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2016年01月31日12:32

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インバル・ピント&アヴシャロム・ポラック ダンス・カンパニー DUST

2016/1/30土 15:00- 彩の国さいたま芸術劇場

イスラエルの著名なダンスカンパニーの一つ、インバル・ピント&アヴシャロム・ポラックの公演に行って参りました。

DUSTは休憩なしの1時間の作品。教室を思わせる机の並ぶ空間に、パジャマのような服を着た子供に見えるダンサーが5人。青いスーツを着た教師を思わせる大人が1人、死神を思わせるマントを着た白塗りの存在が1人。出演者はこの7人だけ、子供達はずっと出ずっぱりで踊りっぱなし、凄いエネルギーです。その子供達の中に、このカンパニーに1年間参加していた森山未來さんがいらっしゃいました。

作品の冒頭は、アニメーションで始まります。水の中に沈んだ都市。学校のような建物の中にはぷかぷか机が浮いていて、中では少女が泣いている。何か大災害の後のように見えるのですが、タッチがとてもユーモラスで可愛くて、その違和感がシュールな感覚を呼び起こします。

アニメーションが終わると、舞台に。子供達は、教室の中で楽しく遊んでいるように見えます。教師のように見える男性は、時々後方にあるドアから外に出ていっては、また戻ってくる。教師のようなのに、決して彼らを支配するわけではなく、子供達と同じ立場になって悩んでいたり、遊んでいたりするようにみえる不思議な存在。動きも、ふにゃふにゃしていて気が弱そう。

ドアの外がどんな世界なのかは、観客にはまったくわかりません。最初の方で、ドアを開けると大音量の音楽がかかるシーンがあるので、外は騒然としていて、教室の中が安全地帯なのかも、とも。机はときには、生徒たちを吸い込んだり、パラパラ動画が出てきたり、といろいろなツールになります。死神も、格好とメイクは怖いのですが、子供達のそばをウロウロとしているだけで、彼らを見守っている存在にもとれます。

そのうちに、おそらく外の物音と思われるのですが、空襲とも台風とも津波ともとれるような大きな音がしてくる。教室の中に変化はないけど、子供達と教師はドアの前にバリケードのように机を並べます。死神のようなキャラクターは体中に半紙のような紙を貼り付けて、彼らの前に飛び出してきて倒れてしまう。その死神を木の棒で作った家(墓?)のようなものに閉じ込めて(そういうネガティブな感じではないのですが)、子供達と教師は仲良く手を繋いで、幕。

うーん、観たものを言葉で表現するのは難しいのですが、終末の世界の中、ふわりと取り残された安全地帯(教室)にいる子供達と教師が、絶望的だけどそれを見ないように楽しく過ごしている、・・・そんな世界かな、というのが私の捉え方でした。舞踊言語自体はどことなくユーモラスでかわいらしく、ダンサーが苦悩の表情を見せることもなかったけど、子供達の無邪気さが、外で起こっているように見受けられる惨事と見事なコントラストを描き出していて、見ている方にも痛みを感じさせます。

ダンサーの皆さんは強靭なバネを持っていて動きが素晴らしかった。同じくイスラエルの著名なダンスカンパニー、バットシェバのときもそう思いましたが、クラシックバレエのダンサーとは違う身体能力ですね。さて、森山未來さん。満席の会場は、彼のファンが多かったのでしょうか、いつものバレエやダンスの公演と比べて若い女性が多かったように思います。森山さんは、シェルカウイ作品に出演しているのも拝見したことはありますが、こちらのカンパニーには1年いただけあって、一員として全く違和感や遜色ない活躍っぷりでした。凄いなあ!彼は、踊りのセンスもいいのでしょうが、運動神経も良いのだろうなあ。

終演後、客席からホワイエに通じるドアのそばで、アヴシャロム・ポラックをお見かけしました。そういえば、前回の来日公演のときには彼のポストトークがあったよな。そばで拝見すると、とーってもチャーミングな方ですね。
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