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2016年03月18日21:42

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雑記 番外編 病院

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日暮里地区には「日暮里上宮病院」という病院がある。
この病院は聖徳太子が「四箇院の制」をとった事を参考にした宗教です。

そう、最初は「上宮教会」という明治30年に創立した宗教団体なのです。
ちなみに明治30年には、聖徳太子の死去を悼んで橘大郎女妃が作らせたという「天寿国繍帳」が国宝に認定された年でもあります。
10年後の明治40年に社団法人になります。


では、明治の聖徳太子信仰とはなにか？歴史を追っかけて見ましょう。

・明治3年（1870）、聖徳太子の一千二百五十年遠忌法要がおこなわれました。しかし、廃仏毀釈令の煽りをくらい法隆寺は廃れていました。
それを嘆いた当時の貫主である佐伯定胤は「、一千三百年遠忌を国民全体が太子を讃仰する機会にしたい」という想いから、周囲に働きかけます。

・大正元年（1912）、岡倉天心や東大国史の黒板勝美助教授や仏教系ジャーナリストの高嶋米峰らが法隆寺会設立準備会を開催。翌年、東大印哲の高楠潤次郎などが加わって「法隆寺会」が結成されます。

・大正7年（1918）、久邇宮邦彦親王を総裁、徳川頼倫侯爵を会長、渋沢栄一男爵を副会長として、聖徳太子一千三百年遠忌奉賛会が創設されました。

・大正9年（1920）には、遠忌記念の美術展覧会を上野公園竹之台陳列館にて開催。聖徳太子記念研究基金として、内帑金（天皇の個人財産）から4万円を下賜され、翌年、叡福寺における遠忌大会を奉賛し、また法隆寺での聖霊大会を奉賛。

・大正13年（1924）に、運動の存続を願う久邇宮総裁の強い意志により、徳川頼倫侯爵を会長、渋沢栄一子爵を副会長として、財団法人聖徳太子奉讃会が発足する。太子顕彰運動を行うとともに、廃仏毀釈によって痛手を受けていた法隆寺を支援し、また太子関連研究の支援を行なう。




そのような流れの中で上宮病院が開設されていく。
個人的に年表で注目したのが昭和4年の「東京日日新聞と共同で聖徳太子奉賛無料診療を荒川区東日暮里で始める。」である。
昭和4年、『國民新聞』主筆の徳富蘇峰が『日日新聞』に移籍する年である。




徳富蘇峰とは元熊本藩士の息子として生まれ肥後実学党系の漢学塾に学んでいる時期に「聖書」にふれキリスト教に興味を寄せ、1876年（明治9年）、横井時雄、金森通倫、浮田和民らとともに熊本バンド（花岡山の盟約）の結成に参画。
その後、東京英語学校から同志社英学校に転入学し、同年12月に創設者の新島襄により金森通倫らとともに洗礼を受け、西京第二公会に入会。
自由党系の民権結社相愛社に加入して自由民権運動に参加した。
昭和6年（1931）、平和主義から一転、膨張主義をとなえ軍部と結び、「白閥打破」、「興亜の大義」、「挙国一致」を喧伝した。

つまり上宮教会診療所開設（昭和8年）から一年後に徳富蘇峰は軍部に近づいてしまうのである。
これは何か裏がありそう。

因みにアマゾンで上宮教会で検索すると･･･。
http://www.amazon.co.jp/dp/B008V6VIMO/ref=cm_sw_r_tw_dp_Dv.6wb0NHC22C
曹洞宗関係の書籍を出版している鴻盟社から『国憲』という書籍を1903年に出版しています。

調べれば調べるほど奥が深そうな病院の話しでした。

参考サイト
上宮会沿革　http://www.jyogu.com/enkaku.html
日暮里上宮病院沿革　http://www.jyogu.com/nippori/enkaku.html
聖徳太子奉讃会の歴史　http://blog.goo.ne.jp/kosei-gooblog/e/35e1a117d13e687c1376abf6a4926736
四箇院制度　http://www.shitennoji.or.jp/link.html
明治・大正・昭和を生きた思想家・徳富蘇峰の思想　http://laughy.jp/1407406161537136957

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