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2016年03月14日21:09

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ハンブルクバレエ来日公演 真夏の夜の夢

10日間で3演目8公演と、バレエ団としても総力戦だったハンブルクバレエの日本ツアー。仕事に行きながら公演に皆勤するのに手いっぱいで全く感想が残せていなかったのですが、記憶が薄れないうちに新しいものから順にこの感動を残していこうと思います。

まずは、最後の真夏から。


真夏の夜の夢
ウィリアム・シェイクスピアの原作に基づく、ジョン・ノイマイヤーによるバレエ

音楽: フェリックス・メンデルスゾーン・バルトルディ、リゲティ・ジェルジュ、伝承音楽
振付・演出: ジョン・ノイマイヤー
装置・衣装: ユルゲン・ローゼ

指揮:ギャレット・キースト
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
会場:東京文化会館

3/11金 18:30-
ヒッポリタ/タイターニア:エレーヌ・ブシェ
ヘレナ:シルヴィア・アッツォーニ
ハーミア:フロレンシア・チネラート
デミトリアス(士官):アレクサンドル・リアブコ
ライサンダー(庭師):エドウィン・レヴァツォフ
シーシアス(アテネの大公)/オベロン:ウラジーミル・ヤロシェンコ(ゲスト・ダンサー)
フィロストレート/パック:アレクサンドル・トルーシュ

3/12土 14:00-
ヒッポリタ/タイターニア:アリーナ・コジョカル (ゲスト・ダンサー)
ヘレナ:カロリーナ・アグエロ
ハーミア:フロレンシア・チネラート
デミトリアス(士官):アレクサンドル・リアブコ
ライサンダー(庭師):クリストファー・エヴァンス
シーシアス(アテネの大公)/オベロン:カーステン・ユング
フィロストレート/パック:アレクサンドル・トルーシュ

3/13日 14:00-
ヒッポリタ/タイターニア:エレーヌ・ブシェ
ヘレナ:シルヴィア・アッツォーニ
ハーミア:フロレンシア・チネラート
デミトリアス(士官):アレクサンドル・リアブコ
ライサンダー(庭師):エドウィン・レヴァツォフ
シーシアス(アテネの大公)/オベロン:ウラジーミル・ヤロシェンコ(ゲスト・ダンサー)
フィロストレート/パック:アレクサンドル・トルーシュ


真夏はハンブルクで2回観てます。痛くて苦しいノイマイヤー作品が好きなドMな私ではありますが、この作品の持つ祝祭的なエンターテイメント感も大好き。彼が若い頃に創った作品だけあって全編ダンサーが踊りまくりますし、何より演出が素晴らしい。妖精界・人間界を音楽と衣装と踊りのタイプで描き分けていて、妖精界がリゲティの現代音楽+宇宙人テイストの衣装ってとこが、初めて観たときからツボでした。舞台芸術に詳しい知人が当時はスペースオペラなども流行っていたはずと言っていて、なるほどと思いました。

さてさて、日本公演はファースト(金日)・セカンド(土)の2タイプのキャストでした。圧倒的に、ファーストがよかったと思います!

特に圧巻は日曜日の日本公演千秋楽。やっと休みだ!という気持ちからなのか、舞台上のダンサー全員のパワーがすごかった。

特に日曜日に凄かったのがエレーヌ。彼女のあの役観るのは5回目でしたが、最後のPDDが余りに喜びと幸せに満ち溢れていて、この作品で初めて涙が出てしまいました。悲しい涙じゃなくて、美しさと気高さに打たれた涙。この日はゲストダンサーのヤロシェンコとの息もぴったり。目覚めた後見つめ合うシーンでは本当に二人が恋に落ちたのではないかと錯覚するくらい、気持ちが通い合っていました。よくガラで上演されるこのPDD、最後のおまけじゃなくてまさにクライマックスだったのね、と初めて意味が分かった。あー素晴らしかったです。もちろん、銀の総タイツ+帽子のタイターニアの迫力は言うに及ばず。この役をやらせたら、おそらくハンブルクでは後にも先にも彼女を越える人はいないんじゃないかしらねー。

そしてゲストダンサーのヤロシェンコもすごくよかった!金曜日はちょっとバレエ団の中になれていない感じがしたけどそれでもエレーヌとのリフトは息ぴったり、そして日曜日は完全にあの中の王様になっておりました。美しいし長身だし上手いしエレーヌとビジュアル的にもぴったりだし・・・もうこのままハンブルクに移籍しちゃってくれないかしら。ま、それは無理としても、またNBSの公演などでぜひ日本に来ていただきたいです♪♪♪

そして大好きなサーシャ・リアブコさん。ディミトリアス、最後の日が一番ノリノリで楽しそうでした。この役のサーシャ、すっごいキレのいい踊りが観られるしコミカルな演技は観られるしで好きなんです♪日曜日は前の方の席だったので間近で彼のキレある柔らかくてきれいな踊りが観られて本当に幸せでした、はー。

そして眼鏡のヘレナ役のシルヴィアがもう可愛くて可愛くて。この役、かなりシルヴィアの素に近い感じがします!眼鏡落とす前の、ディミトリアスに逃げられてチッ!と地面をたたく仕草が大好き〜♪でも実はサーシャと二人してすっごく難しい振付をさらっと踊ってるんですよね。あまりに自然なので踊りじゃなくて演技に見えるという・・・これぞノイマイヤーダンサーの真骨頂。ブラヴォ!

パックのトルシュ、ほぼ4年前にも観てまして、当時は踊りは完璧でしたが演技がもう一つな印象が。今回は演技が進化してて嬉しい驚きでした!目がくりくり動いて子犬みたいで超可愛いー。オベロンが怖いんだけど実はかまってほしくてほしくて、ってところが何とも言えないです♪

でもなー、初めて観たノイマイヤーの真夏のパックはサーシャで。あれが強烈過ぎて今のトルシュ君ではまだ薄味な感じがしてしまう。演じ手によって多少役の意味合いが異なって見えるのはノイマイヤー作品の特徴だから仕方ないですけど。

さて、真夏の夜の夢、実は公演が面白いと感じるためにはこの人達が超重要だった、という職人ズ(この表現、ネットでどなたかが使っていてすっかり気に入ったので拝借しております)。このキャスト、ファーストが断然よかった!ロイドとコースチャ(ツェリコフ)の威力は絶大です。最後の日は二人とも、たくさん笑いをとってやるという決意がぷんぷんとしてました。ロイドって悲しい役、苦しむ役、オシャレな役、明るい役、コメディまで、本当に何でもできて凄い役者だなぁと尊敬しちゃいます。コースチャ、踊りもすっごく上手いんですけど演技力は今やロイドに次ぐ存在なんじゃないかしら。ポアント上手かったし可愛かった♪金曜日はマラーホフが客席にいたので、次のバレエフェスのファニーガラ要員にスカウトされちゃったらどうしようと妄想ふくらませてました^^

日曜日の公演は、会場総立ちのスタオベ。千秋楽だからというのではなく、この日の公演が心底素晴らしかったからだと思います。熱狂的な拍手とブラヴォーを受けて、ダンサーの皆さんもステージ上のジョンもとても嬉しそうでした。カーテンコールはいつも割と義務的にこなすサーシャも珍しく上機嫌な様子で、ファンとしてはほんとによかったぁと思ったり。最後はSAYONARA、See you again!が降りてきてみんなで手を振り合ってバイバイ。ということは、次の来日公演の交渉してるってことですよね。ジョンの任期は確か19年までのはず、とすると3年後ならば彼の最後のシーズンでの来日か。今回、最初の方は空席が目立った客席も尻上がりに埋まっていったように見えたし、NBSさん是非、遅くとも3年後に彼らをよんでくださるよう、お願いしますね!

そうだ、中日のキャストのこともちょっとだけ。ライサンダーのクリストファー・エヴァンスが瑞々しくて伸びやかな踊りでとってもよかったです。コジョカルのタイターニア、彼女にはちょっと可哀想な役。あれはやっぱり体の大きい人がやらないとね。彼女のアシュトンの真夏のタイターニアは大好きなので、彼女ならあっちを観たいなと正直思っちゃいました。

あ、さらに追加で、舞台装置と衣装について。ど派手なきらきらユニタードに目を奪われますが、舞台装置は意外にシンブルです。妖精の世界のメインは藪だし、人間の世界も布とちょとしたカウチくらい。妖精の世界は、床の青いリノリウムと照明で、開放的だけどどこか怪しくて深い真夏の夜感を演出。人間の世界と妖精の世界の場面展開に使われる青い布がとても印象的。一度上に上がって、ばさっと二手に割れて落ちるのですが、落ちる様が波打ってとても美しい。流石はユルゲン・ローゼ、と衣装も含めて下を巻きました。ノイマイヤーでは椿姫もロミジュリ、そしてクランコのオネーギンもこの方。そういえば昨年だったかハンブルクにユルゲン・ローゼが来ていたな。なんの舞台だったか忘れちゃいましたが、いずれにせよまだご存命です!

自分用のメモも兼ねて、下記リンク貼っときます。

・NBS公式より、ハンブルクバレエの真夏の夜の夢のトレーラー。サーシャのパックがちょっと観られる♪イヴァンのオベロンも凄くいいんですよー。
https://youtu.be/rRpTY-1TFnk

・来日公演前に自分で書いた真夏の紹介のページ
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1946641263&owner_id=2438654
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