音楽の話。
名盤の再発には大別して二種類有ります。
完成しているオリジナル音源を、今の技術と好みで音を整えて出すもの。
おそらく再発されているタイトルの95%がそうでしょう。
ビートルズの2009年再発もそうでした。
残る5%は、オリジナル音源の素材レベルから作り直したもの。
所謂マルチトラックテープに、ボーカル、ギター、ベース、ドラム、
といったパーツ毎に収録されている状態から、
ミキシングをやり直してしまった物です。
つまり、料理人の腕前が上がっていれば、熟達の料理となっている、かもしれません。
音楽家のインタビューで見掛けるのは、当時は時間、予算、機材が無くて、
満足行く仕上がりにならなかった。というのが有ります。
また、メンバーの力関係でボーカルだけ目立つ結果になったとか、
会社の横槍で気に入らない仕上がりになった、等々。
それを発売数十年後に修整するチャンスを与えられた作品は恵まれている、そう思います。
ファンも冥利に尽きるって所ですね。
日本で似非ハイレゾが多い理由の一つが、マルチトラックが残っていないのでしょうか。
それは、とてもとても、悲しい不幸な事です。
初代ジェネシス、ギタリスト、Anthony Phillips(アンソニー・フィリップス)
セカンドソロアルバム、WISE AFTER THE EVENT、1978年作品。
2016年新ステレオMIX、サラウンド制作、CD三枚組+DVD-Audio。
プロデューサーは後に売れっ子になったルパート・ハイン。
ほぼ全曲歌物という、唯一無二のアルバムで、サポートメンバーに
元キング・クリムゾンのマイケル・ジャイルズ、メル・コリンズ。
元キャラバン&カーヴド・エアーの、ジョン・G・ペリーと、
強者が支え、演奏はかなりロックしてます、音にノリとキレがある。
DVD-Audioには、最低限のハイレゾ条件である、24bit 48KHzで収録。
現代的な元気な音で、聞こえなかった音、余韻、表現が聞き取れます。
欧米はサラウンドが好きですね、一定の需要が確実に有りそう。
日本では誰かが頑張っても後が続かないようです。
それにしても、元はレコード一枚の作品が、CD三枚+DVDに化けるんですよ?
CDは、発表当時のミキシング、2016年ミキシング、未発表音源で三枚。
DVD-Audioには、サラウンドとステレオ。
ファンは、お蔵入りになった音源、ミキシング違い、そういったものも聴きたいのです。
ちゃんと、マルチトラックを残していれば、将来に渡りずっと商売になるんですよ。
流石、英米欧州民族、とでも言うべきか、しつこいというか、しぶどいというか。
それが出来てこなかった日本の音楽界は、潔いというか、軽いというか。
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