日本の少子化は贅沢さの象徴

■少子化なのは「日本が貧乏だから」なのか？ アフリカに出生率で負けているのに…
(キャリコネ - 02月22日 16:41)
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当たり前の前提として、もし子孫を残したいと思うなら、確実に残さねばならない。

何故、犬や猫が一回の出産で5〜6匹子供を産むのか。
何故、魚が一回の産卵で多数の卵を産卵するのか。

これはその当たり前の前提が理由である。
つまり、確実に子孫を残したいからだ。

一回の産卵や出産の個体数の多い動物ほど、生存競争が厳しく、幼体から成体に成長する過程で命の危険に晒される事が多い。
反対にそういう危険が少ない動物ほど、一回の産卵や出産の個体数も少なくなる。

この自然の摂理は、人間にも当てはまると僕は思う。

アフリカと日本。
決定的に違うのは、新生児、乳児の死亡率だ。
日本の死亡率の低さは、世界でもトップクラス。
つまり、日本で赤ちゃんを産んで、その赤ちゃんが成人するまでの間に生命の危険に晒されるリスクが、アフリカと比べると圧倒的に低いということになる。
となれば、アフリカがそのリスクを補うには、出生数を増やすしかない。

また、日本でも戦時中は、出生数が多かった。
これも多分に、子供が命の危険に晒されるというリスクに起因していると僕は思う。
男子ならば、最低2人は産んでおかないと、と言うお年寄りが今だ居る。

つまり、貧乏という括りでアフリカと比べ、出生率を比較するのはナンセンスということだ。

そして今の日本の新生児、乳児の死亡率を考えると、赤ちゃんが無事生まれれば、ほぼ確実に成人まで育てることが出来る。
ならば、保険を掛けて赤ちゃんを産む必要はないし、夫婦が本当に欲しい人数だけ、赤ちゃんを産めば良い。

そう考えると日本は決して貧しい国ではない。
当たり前のように最新の医療を受けることが出来、当たり前のようにワクチンや予防接種を受けることが出来る。
また、当たり前のように平和が其処にあって、当たり前のように教育を受けることが出来る。
寧ろ、豊かで恵まれているのだ。

だから、僕らが感じる貧乏というのは、他所の国と比べる貧乏ではない。
寧ろ日本の国内に於ける、日本人同士の貧富の差を以って貧乏だなんだと言っているのである。

アフリカの人が聞いたら、なんて贅沢な、というレベルでの貧乏だ。

では、少子化は日本が貧乏だから、なのか？
これは或る意味ではイエスとも言える。
つまり、同じ日本人同士で比べた貧富の差を考えると、日本では子供一人が出生から成人するまでに掛かる総費用が掛かり過ぎるのだ。

いや、そんなに多くを掛けなくても、子供を育てることは可能だろう。
確かにそうなのだ。
削れるところは幾らでもあるし、戦後直ぐの貧しい時代、第一次ベビーブームのように赤ちゃんを産み、育てることもできることはできる。

でも、それは国民みんなが貧しかった時代で、或る意味で貧富の差がなかったからこそ出来た。
今のように貧富の差が出来、少しでも他所の子より充分な教育を受けさせようとする現代。
一人の子供に充分なことをしてあげたいと思うのは親心というもの。
そして、新生児、乳児の死亡率が低い日本では、子供の産む数を減らすことで、一人の子供に充分なことをしてあげようと親は考えるのである。

だから僕は、先程少子化は日本が貧乏だからという問いに或る意味イエスと答えた。

でも、少子化の理由はそれだけではない。

時代の流れと共に、僕たち日本人の家庭の在り方や人との関わり方にも変化が出てきた。
それによって、幸せや生活の豊かさの価値観も変わってきたのだと思う。

つまり或る程度の年齢になれば結婚し、赤ちゃんを産み、子供を育てる。
そうした家族が有ることが幸せで、幸せな将来像として当たり前に思い描いた昔と比べ、今はそれが決してそうではない。

寧ろ、一人一人が自分の自由な時間とお金を自分の為だけに使えることが幸せ。
子供の遊ぶ声は、そんな自分の世界を壊す騒音でしかないし、子供の存在じたい、自分の自由な時間を奪う邪魔モノでしかない。
家族団欒より、一人の部屋で自分の好きなことをする方が楽しいし幸せ。

時代とともに家族が核家族化し、家族の中でも一人の時間が欲しくなり、地域との関わりや干渉が煩わしく、コンビニやドライブスルーが心地良い。
他人との関わりを出来るだけ減らしたストレスフリーな社会。

それが今の幸せの価値観だとしたら。

これはもう貧乏かどうかなんて関係ない。


いや、こうした社会を幸せと感じ目指す日本は、或る意味、贅沢な国なんだと僕は思う。