運ばれるまま動かされるままに、位置を変え形を変える
DUST−ダスト
扉が開き風に吹き飛ばされ、
机の抽斗に吸い込まれる(のび太の机のよう)のが可笑しい
椅子に腰掛け机を前にして、男ふたりに女が三人
机の天板を使ったムーヴが始まる
黒い蝿のような男が何するでなく付きまとうのが気になる(羽音が五月蝿い)
揃った五人の動きのなか、びたんとひとりが机から滑り落ち
そのまま四つ脚で机のように、逆エビでリンダ ブレアのように奔り出し
グレゴール ザムザがクラスメイトに迷惑をかける隙に、蝿男が空いた椅子に座りズレていく
扉が開き風とともに闖入した灰色の鼠のような男の、
覚束ない足元のまま定まらない杖先のまま右に左に翻弄される、同部屋の患者たち
それは異次元の物理法則に支配されているというより、言語化できないルールに則ってゲームをプレイしているよう
鼠男が監督の、行き当たりばったりにも
蝿男が審判の、気まぐれにも
プレイヤーたちに迷いはない(まだ始まったばかり)
──【舞踊】Iピント&Aポラック ダンスカンパニー/DUST−ダスト/さいたま芸術劇場
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