカがどこぞの国で戦争に介入したから日本も軍を出せとか言われても、明確に憲法違反であり、又、新三要件を満たさないことは分かる事です。

徴兵制についてですが、ズブの素人を連れてきても足手まといになるだけです(自衛隊側の主張でもそうです)
ミサイルが撃てるのか、戦車操縦できるのか、イージス艦や航空機が操縦できるのか。
そもそも、一人の隊員がケガをしたら、当該隊員を連れて下がる為にもう一人の隊員の手がふさがってしまいます。
ドシロートを連れてきて、後ろでナイフ持ってがたがたぶるぶるにゃーにゃー☆で震えられるくらいなら、いない方がマシってもんです。
民間企業でもそうですよね?未経験のドシロートを入れて、1から10まで教える人がつきっきりにならないといけないなら、そんな余裕ないし、それなら要らない。っていう場面は、社会で働いた事があるなら分かるかと。

以上のことを踏まえると、中東や朝鮮半島で自衛隊員が戦闘に参加するだの、アメリカの戦争に巻き込まれるだの、徴兵制になるだのと騒いでる人は、当該法律の内容をもう少し調べてから言えと言う事です。
憲法違反だと言うなら、最高裁の解釈をひっくり返せるくらいの強い根拠と、現実問題どうやって日本の安全保障を整えるのかと言う代替案まで用意して来いと言う事です。

実際、SEALDsの連中なんかは産経新聞の記者がインタビューした際に、「新三要件ってなんですか」とか「法律の内容なんか知らない。とにかく憲法違反」だのと素っ頓狂なこと言ってましたからね(こちらは産経新聞の記事に記載があります)

出来れば、在外邦人保護や米軍等の武器の保護なども語りたかったんだけどね。
長くなるし、今度機会があったら語りたい。

参考資料・・・

平和安全法制の整備
http://jimin.ncss.nifty.com/pdf/pamphlet/201506_pamphlet.pdf

平和安全法制の概要
http://jimin.ncss.nifty.com/pdf/news/prioritythemes/diplomacy/127723_01.pdf

条文
http://jimin.ncss.nifty.com/pdf/news/prioritythemes/diplomacy/127724_01.pdf

追記:『個別的自衛権は合憲だが集団的自衛権は違憲』と言う主張を見たので、それについても書き足しておきます。
従来の政府の見解は「集団的自衛権を所有してはいるが、行使はできない」と言う見解でした。
安倍政権は、時代に応じて政府見解は変えていかねばならないと言う事で政府見解を変えただけです。
一方、司法判断については「憲法9条は自衛戦争を放棄したものではない」とは言っていますが、「個別的自衛権は合憲だが、集団的自衛権の行使が違憲」とは言っておりません。
又、日米同盟は、日本と米国と言う限定的な環境下ではありますが、これは集団的自衛権の一種と言えます。
よって、砂川判決の趣旨を斟酌すると、集団的自衛権行使について違憲判決が出る可能性はほぼ有り得ないと言えるでしょう。
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