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2016年02月24日15:52

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高コスト体質の制度

■現役世代の介護保険料、過去最高に 厚労省が推計
(朝日新聞デジタル - 02月24日 05:56)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=3866350

介護保険支出が急増していることは言われ続けています。
2025年からの約10年間、高齢者実数がピークになります。
現行の財源では、この期間の介護サービスを維持することが出来ないことから「2025年問題」として議論が続けられています。
財務省は、その負担に国庫が耐えられないとして、一貫して報酬削減と制度の縮小を主張し続けています。
2015年度においては、介護報酬(サービス事業者が実施したサービスに対して支払うお金)を2.7%切り下げましたが、財務省が出した6%削減をたたき台として、マイナス幅をどこまで圧縮できるか、という方向へ主導する形になっています。
つまり、絶対にプラス改定にさせない、という国の強い意志が働いているわけです。
将来にわたって、収入がマイナスにしかならない業界に新規参入しようという動きはありません。
経営者は、借入金返済の帳尻会わせに必死になり、背に腹はかえられない、とばかりに法の枠を超えて、違法領域にはみ出して収入を確保しているのが「常態」になっています。
こうした経営者の動きを見ている介護スタッフのモチベーションが低下するのはある意味やむを得ないところはあります。

経費が高騰する、だから支払う報酬を制限して行く、という方式が一般的のように扱われていますが、本当にそうなのだろうか、という疑問が制度の内側にいると感じてしまいます。
まず、全体的に「高コスト体質」になっていることが上げられます。
例えば、現在の特養はプライバシー保護を強化するために、原則として居室が「個室」でなければ新設が認められません。
当然、建設費は高騰しますし、個室ケアには相当数の介護士を配置しなければならなくなります。
確かにプライバシー保護の観点は重要ですが、一時的に急増するだけの対応のためにコストをかけるのは制度そのものに対する圧迫になります。
建物は建築基準にしたがって造られれば、耐用年数は50年以上になります。
しかし、急増対応は2025年から10年程度のことであり、それ以後は高齢者の実数は減少に転じます(総人口も減少するので高齢率は高いまま維持されますが)。
また、健康保険制度が医師優遇制度になり、永く役所が手を付けられなかった反省から、介護保険においては最初から行政が積極的に関与し、主導する仕組みにしました。
ところが、行政の仕組みというのは非常に非効率であるため、小回りが効かず、即応性に欠け、結果的に制度を支える仕組み自体がコストを押し上げています。
本業である介護サービスの実施がおろそかになってはいけない、という理由から介護サービス事業者は介護保険事業以外の業務を行って収益を得ることを厳しく制限されています。
このため、事業者は介護保険事業内でしか収益を上げられないので、保険内事業活動を必要以上に活発に行おうとして「過剰サービス体制」を生み出しているのです。

介護保険制度の支出増の背景には、役所が自身の支配力を強め、その範囲内に強引にサービス事業者を押し込めていることにも由来しているのです。
すでに医療分野では、自由診療、一部の混合診療が認められてきています。
今後は、保険内サービスに加えて、自費をプラスすることによって行える「自由選択介護サービス」、保険内サービスにプラスして行える「混合介護サービス」といったものを認めて、保険外からの収入が得られる道を開放しなければ、圧迫される一方の報酬状況下では、その多くが撤退してしまい、需要に対応する力を失ってしまうことになるでしょう。
今のままでは「介護保険制度」という法律と役所の仕組みだけは守れるでしょうが、必要とされる介護体制を守ることは出来ません。

一時的に支出を抑制して、公的制度を守ったとしても、そのことによって発生する、より深刻な状況に陥った高齢者対策として抑制した以上のお金を使わなければならなくなります。
しかし、それは「未来の担当者」の責任であって、現在の担当者がそつなく仕事をこなして退官し、相当な恩給を受け取るために、未来に責任を押しつけて逃げるしかない、それが今の姿なのです。

こうした行き詰まりを打開する施策としては、「尊厳死」「安楽死」の法制化しかないのだろうと私は思っています。
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