SMAPの解散

浦和レッズの次が、SMAPの解散報道の話になるのも、いかにも脈絡がないが、最近の話題の方が記憶に新しいもので、その辺はご容赦願いたい。

ハッキリ言って、僕にとって、SMAPが解散しようがしまいが、どうでもいい。興味もない。以上である。

そもそも僕には、どうして彼らみたいな中年のオッサン５人組がいまだに「アイドル」枠なのか、うまく頭を整理できない。

まあ、他のTOKIOにせよ、V6にせよ、嵐にせよ、関ジャニ∞にせよ、みんな高齢化は着実に進んでいるし、世の中全体が高齢化社会と言われるようになって久しく、いまどきの年齢は昔の感覚でいくと７掛けで考えるべき（つまりは、いまどきの50歳は昔ならば35歳くらいの感じだという意味）だとも言われているから、40過ぎのキムタクをアイドルと呼んだって一向に差し支えないと主張することも強弁がすぎると言われる筋合いはないのかも知れない。

僕みたいなサラリーマンとしては、この騒動で気になるのは、やはり何といっても、ジャニーズ事務所内の権力闘争の方である。

あまり詳しいことは知らないが、SMAPの育ての親と呼ばれる辣腕の女性マネジャーの退社問題がこの騒動の核心だという報道を読んだ。キムタク以外の4人のメンバーの事務所退社は、この女性マネジャーの退社に関する事務所への抗議・反発と解釈することができるのだそうである。

ジャニーズ事務所は、ジャニー喜多川・メリー喜多川姉弟のオーナー会社であり、もちろん非公開企業である。かねてよりその女性マネジャーと喜多川姉弟（というよりもメリー氏とその娘のジュリー氏）との関係は良好なものではなく、SMAPを育てた功労者でありながら、事務所内での立場はかなり危ういものであったらしい。

僕もいま籍を置く会社は、まさに非公開のオーナー企業であるが、こういう会社においては、理屈や合理性よりも、オーナーの好き嫌いが優先される。

誰の目にも明らかな実績を上げることよりも、社内営業に長けており、オーナーに「愛い奴よ」と思われるような社員の方が出世したりするのは決して珍しいことではない。

会社の業績に長年貢献している有力な事業部（SMAPのこと）を率いている事業部長（女性マネジャー）であっても、オーナーから可愛がられないようでは社内での居場所がなくなってしまい、会社を出て行かざるを得なくなる。たとえそれで会社の業績に一時的にはマイナスが生じたとしても、それよりもオーナーの意向が優先される。そういう風に考えれば、今回の騒動はどこの中小企業にも起こりそうな話である。

SMAPはデビュー当初から「ばら売り」で生き延びてきたこともあり、それぞれのメンバーが司会やら役者やら何やらと独自路線で成功しているんだから、SMAPが解散したとしても、それぞれの仕事において特段の打撃があるとは思えない。強いて言えば、SMAPというグループ名を使って5人での仕事を受けることができなくなるということと、ジャニーズ事務所から独立する（と言われている）キムタク以外の4人に対して、有形無形の圧力がジャニーズ事務所から想定されたり、多少干されたりすることはあるのかも知れないが、彼らくらいの知名度があれば、それも何とかなるんじゃなかろうか。

オーナー企業というものは、オーナーがそれなりに優秀である限りにおいては、サラリーマン経営者がトップを務める会社よりも総じて業績が良いと言われる。

だが、それはオーナーがそれなりに優秀であるという付帯条件がクリアされる場合においてであって、オーナーが馬鹿だとやっぱり困るのである。

また同じオーナーであっても、創業者というものは、やはりゼロから会社を立ち上げるだけのことはあって、それなりにパワーも才覚も有する場合が多いが、二代目、三代目はその限りではない。

ジャニーズ事務所だって、創業者である喜多川姉弟はもう相当な高齢者であるはずだし、いまの体制であと何年持ちこたえるのかは定かではない。次世代のジュリー氏の力量がどのくらいのものかは知らないが、社内で内ゲバみたいなことをやって、有能な社員やタレントを放逐するようなことをしていると、だんだんと地盤沈下していくことになりはしないか。

そう言えば、海の向こうにもオーナー家の三代目のボンボンがいたのを思い出した。あそこも先代や先々代から仕える古参の側近を感情の赴くままに粛清していなかったっけ。もっとも、こちらの方は企業ではなくて国家だし、物騒な殺戮兵器も持っているから余計に始末が悪い。

いずれにせよ、オーナー企業というのは、それ自体良いところもあるのだが、うまく世代交代を行なって、長期間にわたり安定的な業績を維持するのは、なかなかに難しいことなんだと思う。