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2016年03月21日13:34

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ロパートキナ 孤高の白鳥

2016/3/20日 12:40- Bunkamura ル・シネマ

ハンブルクバレエの来日祭りにかまけていてうっかり見逃すところだったロパ様のドキュメンタリー、ル・シネマさんで再上映されたので見てまいりました。本当に見逃さなくてよかったです!

公式サイト http://lopatkina-movie.jp/

ボリショイ・バビロンがバレエ映画というより硬派なドキュメンタリーだった影響で、何となくこちらもそういう類かしらと勝手に思っていたのですが、全く違いました。ロパートキナと、彼女を知る3人(アニエス・ルテステュ、ピエール・ラコット、ジャン・ギョーム・バール)のインタビューと、ロパートキナがワガノワバレエ学校を訪ねるシーン以外は、ほぼ全編、いろいろな作品を踊る彼女が見られます。

解像度が悪いものもありますが、今は貴重なかなり若い頃のものもあって、とにかくロパ様の踊りの魅力を堪能いたしました。これ、ぜひDVDにしてほしいです〜!

映画中に出てくる彼女が踊るバレエ作品は、リハーサル映像も含め下記のとおり(パンフレット情報+私の記憶より)。

・愛の伝説
・マルグリットとアルマン
・病める薔薇
・ロシアの踊り
・イン・ザ・ナイト
・ステイン・アライヴ
・カルメン
・ダイヤモンド
・瀕死の白鳥
・ヨハン・シュトラウス・ボール
・ショピニアーナ
・タンゴ
・三つのグノシエンヌ
(抜けや間違いに気づかれた方いらっしゃいましたら、ぜひ教えてくださいませ〜)

彼女の好きな作品は「白鳥の湖」と「愛の伝説」で、特に後者は年齢を経るにつれメフメヌ・バヌーの気持ちが理解できるようになったと語っており、この映画の中でも最も多くの時間が割かれています。ロパ様自身にとって大切な役ということを聞くと、昨年末のマリインスキーの来日公演でナマで観られて本当によかったという気持ちが強くなりました。

「彼女の踊りには機械的なところが一つもない」という話が映画中に出てきますが、私も席でぶんぶん頷きながら見てました。彼女、テクニックも素晴らしいですが、足や手の動きに一つ一つ意味があり感情がこもっている感じがするのですよね。だからこそ、私が本来苦手なバランシンのダイヤモンドが、明確ではないものの一種のストーリーがあるように見えて、涙が出るほど美しいと思えるのです。

インタビューの彼女を見ていて、つくづく真摯で純粋で、そして思慮深い方だと思いました。今最高のバレリーナの称賛をほしいままにしているのに、まだ上を目指さなければならないという姿勢にも感銘。バレエという芸術にプライドを持って身を捧げている求道者ですね。そういう姿勢が、彼女を他のダンサーとは違う崇高な存在に見せる要因なんだなと再認識いたしました。

そんな彼女が、オネーギンのタチアナを踊りたいと映画中で公言。マリインスキーはクランコのオネーギンをやってないのか・・・彼女がタチアナをやっていないことの方が意外な感じですが、ロシアの政治力を駆使してクランコ財団と掛け合って、ぜひ踊っていただきたいです!

話が少し反れますが、彼女がタチアナのキャラクターについて語っていた内容が印象的でした。プーシキンの原作はロシアでは本当に有名で、タチアナはロシア人にとって理想の女性だと聞いたことがあるのですが、確かにそれを裏付けるようなもの。ロパートキナいわく、タチアナは自由な自分勝手な愛でなく、他の愛を選んだのだということ。所有することだけでは愛ではないと。彼女は、タチアナを尊敬していると言っていました。

なるほど、と思ったのは、ノイマイヤーのタチアナの件。初演キャストのエレーヌ(・ブシェ)で観てもイマイチしっくりこなかったこの作品、ヴィシニョーワがハンブルクにゲストで踊ったときに素晴らしく感じたのは、このタチアナ観の違いなのかな、と思いました。タチアナって、オネーギンに振り回される悲劇のヒロインじゃないんですよね。手紙のパドドゥも、彼への愛情を何とか押しとどめたということじゃない。彼のことはとても愛しているのだけれど、それでも自分のために(多分彼のためにも)彼とは違う道を歩むことを決心した、自己犠牲の精神もあるけど、それと同時にとても自立した女性なのだな、と。ロパ様のタチアナ、観たいです!次の来日のときにぜひ・・・(それまで彼女が現役でいるかどうかはかなり不安です)。

そうそう。真面目なイメージのロパ様ですが、映画中のワガノワ学校を訪問するシーン、それから貴重なお嬢様とのオフショットでは、可愛い笑顔もあって、こちらまで嬉しくなりました。

彼女、7月末のジャパン・アーツ主催 「オールスター・ガラ」でまた来日する予定で、嬉しいです!パートナーは先日の来日公演での「愛の伝説」で宰相を好演していたエルマコフ。予定されている出演演目は下記のとおり。(欲を言えば、以前一度観て素晴らしかった「病める薔薇」をもう一度観たかったなー。)
・「カルメン」(振付:A.アロンソ):Aプロ
・「グルックのメロディ」(振付:R.プティ):Aプロ
・「愛の伝説」よりモノローグとアダージォ(振付:Y.グリゴローヴィチ):Bプロ
・「アンガラ」(振付:Y.グリゴローヴィチ):Bプロ

*オールスターガラの詳細はこちら https://www.japanarts.co.jp/concert/concert_detail.php?id=390

ロパートキナ 孤高の白鳥のBukamuraル・シネマのアンコール上映は4/1金まで。平日夜もありますし、また、他にも全国の映画館で上映されているようなので、まだ見ていないバレエファンの方は、ぜひお運びください!

*ロパートキナ孤高の白鳥 公式サイト(劇場情報もあり)
http://lopatkina-movie.jp/
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