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2016年03月21日07:57

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【長文注意】5年後の東日本大震災被災地と観光での復興応援・3/6:BRT気仙沼線 (6/7)

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 <strong><a HREF="https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B2%90%E9%98%9C%E7%9C%8C" target="_blank">岐阜県</a></strong> <strong><a HREF="https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%96%A2%E5%B8%82" target="_blank">関市</a></strong>(<a HREF="http://nifty.its-mo.com/z-127773180-492914910-5.htm" target="_blank">この辺り(地図)</a>)市民の買い物先がstrong><a HREF="https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B2%90%E9%98%9C%E5%B8%82" target="_blank">岐阜市</a></strong>から<strong><a HREF="http://kamitaku.travel.coocan.jp/NAGOYAON.HTM" target="_blank">名古屋市</a></strong>に代わってしまった事例から分かるとおり、鉄道がなくなることによる悪影響は、「地域住民の足」という直接的な影響だけにとどまらず、「よそから来るかも知れなかった客を、他の地域に奪われる」という影響があり得ます。このような影響の結果は、地域の産業の売上高の減少要因となり、その結果、地域の雇用が減って失業者が増える要因となるリスクがあり得ます。先述した<strong><a HREF="http://www.sanrikutetsudou.com/" target="_blank">三陸鉄道</a></strong>(<a HREF="https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E9%99%B8%E9%89%84%E9%81%93" target="_blank">解説</a>)社長の<a HREF="https://www.google.co.jp/#q=%22%E4%B8%89%E9%99%B8%E9%89%84%E9%81%93%22+%22%E6%9C%9B%E6%9C%88%E6%AD%A3%E5%BD%A6%22" target="_blank">望月正彦</a>氏の<strong>「鉄道が廃止になって、栄えた町はどこにもない」</strong>という発言は、先述した沿線の交通弱者への公共サービス提供という見地からだけにとどまらず、このような「他地域との市場競争における、地域の<a HREF="https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%B1%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0" target="_blank">マーケティング</a>戦略」の見地からも、そのとおりであると<a HREF="http://kamitaku.travel.coocan.jp/" target="_blank">私</a>は思います。

 しかし、このような鉄道のメリットには、鉄道経営上の深刻なデメリットも伴うものです。その理由は、鉄道があることによる先述のようなメリットは、<a HREF="https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%96%E9%83%A8%E6%80%A7" target="_blank">外部経済</a>効果であるため、鉄道会社にとっての収入にはならないという点です。メリットを地域に与えても自社自身の収入にはならないのです。したがって、鉄道会社は赤字になりがちです。さらに、この<a HREF="https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%96%E9%83%A8%E6%80%A7" target="_blank">外部経済</a>効果は、「鉄道に乗らない地域住民も、メリットが得られる」という性質を伴うものであり、これは、消費の<a HREF="https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9D%9E%E7%AB%B6%E5%90%88%E6%80%A7" target="_blank">非競合性</a>と消費の<a HREF="https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AC%E5%85%B1%E8%B2%A1" target="_blank">非排除性</a>とを併せ持つことを意味するものと、私は考えます。消費の<a HREF="https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9D%9E%E7%AB%B6%E5%90%88%E6%80%A7" target="_blank">非競合性</a>と消費の<a HREF="https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AC%E5%85%B1%E8%B2%A1" target="_blank">非排除性</a>とを併せ持つということは、それは即ち、鉄道事業は<a HREF="https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AC%E5%85%B1%E8%B2%A1" target="_blank">公共財</a>だということを意味します。即ち、鉄道事業は、<a HREF="https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B8%82%E5%A0%B4%E3%81%AE%E5%A4%B1%E6%95%97" target="_blank">市場の失敗</a>に当てはまる<a HREF="https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AC%E5%85%B1%E8%B2%A1" target="_blank">公共財</a>だということになりますので、過疎地地域では、鉄道会社は、「地域に与える<a HREF="https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%96%E9%83%A8%E6%80%A7" target="_blank">外部経済</a>効果」に見合うだけの事業収入を得られない「一方的な奉仕」状況に陥り、経営が苦しくなってしまうという訳です。

 <a HREF="https://www.google.co.jp/#q=%22%E5%AE%87%E9%83%BD%E5%AE%AE%E6%B5%84%E4%BA%BA%22" target="_blank">宇都宮浄人</a><strong>『<a HREF="https://www.google.co.jp/#q=%22%E5%9C%B0%E5%9F%9F%E5%86%8D%E7%94%9F%E3%81%AE%E6%88%A6%E7%95%A5%22+%22%E3%80%8C%E4%BA%A4%E9%80%9A%E3%81%BE%E3%81%A1%E3%81%A5%E3%81%8F%E3%82%8A%E3%80%8D%E3%81%A8%E3%81%84%E3%81%86%E3%82%A2%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%81%22" target="_blank">地域再生の戦略 「交通まちづくり」というアプローチ</a>』</strong>(<a HREF="https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%A1%E3%81%8F%E3%81%BE%E6%96%B0%E6%9B%B8" target="_blank">ちくま新書</a>,2015年)は、本来は<a HREF="https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AC%E5%85%B1%E8%B2%A1" target="_blank">公共財</a>である鉄道等の公共交通機関の運営が、他国の事例に比べると日本では民営企業に委ねられた上に、<a HREF="https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AC%E5%85%B1%E8%B2%A1" target="_blank">公共財</a>である点を無視して自社の事業収益が黒字か赤字かだけが問われる風潮があることへの反論姿勢で書かれています。前段落の理由故に、私も賛成です。<a HREF="https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%96%E9%83%A8%E6%80%A7" target="_blank">外部経済</a>効果の利益が自社で得ることができなくても、或る程度事業が成り立つ大都市地域以外の地域では、なんらかの公的支援抜きには鉄道経営が成り立たちません(路線バスのバス会社も同様)。このメカニズムによって鉄道(だけでなく、バスも)路線が廃止になると、地域への<a HREF="https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AC%E5%85%B1%E8%B2%A1" target="_blank">公共財</a>の供給は、過少供給になってしまいます。もちろん、「空気しか運んでいない路線」と化した路線を維持することはさすがに過剰供給ですので公的支援にも限度があり、「どこまでは公的支援して、どこから先は行わないのか」というバランス感覚が必要になりますが、<a HREF="https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AC%E5%85%B1%E8%B2%A1" target="_blank">公共財</a>である以上は、過疎地域の公共交通機関の運営を民営会社による市場メカニズムだけに委ねるとサービスの過少供給になる点に相違はありません。

 ところで、「鉄道に乗らない地域住民も、メリットが得られる」という「鉄道事業が<a HREF="https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AC%E5%85%B1%E8%B2%A1" target="_blank">公共財</a>であることによって、地域が得られるメリット」は、間接的効果であるが故に地域住民には直接的な実感が湧き難いものです。特に、普段自分が鉄道を利用しない方にとっては、「全く」と申しても過言ではない程に実感が湧き難い影響です。このため、鉄道やバス路線廃止の際に事前に地域住民の意見だけを吸い上げるアンケート調査を行うと、地域住民が、間接的影響については将来自分たち自身にとって不利益になる意思決定をしてしまいがちであるというリスクが、あるのではないかと思います。鉄道に対する公的支援、即ち言葉を飾らずに申せば税金投入に関しては、「上述のような『地域外客獲得のための、他地域との間の地域間競争』の見地からのメリットを鉄道から間接的には受けていても、普段自分が乗らないために、必要性を実感できない住民」の反対意見が一定の確率で発生し得ることは、火を見るよりも明らかに想像可能です。ましてや、「公的支援」とは言葉を飾らずに申せば「税金投入」であるため、「自分自身へのメリットは間接的にも存在しない、地域外の国民」の場合、直接的な実感が湧き易い他の被災地支援事案と比べて、直接的な実感が湧き難く間接的な「鉄道があることのメリット」である鉄道会社への補助は、<strong><a HREF="http://www.sanrikutetsudou.com/" target="_blank">三陸鉄道</a></strong>(<a HREF="https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E9%99%B8%E9%89%84%E9%81%93" target="_blank">解説</a>)のように共感を湧き易い場合を例外として除けば、賛同を得られにくいという課題もあり得ると思います。

 <a HREF="http://www.jreast.co.jp/" target="_blank">JR東日本</a> <a HREF="https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%97%E4%BB%99%E6%B2%BC%E7%B7%9A" target="_blank">気仙沼線</a>と<a HREF="https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E8%88%B9%E6%B8%A1%E7%B7%9A" target="_blank">大船渡線</a>の<a HREF="http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%A4%A7%E9%9C%87%E7%81%BD" target="_blank">東日本大震災</a>の津波被災区間の鉄道での本格復旧断念を断念した「公的支援」が得られなかったことの原因は、直接的には<a HREF="https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8E%9F%E6%AD%A6%E5%8F%B2" target="_blank">原武史</a>『<a HREF="https://www.google.co.jp/#q=%22%E5%8E%9F%E6%AD%A6%E5%8F%B2%22+%22%E9%9C%87%E7%81%BD%E3%81%A8%E9%89%84%E9%81%93%22" target="_blank">震災と鉄道</a>』</strong>(<a HREF="https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%9D%E6%97%A5%E6%96%B0%E6%9B%B8" target="_blank">朝日新書</a>,2011年10月)p.58によれば、<a HREF="http://www.jreast.co.jp/" target="_blank">JR東日本</a>は黒字企業であるために国庫補助の対象外だからです。さらに「では、国庫補助の対象外である理由は何か?」まで掘り下げて考えれば、その<a HREF="https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AC%E5%85%B1%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%AD%A6" target="_blank">公共経済学</a>的な見地からの原因には、前段落までに述べたような発生メカニズムがあろうかと私は思います。<a HREF="http://www.jreast.co.jp/" target="_blank">JR東日本</a>はなまじ黒字企業であるため、法制度以前の国民感情として、「何故、我々の税金が原資である国費を投入するのか?」という反対意見が生じる可能性があるため、それに備えて法制度上も黒字企業だと国庫補助の対象外と化したのであろうことは、確認した上での事実ではありませんが、容易に推測可能と考えます。また、或る路線で公的支援を行った場合、公平性の見地からは次回以降の別の路線でも公的支援せざるを得なくなり、「次回以降も維持可能な政策か?」という点も、国としては検討せざるを得なくなります。このような見地も踏まえた上で公的支援の是非を検討した結果、「国は、実施したくても実施できず、やむを得ず断念した」可能性もあり得ますので、公的支援が無かった点に関して、事実を確認することもせずに軽々に「国は冷たい」と断じるのは早計であり、実はそうではない可能性もあり得ます。

 しかし、黒字企業であるとは申せ赤字ローカル線に関しては、首都圏や鉄道以外の事業等の黒字体質部門における黒字を<a HREF="https://kotobank.jp/word/%E5%86%85%E9%83%A8%E7%9B%B8%E4%BA%92%E8%A3%9C%E5%8A%A9-107421" target="_blank">内部補助</a>を行うことによって企業全体で収益の辻褄(つじつま)を合わせているに過ぎないため、黒字体質部門からの<a HREF="https://kotobank.jp/word/%E5%86%85%E9%83%A8%E7%9B%B8%E4%BA%92%E8%A3%9C%E5%8A%A9-107421" target="_blank">内部補助</a>で補える範囲を超えてしまった設備投資は、物理的に実施できないであろうと考えます。先述したとおり、<a HREF="http://www.jreast.co.jp/" target="_blank">JR東日本</a>が現状復旧部分の費用は自己負担しても、安全・まちづくりの高台移転を考慮した総工事費とそれとの間の差額・差分については公的支援を求めたのは、企業財務の見地からは、やむを得なかったのであろうと私は考えます。さはさりながら、先述した<strong><a HREF="http://www.sanrikutetsudou.com/" target="_blank">三陸鉄道</a></strong>(<a HREF="https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E9%99%B8%E9%89%84%E9%81%93" target="_blank">解説</a>)社長の<a HREF="https://www.google.co.jp/#q=%22%E4%B8%89%E9%99%B8%E9%89%84%E9%81%93%22+%22%E6%9C%9B%E6%9C%88%E6%AD%A3%E5%BD%A6%22" target="_blank">望月正彦</a>氏の<strong>「鉄道が廃止になって、栄えた町はどこにもない」</strong>という発言に賛同する私としては、鉄道は<a HREF="https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%96%E9%83%A8%E6%80%A7" target="_blank">外部経済</a>効果が大きい<a HREF="https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AC%E5%85%B1%E8%B2%A1" target="_blank">公共財</a>であるため、「初期の設備投資の中で企業が負担可能な範囲を超えた部分についてのみ公的支援を行えば、日々の運営の収益については企業内黒字部門からの<a HREF="https://kotobank.jp/word/%E5%86%85%E9%83%A8%E7%9B%B8%E4%BA%92%E8%A3%9C%E5%8A%A9-107421" target="_blank">内部補助</a>で赤字補てんが可能である」場合には、公的支援を行った方が良かったのではないか、と私は考えます(注)。本来であれば、この辺りの費用負担割合が、「<a HREF="https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AC%E5%85%B1%E8%B2%A1" target="_blank">公共財</a>が<a HREF="https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B8%82%E5%A0%B4%E3%81%AE%E5%A4%B1%E6%95%97" target="_blank">市場の失敗</a>によって過少供給になるリスクと、一方逆に、<a HREF="https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AC%E5%85%B1%E8%B2%A1" target="_blank">公共財</a>であることを口実にして過剰供給と化すリスクとの間のバランス」を考慮した落としどころなのではないか、と私は考えます。このような観点からは、「公的支援が行われなかったために、<a HREF="http://www.jreast.co.jp/" target="_blank">JR東日本</a> <a HREF="https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%97%E4%BB%99%E6%B2%BC%E7%B7%9A" target="_blank">気仙沼線</a>と<a HREF="https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E8%88%B9%E6%B8%A1%E7%B7%9A" target="_blank">大船渡線</a>の<a HREF="http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%A4%A7%E9%9C%87%E7%81%BD" target="_blank">東日本大震災</a>の津波被災区間で、鉄道の本格復旧が断念されてしまったことは、極めて残念なことであると思います。
(注)「国費投入」については様々な異論もありましょうが、当文書掲載先は政治目的のものではないため、この点についてのコメントは、賛成意見も含めて、しないで下さいますよう、よろしくお願い申し上げます。経済学における自然法則はヒトの意見に関わらず社会科学分野であるとは申せ物理学や化学と同様に物理的に存在するものですが、「その法則に基づいてどのような経済政策判断を下すか」という応用の局面・工程では、ヒトによって意見が異なり得、自然法則に反しない限り、「その内のどれかが絶対的に正しくて、他の意見はダメだ」ちうことは、ありません。したがって、「意見の部類に属する話」については、私はここで、「経済学と経営学の両面からの見地では、このような見方もあり得る」という考え方を、知っていただきたくために提示したものであるに過ぎず、自分の意見を他者に押し付ける意図もありません。誤解を避けるべく、念のため。


→続きは、次の日記へ

→ブログ版全文:<a HREF="http://kamitaku.cocolog-nifty.com/rock/2016/03/536brt-15b2.html" target="_blank">【長文注意】5年後の東日本大震災被災地と観光での復興応援・3/6:BRT気仙沼線</a>

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