うは〜今日は午前中だけで、猛烈に疲れた〜!
今日は二年前に起きた僕の住んでいるマンションの元隣人の事件における裁判員裁判の証人出廷の日だ。
とにかく大事な裁判の証人出廷の日なので遅れる訳にも行かず、朝の7時45分に家を出た。
途中大阪城を通って猫ボランティアの人と軽く世間話をして、緊張を軽くほぐしてから裁判所に向かった。
裁判所は大阪城から自転車で15分程度の分かりやすい場所なのですぐ到着できた。
さすがに泣く子も黙る裁判所の巨大な建物は威圧感が半端じゃない。
まだ時間が有ったので、裁判所の目の前にある綺麗によく整備された公園でタバコを吸って時間を潰すけど、落ち着かない。
今朝は10時に開廷の裁判の1時間前の9時に裁判所前で事件担当検事と待ち合わせ、大阪地裁のすぐそばにある検察庁の分室に行き、裁判の流れを説明された。
そして9自30分頃に、大阪地裁に入り証人としての認証手続きを行い。
身分証を提示し、宣誓書を初めとする各種書類に署名および捺印をして、事務官が確認&承認。
そして開廷役10分前に法廷に入った。
裁判所に入った時点で、被告人でも無いのにかなり緊張したけど。
法廷に入ったら更なる重圧感を感じた。
そして裁判開始5分前に、二年ぶりに顔を見る今回の裁判の被告人である元隣人が入廷して来た。
二年間の間、拘置所で自由の効かない生活をして来たせいか、相当にやつれて何年も歳を取った様に見えた。
そして定刻の10時に裁判が開廷。
まず証人である僕の名前が呼ばれ、証言台の椅子に座り、宣誓書を読み、それから検察側からの質問がスタートした。
自分としては証言の正確性と公平性にはこだわりたいので、自分の発言に齟齬が生じないように最大限の努力をして証言したつもりだ。
検察側からの質問は主に、事件の前日に被告人が僕の部屋に来てからの、話の内容や行動について重点的に聞かれた。
緊張しつつも、記憶の方はスラスラと出てきて澱みなく証言出来たと思うし、検察側からの質問時間が終了し、一旦小休止に入った時に、その点について検事からも「詳細に理路整然と答えて頂けて助かりました」と言われた。
また証言の最後に検察官から「今被告人になにか言いたい事はありますか?」と問われたので。
事件直後に元隣人と大阪府警本部で面会した時、僕が元隣人に言った。
・「もう一生お酒は辞めて下さい」
という事柄と、今日はもう一つ
・「今回の事件と前回の事件で貴方が、殺してしまった人、傷つけてしまった人が居ますよね、これからの人生どの様な処遇になるかは分かりませんが、一日一回でもその方達に謝罪と贖罪の気持ちを込めて祈りを捧げる日々を厳粛にお過ごしください」
という事だけは被告人に向き合って直接言いました。
被告人は勝手に法廷で喋ることは出来ないので、僕の言葉に対して神妙な面持ちで深々と頭を下げていた。
そして小休止が終わってから、今度は弁護側からの質問時間となった。
今回の裁判で国選弁護人は三人ついていて、その内二人が裁判に出廷していた。
まず一人目の弁護士からは、事件直前と直後の話を微に入り細にわたり聞かれた。
そして細かすぎて分からない事も多々あって、記憶に無い事も幾つか言われて困った事もあったが、何とか乗り切って行けた。
途中検察側から「異義あり!今の弁護人の質問は誘導尋問です!」と言う発言があり。
「これがあの異議あり!か.....ついに本格的な状況に入って来たな」と思ったり変に関心したりとかしていました(笑)。
そして一連の質問が終わった後、二人目の弁護士が僕に質問して来た。
この二人目の弁護士は、事件直後に僕の家に来て事情聴取された弁護士だった。
この二人目の弁護士からは事件の全体的な流れの事、そして被告人に対して事件前後に見方は変わったのかと言うような質問になった。
やはり二人目の弁護士も、あまりに細かすぎて僕がすぐに思い出せなかったり、記憶に無いような質問を沢山して来た。
そんなやり取りを見て、検察側から「意義あり!」がビシバシ飛び出したりして、まさに検察と弁護士が火花を散らす様なシーンも有った。
ただこれは、今回の裁判で僕が公平さと公正さを厳粛に貫きたいと思って居るからこそ休憩時間に、検察にも弁護士にも言っておいたんだ。
「とにかく僕はこの法廷で緊張もするけど、正直で有ることが一番気楽でもあるし、またどちら側の意図にも影響されないためにも、どんな厳しい質問であってもビシバシ来てください」とね。
このことに対して弁護側からも検察側からも「それが一番助かるんですよ」と言われた、僕自身の裁判に対する考え方は間違っては居なかったのだと思う。
そんな火花が飛び散った弁護人質問が終わって「さぁ終わりか?」と思ったら、小休止の後一般市民である裁判員と裁判のプロである裁判官(判事ともいう)からの質問が有るという。
とにかく緊張をしているので、小休止の時に法廷から出て行こうと思って後ろを向いたら、大変な事実に気付いた。
なんと最初の小休止の時にはまばらだった、傍聴席には事件記者らしき人達、司法修習生、大学の法学部で現在法学の勉強中の人たち、そして傍聴マニアの人たちで傍聴席が埋まっていた。
ここでまた緊張が更に高まって、それでなくとも短い休憩時間が休憩時間に感じられなかった。
途中検事と弁護士が入れ替わりに来てくれて双方とも「検察側と弁護側と食い違う証言が無く正確に答えて下さって感謝いたします」と言われた。
あっという間に小休止の時間が過ぎ、裁判員と裁判官からの質問が来た、今回の裁判員は5名だった。
裁判員の人たちからの質問は、さすがに裁判のプロでは無いだけに厳しさは感じられなかったけど、聞かれている方から見ても、真剣かつユニークに感じられる質問が多かった。
そして裁判官からの質問が来た、今回の裁判は二名の裁判官が出廷しており、若い副裁判官から簡単な事件の大まかな流れを聴かれた。
正直簡単な事しか聞かれなかったので、かなりホッとした。
その後最後に正裁判官から、事件発生当初に僕が被告人や被害者を目撃したり被害者を救護措置した状況を細かく聞かれた。
さすがに正裁判官はベテランらしく、老獪だと感じた。
途中当時の被告人と僕の部屋の位置関係を、裁判官が検察に命じて検証する流れになり。
法廷のプロンプター上に置いてある紙で僕が図を描いたりして詳細に説明したりした。
この時の検事からの質問内容に対して、弁護側から初めて「意義あり!」との反撃が出たけども。
裁判官の「事実を詳細に検証するための説明を命じているので却下します」との事で弁護側は撃沈。
とは言っても、検事も弁護士も裁判のプロであり、双方とも真正面から話をしたら相当に頭がよく老獪な強敵であるだろうと感じた。
正直僕にはこの人たちを論破出来る自信は無い、だけど頭が良い人たちなので、色々な話を聞いてみたいと思った。
そして一連の図を使った状況説明が終わって12時半頃に、僕に対する全ての証人質問が終わった。
証人出廷が終わって思った事は、一人の人間が見聞きした事実は一つしかないけど、様々な人が様々な方向からその事実を見ることは、矛盾点や新しい視点を見つけ出すために有効な手段だと思った。
正直本当に疲れたけど、もし僕の周りの人も今回の僕と同じ状況になったとしたら「是非出廷しろ!」と言うだろう。
こんな事一生に一回も有るかどうか分からない体験だけども、行ってみれば、良い意味で必ず法律と社会や市民生活との関わりを体感出来るし。
確実に社会を見る視点が良い方向に変わると思います。
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